【英コンサート爆発】容疑者の父親はアルカイダと関連のある「リビア・イスラム戦闘集団」のメンバーだった ※追記あり

IMG_0190

イギリス中部マンチェスターのコンサート会場爆発事件について、イギリス警察は容疑者の身元を公開した。NHKによると、22歳のサルマン・アベディ容疑者は、マンチェスター南部に住み、北アフリカのリビアから移住してきた両親のもと、イギリスで生まれた移民2世だったとしている。英国生まれ英国育ちのサルマン氏が、どのようにしてジハード思想に傾倒していったのであろうか。この疑問を解く鍵は、父親にあるかもしれない。


リビア発のニュースサイト「マルサド」の記事によると、容疑者の父親はイスラム武装勢力「リビア・イスラム戦闘集団(Libyan Islamic Fighting Group)」のメンバーだったと報じられている。リビア・イスラム戦闘集団は、旧カダフィ政権の打倒を目指して設立された武装勢力で、アルカイダとの関係を指摘されてきた。アメリカ政府からは「テロ組織」として認定されている。


サルマン容疑者の父親ラマダン・ベルカセム・アベディ(別称アブ・イスマイル)は、1965年12月24日生まれで、マンチェスターのモスクで宣教活動を行っていた。そして、同じモスクに息子のサルマン容疑者も通っていた。


父親は旧カダフィ政権から離反する1991年までは、リビアの首都トリポリに在住し、治安機関の元上級曹長を務めていた。そして1991年にリビアを出国しサウジアラビアへ渡航する。折しもソ連がアフガニスタンから撤退し、イスラム教徒としての新たな聖戦に対する意識が、リビア人ジハード戦士たちの間で高揚していた時期であった。


容疑者の父は1992年にサウジアラビアからロンドンへ移動するが、しばらくしてマンチェスターに移る。そして1994年には反カダフィ政権組織の「リビア・イスラム戦闘集団(※アルカイダとの関係があるとされる)」のメンバーであることが発覚し、リビアの対外治安機関に追われるようになっていた。このころ、息子のサルマン容疑者が誕生している。マンチェスターに居住していた頃は、リビア・イスラム戦闘集団の有力メンバーたちが隣人であった。

2008年、リビア対外治安機関とリビア・イスラム戦闘集団が和解(過激思想や武装闘争路線の放棄)、多くの活動家が釈放されるなか、容疑者の父親も帰国を許可され、トリポリに帰還した。2014年以降、リビアの移民コミュニティの間では、容疑者の父親のSNSページの投稿などから、ベンガジのリビア国軍(ハフタル元将官派)を敵視する一方、「ベンガジ・シューラー評議会」や「リビアの夜明け部隊」といったイスラム主義勢力を支持する姿勢で知られていたとしている。

以上が「マルサド」の報道の内容である。

 

今回の事件に関する声明を発したイスラム国は、リビア・イスラム戦闘集団とのつながりはないが、こうした父親のもとで、サルマン氏がジハード思想にふれる機会に事欠かなかったのは想像に難くない。なお、イギリスのメディアによると、サルマン氏は事件前に父親がいると見られるリビアに一時滞在していたと伝えている。

※↓2017年5月25日追記

18671122_1640760522684774_8530873548883357012_n
↑サルマン・アベディの弟のハーシム(リビア内務省特殊部隊が公開した写真)


AFP通信によると、サルマン・アベディ容疑者の父親ラマダンと、弟のハーシムがリビアで治安当局によって逮捕された。また、リビア内務省特殊部隊のフェイスブック公式ページによると、ハーシムが首都トリポリでテロを計画している疑いがあると見て、1か月半の間内偵していたとしている。ハーシムは、兄のサルマン容疑者から送金された4500リビア・ディナールを受け取ろうとしていたところを拘束された。その後の取調べの結果、ハーシムは兄のサルマンとともにISのメンバーであり、マンチェスターでの事件の準備のためにハーシムがイギリスに滞在していたことや、事件の詳細についても把握していたことが明らかになった。ハーシムは今年の4月16日にイギリスを出国していたが、兄のサルマン容疑者とは常に連絡を取り合っていたとしている。


Manchester_Attack

【英コンサート爆破】イスラム国による公式の「犯行声明」

IS

2017年5月23日20時40分(日本時間)ごろ、イギリス中部のマンチェスターのコンサート会場付近での爆発事件について、イスラム国(IS)から公式の声明が発表された。上はSNSでIS支持者によって拡散されている声明の画像である。

 タイトルは「速報 イギリスのマンチェスターで爆弾を爆発させ十字軍市民100人が死傷」となっており、本文では、「イスラム国の戦士の一人が、イギリスのマンチェスターで十字軍市民の集まりの中に爆弾を設置し、コンサート会場の建物(アリーナ)の中で爆発させた。その結果、およそ30人の十字軍市民が死亡、70人が怪我をした」などとしている。

系列メディア「アマーク通信」による第一報ではなく、イスラム国の公式声明が先行したことで、事件への組織的な関与をうかがわせる展開といえるだろう(その後、21時過ぎにアマーク通信が追って報じた)。なお、イギリス当局は、事件は「自爆」によるものとしているが、声明ではそのように記されていない。

※追記
アマク通信の速報
20170523_IS_Amaq_Manchester_Attack


声明の英語版
IS_English

【英コンサート爆発】イスラム国の「犯行声明」とする動画?


Manchester_Attack

NHKによると、イギリス中部のマンチェスターで22日夜(日本時間23日朝)、コンサート会場付近で爆発があり、これまでに19人が死亡、およそ50人がけがをした。警察はテロ事件として捜査しているという。
ところで、※Twitterでイスラム国(IS)の「犯行声明」だとする動画がでまわっている。真贋については、賢明な当ブログの読者の皆さんのご判断に委ねることにしよう。

※現在は公開主のアカウントで動画を見ることはできない。どうやらツイッター当局によって、アカウントを凍結されてしまったようだ。ジハード運動の研究者や専門家でさえ凍結の憂き目にあうほど、ツイッター当局は厳しい態度で臨んでいるのが実情であり、こうした行為が許されないのは当然の帰結である。


【イスラム国】殉教作戦のための新兵器 爆薬を積んだ車両にロケット砲を搭載


 イラク第二の都市モスルでは、イスラム国(IS)のジハード戦士たちとイラク政府軍の間で激しい戦闘が続いており、IS側は、爆薬を満載した車両に乗り込んで敵陣へ突撃する殉教作戦を敢行している。そうした中、ロケット砲を搭載した新たな殉教攻撃用の車両が開発され、実戦に投入された。運転席からの操作で、目標までの道中で障害となる敵の車両やバリケードなどをロケット弾で攻撃することができる。動画はIS系メディア「アマーク通信」のニュース・レポートに日本語字幕を付したものである。

【イスラム国】アマーク通信が米軍の「大規模爆風爆弾」による死傷者の発生を否定 ※追記あり

Afghanistan_Attack
20170414_IS_Amaq_No_Casualty_GBU-43B
アマーク通信 2017年4月14日付速報バナー
「昨日(13日)のナンガハルでのGBUー43/B型ミサイルによるアメリカの空爆について、関係筋はアマーク通信に対し、死傷者の発生を否定した」

※参考:AFP通信によると、 アメリカ軍は13日、アフガニスタン東部のナンガルハル州でイスラム国の地下トンネル施設を標的として、「GBU-43/B・大規模爆風爆弾」による空爆を実施したと発表した。この爆弾は、核兵器以外の通常兵器では最大の破壊力があり、「すべての爆弾の母」と呼ばれているという。
また、アフガニスタン国防省は14日、この爆撃で地下深くにあるイスラム国のトンネル施設が破壊されたとして、「IS戦闘員36人が死亡した」などと発表しているが、詳細は明らかでない。
ウルドゥー語版
20170414_IS_Amaq_No_Casualty_GBU-43B_Urudu

パシュトゥー語版
20170414_IS_Amaq_No_Casualty_GBU-43B_Pashutu

※追記2017年4月15日
AFP通信の続報によると、その後アフガニスタン当局は、「死亡したIS戦闘員の数は、14日の発表から3倍近く増えて少なくとも90人に達している」などと発表しているが、破壊された「トンネル施設」の現場の状況や、殺害したとされるIS戦闘員の遺体の写真等はない。

米軍は、爆撃の際の映像は公開したものの、戦果の検証については現地のアフガニスタン当局にまかせておく、という姿勢なのだろうか。失敗国家のアフガニスタン政府当局にまともな仕事を期待するのは酷というものだろう。

他方、米軍自慢の兵器による初の実戦での戦果が写真一枚ないようでは、「核兵器以外では最強」などという宣伝の信憑性にも疑問がつき、北朝鮮にさえなめられるだろう。米軍自身の発表が待たれる。

なお、IS側は15日、アマーク通信の英語版を配信し、改めて死傷者の発生を否定している。
20170414_IS_Amaq_No_Casualty_GBU-43B_English

記事検索
amazon.co.jp
カテゴリー