2015年11月

【イスラム国 西アフリカ州(通称ボコ・ハラム)】ジハード戦士の拘束及び投降に関するナイジェリア政府の主張を否定

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番号:255
題名:جانب من سير المعارك في ولاية غرب إفريقية
和訳:西アフリカ州での戦いの軌跡の一面
公開:2015年11月27日
組織:イスラム国(IS、旧ISIS又はISIL)西アフリカ州(通称ボコ・ハラム)
出所:西アフリカ州広報部(イスラム国傘下)
音声:ハウサ語(アラビア語字幕あり)
重要:★☆☆☆☆

【動画の内容及び解説】
イスラム国のナイジェリア支部「西アフリカ州」(通称ボコ・ハラム)によるナイジェリア政府軍との戦闘の動画。後半部分では西アフリカ州のジハード戦士が登場し、「西アフリカ州」の仲間が拘束された、あるいは投降したという政府側の主張は全くの嘘だとしている。

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ソマリアのジハード主義組織「アッシャバーブ」がパリ同時襲撃作戦を称賛

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2015年11月27日、ソマリアのジハード主義組織「アッシャバーブ」(※アルシャバブなどの表記もあり)が、公式広報部門「カターイブ・メディア」からテキストによる声明を発出した。

「忍耐と共に勝利を-シリアとイラクの人々に対する十字軍連合の攻撃について」と題する声明では、欧米等の十字軍連合の空爆に晒されているシリアとイラクのイスラム教徒に対する連帯を表明するとともに、先般のパリ同時襲撃事件やマリのバマコで起きたホテル襲撃事件を称賛している。

パリ同時襲撃事件については、イスラム国からこれを実行したとの声明が出ているが、イスラム国と敵対関係にあるアルカイダ系のアルシャバブが、今回声明でこれを公に称賛している。しかし、これをもってアッシャバーブの方針の転換と解するのは適当でない。アルカイダ本部のザワヒリ指導者は、イスラム国のバグダディ指導者のカリフ地位を否定しつつも、十字軍連合との現場レベルでの戦いについては共闘を容認する姿勢を打ち出しており、そうした観点からは矛盾していない。

【イスラム国】日本出身のイスラム国メンバーがイラクのモスル大学に願書提出? アラビア語ニュースサイトの報道

العراق

エジプト発のアラビア語ニュースサイト「アラビ21」において、「イスラム国がイラクのモスル大学の運営を再開」と題する記事の中で、日本からもイスラム国の構成員がモスル大学へ願書提出に来ているとの記載がある。なお、イラク第2の都市モスルは、今もイスラム国の支配下にある。

以下、当該箇所(モスル大学関係者の発言)の抜粋と和訳。

واسترسل قائلا، "بدأ يتوافد الآلاف من أبناء الموصل، وأبناء سوريا وحتى بعض عناصر التنظيم من الدول الأخرى ومنها اليابان، والسودان، ومصر، وليبيا، والسعودية للتقديم وتعبئة استمارات التقديم إلى الأقسام المفتوحة في الجامعة، ومنها أقسام الطب والهندسة، وأقسام علوم الحياة والتربية والشريعة وأصول الدين وغيرها، ومازالت لدينا بعض الأقسام لم تكتمل أطرها التدريسية".

モスルやシリアなどから何千人もの人々が、書類(※冒頭画像)の記載と提出のために大学に来ているほか、日本、スーダン、エジプト、リビア、サウジアラビアといった国々からもイスラム国の構成員が大学へ来ている。

【イスラム国】チュニジアの大統領警護隊バスへの殉教攻撃について声明 ※追記あり

チュニジア大統領警護隊バスに対する殉教攻撃 実行者の画像
↑チュニジアの大統領警護隊バスに殉教攻撃を行ったアブアブドラ・トゥニシの画像

2015年11月24日、チュニジアの首都チュニスで、大統領警護隊の隊員が乗ったバスに対する攻撃事件が発生した。この件について25日に、イスラム国が行ったとする声明が出された。『緊急 首都チュニス中心での大統領警護隊に対する殉教攻撃で数十人を殲滅』と題するこの声明では、右上部に「イスラム国・チュニジア」とのみ記されており、州、県といった表記がない点が重要である。チュニジアでは、まだ地方支部の組織が十分に確立しておらず、現地の支持者・賛同者による活動のレベルにとどまっているものとみられる。
 
チュニジアのバス自爆テロIS声明

本文の抄訳は以下のとおりである。

至高のアラーのおかげで、我らが殉教騎士団の騎士の一人、「アブアブドラ・トゥニシ」同志が、「ムハンマド5世」通りにおいて、大統領警護隊の隊員が乗っていたバスに対する突撃に成功した。目標に到達後、着用していた爆弾ベルトを爆発させ、およそ20人の背教者を殺害したほか、数十人を負傷させた。チュニジアの悪魔どもには、安全などないということを思い知るがいい。そして、チュニジアがアラーの法によって統治されるまで、我らの心も休まることはない。

※2015年11月27日 追記 
NHKの報道によると、チュニジア内務省も実行者を特定しており、イスラム国の関与の疑いを捜査している。当ブログでは、バルドー博物館襲撃に始まるチュニジアでの一連のテロについて、一貫してイスラム国によるものとの見方を示してきた。ようやく世の中の方が追いついてきたようだ。感無量である。

以下、関連報道を引用。

11月27日 6時16分

北アフリカのチュニジアで大統領警護隊の隊員を乗せたバスに男が押し入って自爆し、12人が死亡したテロ事件で、治安当局は男の身元を特定し、犯行声明を出した過激派組織IS=イスラミックステートとつながりがあるかどうか調べを急いでいます。
チュニジアの首都チュニスでは24日、大統領警護隊の隊員を乗せたバスに乗り込んできた男が、身に着けた爆弾を爆発させて12人が死亡し、ISの支部を名乗る組織が犯行を認める声明を出しています。
この事件についてチュニジア内務省は26日、DNA鑑定の結果、実行犯はチュニスの近郊に住む26歳の男と特定したと発表し、ISとつながりがあるか調べを急いでいます。
チュニジアではことし3月、チュニスの博物館が襲撃され、日本人を含む20人以上が死亡したほか、6月には観光地のリゾートホテルで男が銃を乱射して40人近くが死亡するなど、テロが相次いでいます。
これらのテロの実行犯は、いずれも隣国のリビアでイスラム過激派組織の訓練を受けていたことから、チュニジア政府は今回のテロを受けた緊急の治安対策として、25日からリビアとの国境を15日間閉鎖するなどの対応を取っています。

ロシアによるイスラム教弾圧の歴史紹介、単独行動によるユダヤ教徒及びキリスト教徒の襲撃を称賛


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※この動画は、イスラム国の公式広報部門によって制作されたものではないが、反ロシアの宣伝動画としてイスラム国支持者などの間で注目を集めている。ジハード主義者の対ロシア観がよく分かり、先のハヤート・メディア・センターのダサい動画よりも秀作である。

題名:الذئب المنفرد
和訳:孤高の狼
公開:2015年11月23日
出所:ユーフラテス・メディア・センター
音声:ロシア語(アラビア語字幕)
重要:★★☆☆☆

【動画の内容及び解説】
ロシアによるイスラム教への弾圧と、ロシアの統治に協力してきたカフカスの悪しきイスラム教徒たちの歴史を振り返りながら、その報復として、組織的な背景を持たない単独行為によるユダヤ教徒襲撃を称賛し、全世界のイスラム教徒に同様の攻撃を呼びかける宣伝動画。先にロシア語のみで公開されていた宣伝動画に、今回幸いにも(と思うのは当ブログ管理人ぐらいかもしれないが)アラビア語字幕版が配信された。

動画の冒頭より11分19秒辺り、「同じイスラム教徒の男たちが殺され、女たちが犯されている時に、彼らは何をしていたのか?」とのナレーションとともに、湾岸諸国のアラブ人らしき若者たちが踊り狂うシュールな映像が流れる。なかなかにユーモアのセンスもあり笑える。
踊り狂う湾岸人

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懲りないNHK…撃墜されたロシア軍用機のパイロットを拘束したのはアルカイダ系「ヌスラ戦線」などと強弁、シリアのトルクメン人問題の重要性を無視

トルコ軍機によって撃墜されたロシア軍機のパイロットを拘束(または遺体を収容)したのは、アサド政権と敵対する反体制組織「自由シリア軍」傘下のトルクメン系部隊である「沿岸第10旅団」であることは、当ブログにおいて既にお知らせしたとおりである。

ところが、またしても我が国の公共放送局が、見当違いな報道をしている。ロシア人パイロットを拘束したのは、何と、アルカイダ系のジハード主義組織「ヌスラ戦線」であると強弁しているのだ。

以下、NHKの配信記事から、該当箇所を引用してみよう。

*     *     *
ロシア軍 最新の地対空ミサイルシステム配備へ
(11月25日 19時09分)
【撃墜があった地域を支配する勢力は】 
ロシア軍は9月から過激派組織IS=イスラミックステートを壊滅するとしてシリアでの空爆を始め、爆撃機が撃墜されたシリア北部のトルコ国境付近でも重点的に空爆を行っています。この地域は、アラブ人とトルコ系民族などが混在していて、トルコ系民族の一部も反政府勢力の部隊に参加していますが、この地域の最大勢力は、国際テロ組織アルカイダ系の過激派組織「ヌスラ戦線」です。
ロシア軍は、この組織への空爆を続けているとみられ、空爆の支援を受けてアサド政権の政府軍が進撃し、ヌスラ戦線を徐々に押し返していました。
爆撃機の撃墜のあとインターネット上に公開された映像では、武装した男たちがアラビア語で「これがロシアの爆撃機の乗員だ。神は偉大なり」と叫ぶ様子が映っていて、男たちはヌスラ戦線を含む反政府勢力のメンバーと見られています。
*     *     *

「トルコ系民族」というのは、トルクメン人のことである。こうした言い換えにも、物事をあまり深く複雑に考えたくないという本音が透けて見える。NHKはこの事件の背景として、シリアのトルクメン人問題の重要性に薄々気づいていながら、シリア北西部一帯を見た時に、ヌスラ戦線が最大勢力であるというだけの理由で、その可能性を強引に閉ざし、思考停止を決め込んでいる。一般の視聴者向けに分かりやすさを優先したのかもしれない。だがそれでは、たった数十秒という些細な領空侵犯を理由に、トルコがなぜロシア軍機の撃墜にまで踏み切ったかを、永遠に理解することはできないだろう。

しかも、ロシア人パイロットを拘束したのがヌスラ戦線であると結論づける根拠が、拘束の様子が撮影された動画で、「これがロシアの爆撃機の乗員だ。神は偉大なり」と叫んでいたことだけなのだ。「神は偉大なり」と叫べばいわゆる「イスラム過激派」なのだろうか。こんな理屈が成り立つなら、全世界のイスラム教徒は、全員がヌスラ戦線のメンバーであろう。

更に極めつけは、NHKがさも得意げにアラビア語を分析したなどと強調する撃墜後の動画について、ロシア人パイロットを拘束した戦闘員自身が、「第10旅団がロシア人のパイロットを拘束した!」と高らかに宣言しているのである。次の動画のタイムコード0:27から、耳をかっぽじって聞いてみてほしい。

ひょっとすると、NHKの通訳のヒアリング能力の欠如が原因かもしれないので、アラビア語の発言の文字起こしも記しておくことにしよう。動画と併せてこのテキストを突き付ければ、無能な通訳も反論できないだろう。
"قام اللواء العاشر في كمش الطيار الروسي" 
(カーマ・リワー・アーシル・フィー・ケムシュ・タイヤール・ルーシー)
「第10旅団がロシア人のパイロットを拘束したぞ!」 

第10旅団とは、自由シリア軍傘下のトルクメン人系部隊である「沿岸第10旅団」のことである。この部隊からはご丁寧にも、ロシア人拘束に関する公式声明まで発出されているので、再掲しておこう。この声明からも、反体制派の自由シリア軍傘下の部隊であり、アルカイダ系のヌスラ戦線とは無関係であることは明白である。ロシアの爆撃機は当時、トルクメン人部隊を攻撃するアサド政権の部隊を援護していたのだ。すなわち、トルコ軍は、トルクメン人の反体制派部隊を守るために、ロシアの軍用機を撃墜するというハイリスクな行動に打って出たのである。詳細については、当ブログの過去記事を参照ありたい。
トルクメン系「沿岸第十旅団」声明

去る3月に起きたチュニジアのバルドー博物館襲撃の実行組織はイスラム国であることを、先日NHKが漸く認めたと思ったら、この有様である。だが、誰にでも間違いというものは起こり得る。完全さはアラーのみに帰す。NHKの方々におかれては、是非勉強し直していただきたい。

半年前の無関係な宣伝動画を悪用した卑劣なデマ 『撃墜されたロシア機からパラシュートで脱出したロシア人パイロットをイスラム国が上空で射殺』というウソ八百

2015年4月21日公開のイスラム国宣伝動画
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上の動画は、イスラム国の公式報道機関である「アウマーク通信」が、2015年4月21日に公開した動画である。シリア北部アレッポの東にある軍用空港付近において、アサド政権の部隊との戦闘の状況を撮影したものである。アサド政権の兵士がパラシュートで降下しているところを、イスラム国のジハード戦士たちが銃撃している。半年以上前に公開されたものであり、先日のトルコ軍によるロシア機撃墜とは一切無関係である。

この動画を利用して、「イスラム国のジハード戦士(あるいはシリア反体制派の戦闘員など)が、トルコ軍機に撃墜されたロシア軍機から脱出したロシア人パイロットを上空で射殺した」などといった、悪質なデマが出回っている。

だが如何に策を弄したとしても、アウマーク通信の動画をすべてチェックしている当ブログ管理人を欺くことはできない。

賢明な当ブログ読者の諸氏は、努々騙されないようにご注意願いたい。

ロシア人パイロット1人の遺体を収容したシリア反体制派部隊が声明「もう一人のパイロットは依然不明」



2015年11月24日、トルコの領空を侵犯したロシアの軍用機が撃墜され、脱出したパイロットの1人が遺体で発見された。現在、もう一人のパイロットの消息が分かっておらず、その行方に関心が高まっている。

こうした中、パイロット1人の遺体を発見した上で収容した、自由シリア軍傘下のトルクメン人系部隊である「沿岸第10旅団」が、「トルクメン山地におけるブルジュ・ザヒヤ周辺の解放」と題する公式声明を発表した。以下、その声明の画像である。

トルクメン系「沿岸第十旅団」声明
 
ロシア人パイロットに関する部分の和訳は以下のとおりである。

・・・ブルジュ・ザヒヤ周辺をめぐるアサド政権の地上部隊との戦闘の最中に、ロシア軍の戦闘機がアサド政権の地上部隊を援護するため、ラタキア郊外上空を旋回していた。その際に、ロシア軍機はトルコの領空を侵犯したところ、これに対しトルコ側は戦闘機を派遣し、ロシア軍機を撃墜した。その後、上空にはパラシュートで脱出したロシア人パイロット2人が視認された。しかし、脱出後に2人が生存していたのか、それとも脱出のタイミングが遅れて戦闘機の爆発により既に死亡していたかは不明である。我々反体制勢力の兵士は、パイロットの着地地点の捜索を行った結果、1人のパイロットの着地地点を特定し、すでに硬直していた死体を収容した。死体は、トルクメン山地の作戦司令部に送った。なお、2人目のパイロットについても捜索を行ったが、これまでのところ、何ら情報は得られていない。・・・

なお、シリアのトルクメン人問題については、池内恵氏のフォーサイトでの連載「中東通信」の関連記事「シリアのトルクメン人と汎トルコ主義」、「トルコがシリア国境付近でロシア機を撃墜:背景はトルクメン人問題」を参照ありたい。

3月のチュニジアでのバルドー博物館襲撃事件 NHKも遂にイスラム国の影響を受けた者が起こしたとの見方を採用

2015年11月24日、チュニジアで大統領警護隊のバスが攻撃され、12人が死亡する事件が起きた。ところで、この事件に関するNHKの報道の中で、非常に重要な内容が含まれていた。2015年の3月にチュニジアの首都チュニスで発生したバルドー博物館襲撃事件について、NHKも遂に「過激派組織IS=イスラミックステートの影響を受けた過激派による犯行」であったとの見方を示したのである。以下、関連記事の引用。


<北アフリカ、チュニジアの首都チュニスで24日、大統領警護隊の隊員たちを乗せたバスが突然爆発して少なくとも12人が死亡し、チュニジア政府は治安部隊を狙ったテロ事件だとして非常事態宣言を出しました。>
(中略)
<チュニジアでは、4年前の民主化運動で独裁政権が倒れたあとイスラム過激派の活動が活発となり、ことし3月チュニスにある博物館が襲撃され日本人を含む20人以上が死亡したほか、6月には観光地のリゾートホテルで男が銃を乱射して40人近くが死亡する事件も起きています。いずれの事件も過激派組織IS=イスラミックステートの影響を受けた過激派による犯行とみられ、治安当局が過激派の取締りを強化していました。

この事件をめぐっては、チュニジア内務省次官のインタビューや、イスラム国から再三に渡って出されてきた声明にも拘わらず、チュニジアの大統領や首相と言った肩書を持つ政治家の発言に振り回され、アルカイダ系のジハード主義組織である「アンサール・シャリーア」又は「ウクバ・イブン・ナーフィア旅団」によって行われたものとの見方が支配的であった。

ところが先日、東京大学先端科学技術研究センターの池内恵・准教授より、当ブログの過去記事に触れながら、バルドー博物館の事件とイスラム国の関与の可能性について、示唆に富むコメントをいただいた。更に、イスラム国によるグローバル・ジハードの新たな展開の中、流石にNHKも、当該事件についてのこれまでの見解を改めざるを得なかったのであろう。

ロシア受難の日…戦闘機の撃墜&パイロット救出に向かったヘリの破壊&ロシアTV局クルーも砲撃受け負傷

↓トルコ軍に撃墜されたロシア軍用機のパイロットがシリア反体制派に捕まり死亡


↓撃墜されたパイロットの救出に向かった軍用ヘリもシリア反体制派によって破壊


↓RT放送のロシア人クルー3人が取材中に砲撃を受け負傷


【イスラム国】は如何なる国かをCGを駆使してまとめた宣伝動画 期待外れの駄作

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番号:254
題名:لا تنظرون
和訳:猶予はない
公開:2015年11月24日
組織:イスラム国(IS、旧ISIS又はISIL)
出所:ハヤート・メディア(イスラム国傘下)
音声:アラビア語、英語
重要:★☆☆☆☆

【動画の内容及び解説】
イスラム国とはどのような国なのか、CGを駆使して簡潔にまとめられた動画。アラビア語版のほかに英語版もある。予告バナーが出回るなど、公開直前まではハヤート・メディアから多言語大型動画が登場かと期待が高まっていたが、内容が薄く、チープな出来映えでダサイのが残念である。次回に期待したい。

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【パリ同時襲撃】イスラム国のジハード戦士 「フランス軍の空爆でパン工場や病院が破壊された」

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番号:253
題名:فشل القصف الفرنسي
和訳:フランスの空爆の失敗
公開:2015年11月22日
組織:イスラム国(IS、旧ISIS又はISIL)
出所:ラッカ県広報部(イスラム国傘下)
音声:仏語(アラビア語字幕あり)、アラビア語(仏語字幕あり)

【動画の内容及び解説】
フランス語話者のジハード戦士が登場し、空爆の破壊跡から、フランス軍がシリアのラッカで行った空爆によって、パン工場や病院が破壊されたと主張する。

ジハード戦士は、
「フランスがやったことを見ろ! パン工場の事務所を空爆した ここにミサイル10発が落ちた。付近に住む女や子ども、老人を恐怖に陥れた」
「オランド(大統領)よ、空爆は我々を弱体化させるどころか、むしろ強化している。おまえたちに家族を空爆された人々が、復讐のため我々に加わるだろう」
と主張している。

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【イスラム国】トルコの近代化と国民国家への歩みをイスラム的統治の放棄と批判

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番号:252
題名:تركيا ونار القومية
和訳:トルコと民族差別の炎
公開:2015年11月21日
組織:イスラム国(IS、旧ISIS又はISIL)
出所:ハヤート・メディア(イスラム国傘下)
音声:トルコ語(アラビア語字幕)

【動画の内容及び解説】
トルコにおける西欧化と世俗化を通じたトルコ民族主義に基づく国民国家樹立の歴史を、イスラムに基づく統治の否定という観点から批判的に紹介する宣伝動画。映像的にはかなりの力作である。

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19日のテレビ朝日『報道ステーション』にて使用されたイスラム国の宣伝動画

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↓祝日に遊園地で楽しく過ごすジハード戦士と子どもたち↑
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2015年11月19日に放送されたテレビ朝日の「報道ステーション」では、パリ連続攻撃事件に関するレポートの中で、イスラム国の広報戦略に関する解説があった。

当日の番組では、ジハード主義組織の宣伝動画の扱いについて、取り上げ方によってはプロパガンダの協力になりかねないとの懸念もあり、アメリカのCNN放送では基本的に利用していないといった姿勢を紹介しながら、巧妙な宣伝活動について解析するという目的を明示した上で、あえて宣伝動画の一部を放映していた。

確かに、こうした動画をテレビで扱うことに対する批判は一部で根強い。しかし、いくら受け入れ難い主義・思想の相手であっても、相手の存在を無視したところで、相手は現実に存在するのであり、適切に対処するためには相手を正確に知る必要があるだろう。

何がしかの「犯罪行為」の巧妙な手口について、「模倣犯が出かねない」ことを理由に公表を控えても、それで被害者の発生を防げるものでもない。やっかいで新たな現実について、地道に啓発していくほかないのである。

当ブログ管理人としてはこうした観点から、民放の極めて影響力の大きな報道番組において、こうした動画が今回慎重な形で使用されたことにつき、重要な意義があったと思われ、大いに歓迎するものである。


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↓息子を連れて買い物に出かけるイクメンのジハード戦士↑
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↓ドイツ語話者のジハード戦士が負傷した戦友を見舞う↑
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【マリのホテル襲撃】実行組織『ムラービトゥーン』はイスラム国派とアルカイダ派が主導権争い?

2015年11月20日に発生したマリのホテル襲撃の実行組織について、NHKは次のとおり報じている

 
(前半略)・・・襲撃のあと、国際テロ組織「アルカイダ」とつながりのある武装組織「ムラビトゥン」がツイッターで犯行を認め、中東の衛星テレビ局アルジャジーラは日本時間の21日朝早く、この組織のメンバーとされる男の声で「欧米諸国が預言者ムハンマドを侮辱したことなどへの報復だ」と犯行を認める声明を放送しました。
 この組織は、おととし隣国アルジェリアの天然ガス施設を襲撃して日本人10人を含む40人を殺害する事件を引き起こしたグループの指導者、ベルモフタール容疑者が立ち上げた組織ですが、詳しい実態は明らかになっていません。

※アルジャジーラが報じたムラービトゥーンの声明はこちら

当ブログ管理人は、2015年5月に公表された「ムラービトゥーン」の指導者であるアドナン・アブルワリド・サハラーウィの声明から、北アフリカを活動領域とするジハード主義組織「ムラービトゥーン」は、アブバクル・バグダディに忠誠を誓い、イスラム国の傘下に入ったと考えていた。

↑サハラーウィ指導者による忠誠の声明(※ルーマニア人の人質に関する警告も含まれている)

ところが、マリのホテル襲撃に関し、アルジャジーラが報じた音声のみの声明によると、ムラービトゥーンはイスラム・マグリブ諸国のアルカイダ(AQIM)と共同で今回の作戦を行ったとしている。周知のとおり、イスラム国はアルカイダと敵対関係にあり、ムラービトゥーンがイスラム国傘下の組織だとするなら、共同での作戦実施は考えられない。

他方、2015年の7月にムラービトゥーンから次のような声明も出ていた。ムラービトゥーンはアルカイダ系組織であり、イスラム国とは関係がなく、モフタール・ベルモフタール(ハーリド・アブルアッバス)が指導者であるとしている。
ムラービトゥーンの声明

これらの情報に鑑みるに、ムラービトゥーンの組織内において路線対立があり、イスラム国派のアドナン・アブルワリド・サハラーウィ(旧「西アフリカ統一ジハード運動(MUJAO)」指導者)と、アルカイダ派のモフタール・ベルモフタール(旧「覆面旅団」の指導者)が主導権争いをしているのではないか、と推測される。

その上で、今回のマリのホテル襲撃は、ベルモフタール率いる「アルカイダ派」のムラービトゥーンが行ったものと考えられるのではないか。

【パリ連続襲撃】イスラム国のフランス語話者のジハード戦士が登場 ※追記あり

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番号:251
題名:تهاوت باريس
和訳:パリは崩壊した
公開:2015年11月20日
組織:イスラム国(IS、旧ISIS又はISIL)
出所:アレッポ県広報部(イスラム国傘下、旧シリア領)
音声:フランス語(アラビア語字幕あり)

【動画の内容及び解説】
イスラム国のフランス語話者のジハード戦士2人が登場し、パリ同時襲撃事件を称賛し、フランスでの新たな攻撃を警告する。この動画に先立ち、他県広報部が制作した6本の宣伝動画と全く同じフォーマットの上、新たな情報もない。流石に食傷気味である。ただ、エッフェル塔が崩壊するCGがあるのと、フランス語によるメッセ―ジなので、震源地のフランスではそれなりに報じられるかもしれない。

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※2015年11月22日追記
同様のフランス語話者のジハード戦士による宣伝動画として、新たに『フランスを爆破せよ』と題する動画が公開されたので、以下リンクを記す。
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追記その2 ↓こちらもフランス語話者のジハード戦士が登場
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※2015/11/23追記
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【マリのホテル立てこもり】イスラム国に忠誠を誓ったジハード主義組織「ムラービトゥーン」が実行か? ※追記あり



2015年11月20日、アフリカ西部マリの首都バマコで武装したグループがホテルを襲撃して宿泊客など170人を人質に立てこもった事件について、アルジャジーラは、北アフリカのジハード主義組織『ムラービトゥーン』によって行われたものと報じている。

「ムラービトゥーン」とは、アルジェリアのガス生産施設襲撃事件を起こした「覆面旅団」と、西アフリカ統一ジハード運動(MUJAO)という2つのジハード主義組織が統合して2013年8月に設立された、北アフリカを活動領域とするジハード主義組織である。

しかし結成後、覆面旅団を率いていたモフタール・ベルモフタール(ハーリド・アブルアッバス)と、MUJAO系の指導者である「アドナン・アブルワリド・サハラーウィ」の間で内部対立が激化し、サハラーウィが2015年5月にイスラム国のバグダディ指導者に忠誠を誓った(※Youtube動画参照)ことで、両者は決裂した。以降、サハラーウィがムラービトゥーンの主導権を握っていると見られる。

アルジャジーラの報道が正しければ、パリでの同時多発攻撃事件に続いてイスラム国系組織により新たな作戦が行われたと見ることも可能である。

※追記:ベルモフタールの動向に詳しい「ヌアクショット通信」の報道によると、ベルモフタールが率いる「ムラービトゥーン」と、イスラム・マグレブ諸国のアルカイダ(AQIM)が共同で作戦を実行したと報じている。したがって、イスラム国に忠誠を誓ったサハラーウィ配下のジハード戦士によるものではない可能性が高い(イスラム国本部から特段の声明が出ていないことも、こうした見方を強めている)。

【パリ同時襲撃】ロシア語話者のイスラム国のジハード戦士 『フランスで起きたことは、ロシアでも起きる。楽しみに待っていろ』

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番号:250
題名:كما تَقْتلون تُقْتلون
和訳:お前たちが殺しているように、お前たちは殺される
公開:2015年11月20日
組織:イスラム国(IS、旧ISIS又はISIL)
出所:ジャジーラ県広報部(イスラム国傘下、旧イラク領)
音声:ドイツ語、ロシア語(アラビア語字幕あり)

【動画の内容及び解説】
イスラム国のジハード戦士が登場しパリ同時襲撃事件を称賛し、欧米等の十字軍連合への攻撃を警告する。先行して他県が制作した5本の宣伝動画と全く同じフォーマットの上、新たな情報もない。

オーストリア出身と見られるジハード戦士がドイツ語で、チェチェン出身と見られるジハード戦士がロシア語でメッセージを送っている

この動画の中で最もキャッチーな発言を挙げるとするならば、

TC 04:46から、イスラム国のジハード戦士が、

『フランスで起きたことは、ロシアでも起きる。楽しみに待っていろ』

と述べるところだろう。

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【パリ同時襲撃】イスラム国のジハード戦士 『フランスはじきに終わりだ。次はホワイトハウスだ。我らの炎で白い家を真っ黒にしてやる』

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番号:249
題名:باريس قبل روما
和訳:ローマの前にまずパリを
公開:2015年11月19日
組織:イスラム国(IS、旧ISIS又はISIL)
出所:チグリス県広報部(イスラム国傘下、旧イラク領)
音声:アラビア語

【動画の内容及び解説】
イスラム国のジハード戦士が登場しパリ同時襲撃事件を称賛し、欧米等の十字軍連合への攻撃を警告する。先行して他県が制作した4本の宣伝動画と全く同じフォーマットの上、新たな情報もない。

しかし、パリの連続攻撃事件のインパクトが余りに強かったため、ほとぼりが冷めるまでは、この程度の動画でも広く報道される状況が続いている。そこで、この動画の中で最もキャッチーな発言を挙げるとするならば、

TC【04:52~05:02】のところで、イスラム国のジハード戦士が、

『(フランスは)じきに終わりだ。次はホワイトハウスだ。我らの炎で白い家を真っ黒にしてやる』

と述べるところだろう。

【パリ同時襲撃】イスラム国のジハード戦士たちがシリアから作戦成功に祝意のメッセージ(動画2本)※追記あり

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番号:247、248
題名:والقادم أدهى وأمر 次はもっと嘆かわしく苦しい時が来る
     و إن جندنا لهم الغالبون 我らの戦士たちこそが勝利者 
公開:2015年11月19日
組織:イスラム国(IS、旧ISIS又はISIL)
出所:ホムス県広報部(上)、ユーフラテス県広報部(下)(いずれもイスラム国傘下)
音声:アラビア語、フランス語

【動画の内容及び解説】 
パリの同時襲撃事件に関する、イスラム国からの宣伝動画。冒頭は事件の報道の引用があり、その後、それぞれホムス県とユーフラテス県のジハード戦士たちが登場し、パリ連続襲撃作戦の成功に祝意のメッセージを送る。いずれも、イスラム国の地方広報部の制作であり、事件に関する新たな事実関係の開示はない。

ユーフラテス県の動画では、爆弾を準備してニューヨークへ向かうジハード戦士のイメージ映像が挿入されている。

※追記:一部報道で、このイメージ映像をもって、ニューヨーク攻撃の予告ではないかという見方が流れているが、この映像は過去にドイツ語の
戦意高揚歌『Fisabilillah』のプロモーション映像として使用されたものである。イスラム国にとってニューヨークが依然として標的であることに変わりはないが、過去に公開された動画の再利用という点に鑑みれば、新たなメッセージ性は乏しいと思われる。

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【イスラム国】公式英語機関紙『ダビク』第12号 「JUST TERROR」発刊 バングラデシュでの日本人殺害を宣言

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リンクが削除される可能性が高いので、報道・研究目的の方は、速やかにダウンロードされることをお勧めする。見識ある読者の方々の便宜を図るべく、この記事上には、異なる複数のリンク先を上げてある。リンクが切れていたら、別のリンクを試してほしい。ちなみに第1号から第11号までのバックナンバーはこちら

2015年11月18日発行のダービク12号では、バングラデシュでの日本人殺害事件に関する記事が掲載されており、これから報道で取り上げられるだろう。英国人の人質ジョン・キャントリーの連載も久しぶりに復活している。本人の写真もあるが、アレッポやモスルからレポートを伝えていた姿とは異なり、再び丸坊主と囚人服のスタイルに戻っている。
DABIQ12-P47

主な内容については、次のとおりである。

シナイ半島上空でのロシア旅客機撃墜事件については、シャルムエルシェイク空港のセキュリティを破る方法を見出し、機内に爆弾を運び込むことで墜落させたとしている。

DABIQ12-1
↑ジハード戦士が入手したとする死亡した乗客のパスポートの一部分を掲載している。

DABIQ12-2
↑こちらは、飛行機内に持ち込まれた爆弾のイメージだとしている。

DABIQ12-P25
↑25ページで、十字軍連合のメンバー国である日本の市民ホシ・クニオを、バングラデシュのランプールで銃により殺害したとしている。

DABIQ12-P40
↑こちらは40ページに記載。ベンガルのカリフの戦士たちが日本人を標的にしたとしている。

DABIQ12-P41
↑41ページ。ダービク7号での日本人に対する警告が再掲されている。

なお、前11号で「売り」に出されていた中国人とノルウェー人の人質は、処刑されたとして、遺体の写真が掲載されている。

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【パリ同時襲撃】イスラム国から初の関連宣伝動画2本 イラクのジハード戦士たちが作戦成功に祝意のメッセージ

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番号:245、246
題名:وقاتلوا المشركين كافة すべての多神教徒と戦え
   فرحة المسلمين بغزوة باريس パリ攻撃に関するイスラム教徒たちの喜び
公開:2015年11月16日
組織:イスラム国(IS、旧ISIS又はISIL)
出所:サラハディン県広報部(上)、キルクーク県広報部(下)(いずれもイスラム国傘下)
音声:アラビア語

【動画の内容及び解説】
パリの同時襲撃事件に関する、イスラム国からの初の宣伝動画。冒頭は事件の報道の引用があり、その後、イスラム国のサラハディン県とキルクーク県(イラク北部)のジハード戦士たちが登場し、パリ連続襲撃事件の実行者たちに祝意のメッセージを送る。また、フランスを始め、アメリカなどの十字軍連合の国々に対して将来の攻撃を警告している。

イスラム国の地方広報部の制作であり、事件の事実関係に関する新たな内容はない。フルカーン・メディアやハヤート・メディアといった本部直属の広報部門からの発表を待つ必要があろう。

サラハディン県広報部の動画キルクーク県広報部の動画

【パリ同時襲撃】池内恵・東大准教授 『声明文は匿名のジハード主義組織分析者によって精密に翻訳されている』 『このような分析者の存在は貴重』 ※追記あり


foresight-fb

国際情報サイト『Foresight(フォーサイト)』内の連載『池内恵の中東通信』にて、当ブログについて言及があった。パリ同時襲撃事件に関し、去る14日にイスラム国が公表した声明の和訳完全版を当ブログ管理人が作成し、公表していたところ、驚くべきことに、東京大学先端科学技術研究センターの池内恵・准教授から、次のようなコメントをいただいた。

・・・14日に公開された、フランスの「イスラーム国」を名乗る勢力による声明文では、「8名」が自爆ベルトと銃で武装して攻撃したと主張している。(声明文は匿名のジハード主義組織分析者によって精密に翻訳されている英訳はインテリジェンス情報会社SiTEによるものが無料で公開されている。SiTEの英訳あるいはニューヨーク・タイムズなどの抄訳で意訳された部分を文字通り日本語訳した部分について、日本の匿名分析者はいたくご立腹である。確かにイスラーム主義者の「美学」を伝えるにはこういった宗教的ディテールは不可欠であるが、全体の意味をとらえるには日本の報道機関による翻訳・抄訳も問題ないレベルではないかと思う。しかしこのような分析者の存在は貴重なので、読者諸賢はどうか暖かく、顧慮の念を込めて見守っていただきたい)【※引用終わり】


「精密に翻訳されている」
 
「このような分析者の存在は貴重


…といった評価にもまして、何よりもありがたかったのが、池内氏が「日本の匿名分析者はいたくご立腹」という箇所のリンクに、例の「立腹」にからんだ記事ではなく、チュニジアのボルドー博物館襲撃事件に関する当ブログの記事をリンクしていただいたことである。

チュニジア内務省の次官が直々に登場し、今年3月に発生したチュニジアでの事件へのイスラム国の関与について、詳細に語るという驚くべき大型テレビ番組があったにも拘わらず、日本国内でこの番組への関心は、当時全くなかったといってよい。日本のマスコミは、大統領や首相といった肩書きを持つ政治家の発言を重んじ、「アンサール・シャリーア」や「ウクバ・イブン・ナーフィア旅団」の実行説を落とし所として、事件報道の幕引きをしてしまった。



当ブログ管理人のような匿名分析者では、いくら隠れた真実や価値ある情報を訴えようとも、おのずと限界がある。池内氏に今回、チュニジアの事件に関する記事へのリンクを張っていただいたことで、すでに埋もれていたこの記事が、改めて多くの方々の目に触れる機会を得た。池内氏には、厚く御礼申し上げたい。これを切っ掛けに、見識ある方々の間において、チュニジアの事件の実行組織に関する再検討につながることを願っている。


※2015年11月18日追記

池内恵氏のForesightの連載「中東通信」に下のような追記がなされていた。チュニジアのバルドー博物館のテロについての記事へのリンクについては、単なる誤りだったようだ。
それでも、改めて「非常に興味深い」とのご感想とともに、示唆に富むコメントまでいただいた。
真摯なご対応に感激したところ、あらためて感謝申し上げたい。

池内氏に当ブログをご覧いただいているというだけで、大変光栄である。

(以下、該当部分の引用)

【11月17日追記:誤って、このリンクはこの匿名ブログが過去にチュニジアのバルドー博物館のテロについて記した記事へ繋いでしまっていた。
ここに「ご立腹」の記事へのリンクを改めて紹介する。チュニジアの旧記事自体は、非常に興味深いものであり、今も真相について大きな謎が残ることを示す。また、「イスラーム国」を名乗る集団が現れてもそれを便乗犯の宣伝として無視するチュニジア政府の基本姿勢が、現状では功を奏していると見ることもできるなど、関連して検討する価値がある要素を多く含む。通常の報道からは得られない貴重な視点と、解かれるべき「謎」を示してくれた得がたい記事であったため、私自身ふと思い出して読んでいた。ただし、筆者は匿名分析者のように、「イスラーム国」を名乗るアカウントがバルドー博物館事件を自らの犯行だと宣伝したとしても、その証拠を明確に示したり、その後も継続的に「イスラーム国」としての活動を行っていけなければ、チュニジアにも「イスラーム国」が現れたと言い切っていいのかというと躊躇する。ただしそのような便乗犯に近い存在を含めた現象が「イスラーム国」であるという考え方は成り立つ。それこそがイラクとシリアに限定されないグローバルなネットワークとしての「イスラーム国」の末端のあり方である。参考としてここにリンクを残しておく】。



【パリ連続襲撃】作戦の成功を祝いリビアで市民に菓子を配るイスラム国のジハード戦士

リビアのイスラム国支部「トリポリタニア州」の広報部が15日、以下の写真6枚を公開した。リビア北部の沿岸都市シルトで、イスラム国によるパリ連続襲撃作戦の成功を祝うため、ジハード戦士が市民に菓子を配っている様子だとしている。

シルトは、リビアの故カダフィ指導者の出身地であり、2011年2月からの内戦(2月17日革命)においては、最終段階まで反体制勢力に抵抗していた。そして、カダフィ政権が打倒されて以降は、新たな政治プロセスから事実上排除されていた。そのため、故カダフィ指導者の出身部族であるカザーズィファ族の人々を中心に不満が高まっていたが、そうした状況と混乱に乗じて、イスラム国が支配地域とすることに成功した経緯がある。フランスは内戦において反体制勢力を支援して軍事介入し、カダフィ政権の機甲部隊や重火器を空爆していたため、シルト市民の反仏感情は強い。

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パリ連続襲撃の成功を祝うイスラム国のジハード戦士と市民1
パリ連続襲撃の成功を祝うイスラム国のジハード戦士と市民2
パリ連続襲撃の成功を祝うイスラム国のジハード戦士と市民3
パリ連続襲撃の成功を祝うイスラム国のジハード戦士と市民4
パリ連続襲撃の成功を祝うイスラム国のジハード戦士と市民6
パリ連続襲撃の成功を祝うイスラム国のジハード戦士と市民5

【イスラム国ホラサン州】ナンガルハル県クートでアフガニスタン政府軍を撃退

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番号:244
題名:صد هجوم للجيش الأفغاني المرتد في منطقة كوت - ننجرهار  
和訳:背教者のアフガン政府軍をナンガルハル県のクートで撃退
公開:2015年11月15日
組織:イスラム国(IS、旧ISIS又はISIL)ホラサン州
出所:ホラサン州広報部(イスラム国傘下)

【動画の内容及び解説】
イスラム国のアフガニスタン支部「ホラサン州」のジハード戦士たちと、アフガニスタン政府軍の戦闘に関する宣伝動画。イスラム国のジハード戦士たちが政府軍によってナンガルハル県クートから一掃されたとの報道は嘘だと主張している。

11月9日に同じくホラサン州広報部によって公開された動画の続編にあたる。当ブログの管理人は、前回の動画に出てきた猿を連れたジハード戦士のその後が気になっていたのだが、残念ながら彼は今回登場しなかった。

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