20160523_IS_Saahil_Jablah_Attack_Statement
2016年5月23日に発生した、シリア北西部の都市ジャブラとタルトゥースでの連続爆発事件に関し、イスラム国「サーヒル県」から、攻撃を行った旨の声明(※上の画像をクリックするとオリジナルサイズの声明画像をダウンロード可能)が発出された。一連の爆発で、多神教徒のヌサイリ派(※アラウィ派)150人超を殺害、その倍の負傷者が出たとしている。

Uyuun_Umma_Wilayah_Saahil

「サーヒル」とは、「沿岸」を意味するアラビア語である。シリアの当該地方について「サーヒル県」というイスラム国地方支部の名称が使用されるのは、上の画像を見てのとおり、前身組織である「イラクとレバント地方のイスラム国(所謂ISIS又はISIL)」の時代に遡り、カリフ制復興を宣言してからは初めてである。

当該地方はアサド独裁政権の牙城であるが、このレベルの連続爆破攻撃を成し遂げたということは、イスラム国は再び組織として浸透したと見てよい。

↓アウマーク通信社による速報バナー
20160523_IS_Amaq Agency Tartus&Jablah Attack

そして、関連のNHK報道は次のとおりである。わが国公共放送が、遂に「アマーク通信」について言及した点が注目に値する。


シリアで7回の爆発 78人死亡 ISの犯行か
5月23日 20時45分
シリア北西部にある2つの町で、爆弾を積んだ車などによる爆発が7回相次いで、これまでに少なくとも78人が死亡し、過激派組織IS=イスラミックステートにつながりのあるアマーク通信は、ISが実行したものだと伝えました。
シリアの国営通信によりますと、北西部の地中海に面した2つの町、タルトゥースとジャブラで、23日、爆発が相次ぎました。このうち、タルトゥースでは、駐車場に止めてあった車が突然爆発したあと、集まってきた人たちを狙ったとみられる自爆テロが起きたということです。
また、タルトゥースから北に40キロほど離れたジャブラでも、同じように駐車場で爆発があったあと、続けて自爆テロが起きたほか、病院の入り口などでも自爆テロが相次ぎました。
シリア国営通信によりますと、合わせて7回の爆発で、これまでに少なくとも78人が死亡し、けが人も多数出ているということです。また、シリアの内戦の情報を集めているシリア人権監視団は、一連の爆発の死者は100人を超えているとしています。
今回の爆発のあと、過激派組織ISにつながりのあるアマーク通信は、「ISの戦闘員がアラウィ派の集まる場所を狙って攻撃した」として、ISが、アサド政権を支持するシーア派の一派を標的に実行したものだと伝えました。