アルカイダから分離したシリア征服戦線(※旧ヌスラ戦線、ファトフ・シャーム戦線などの表記もあり)は2017年1月28日付の声明で、他の4つの反政府勢力とともにそれまでの組織を解消し、新たな組織「シリア解放機構(Hay'at Tahrir al-Sham、Organization for the Liberation of the Levant)」を結成したとの声明を発表した。
シリア解放機構の声明によると、新たな組織の立上げの理由は、「シリアの革命に吹き荒れる陰謀と、革命を脅かす内部衝突に鑑みて一致団結を追求するため」としており、他の反政府勢力にもシリア解放機構への合流を呼びかけている。なお、今回統合されたシリア征服戦線以外の組織は、ヌールッディン・ザンキ運動、ハック部隊、アンサール・ディーン戦線、そしてスンナ軍である。
そして、新組織の指導者にはシリア征服戦線のアブムハンマド・ジュラニ氏ではなく、アブジャベル・ハーシム・シェイク氏が就任した。アブジャーベル・ハーシム・シェイク氏といえば、有力反体制組織「アハラール・シャーム運動」の元司令官だった人物である。新組織の指導者への起用は、アルカイダ色を薄めることで、広範な支持を得ようとの狙いがあるのかもしれない。
なお、アブ・ジャーベル・ハーシム・シェイク氏は公式ツイッターアカウントにおいて、シリア解放機構の設立に合わせて、アハラール・シャーム運動からの離脱を表明した。