アンサール・ディーン(マリ北部アザワド地方)

北アフリカのアルカイダ系3組織が統合され新組織「イスラムとムスリムの支援集団」を設立 ※追記あり

SnapShot(31)
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題名:الكلمة التأسيسية لجماعة نصرة الإسلام و المسلمين للشيخ: أبي الفضل إياد
和訳:「イスラムとムスリムの支援集団」の設立に関するイヤード・アブ・ファドル師の声明
公開:2017年3月2日
組織:イスラムとムスリムの支援集団(Jama'at Nusrat al-Islam wal Muslimeen)
出所:ザッラーカ・メディア
音声:アラビア語

【内容及び解説】
北アフリカのアルカイダ系武装勢力である「アンサール・ディーン」、「ムラビトゥン」及び「サハラ首長国」の統合により、「イスラムとムスリムの支援集団(Jama'at Nusrat al-Islam wal Muslimeen)」という新たな組織が設立されたことを宣言する動画。アンサール・ディーンの指導者であったイヤード・ガーリ師(アブ・ファドル)が、新組織の指導者に就任し、今回の声明を読み上げている。新組織の設立とともに、アルカイダ本部のザワヒリ指導者とマグレブ・イスラム諸国のアルカイダ(AQIM)のアブドルワドゥド指導者に対する忠誠を改めて宣誓している。

イヤード・ガーリ師の向かって左に座っているのが「サハラ首長国」のヤヒヤ・アブルハマム指導者であるが、向かって右に座る「ムラビトゥン」の代表者は、モフタール・ベルモフタール(ハーリド・アブルアッバス)指導者ではなく、代理のハサン・アンサーリという人物である。ベルモフタール指導者は、2013年にアルジェリアのガス生産施設で起きた日本人人質殺害事件の首謀者として知られている。

今回統合された3つのグループは、同じアルカイダ系のジハード主義組織であったが、マリ北部のアザワド地方の解放と同地方でのシャリーア適用を主眼とするアンサール・ディーンに対し、他のグループは、国境に囚われない北アフリカ全域でのグローバル・ジハードを志向しており、一定の協力関係にありながらもジハードを展開する上で路線の違いがあった。今回、アンサール・ディーンのガーリ師を中心に新たな組織に統合されたということは、マリのアザワド地方におけるジハードに軸足が移されるのではないだろうか(なお、ガーリ師は、マリ北部のキダル地方出身のトゥアレグ人である)。

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SnapShot(30)


※2017年3月18日追記 イスラム・マグレブ諸国のアルカイダのアブドルワドゥード指導者から、傘下のアルカイダ系諸組織の統合と新組織の設立に祝意と感謝を表明する声明動画が公開された。
SnapShot(34)
声明の最後でアブデルワドゥド指導者は、フランスによる侵略とイスラム法施行の妨害を非難するとともに、戦いの場をお前たちの街へと移し、フランスの占領下にある人々と同様の恐怖の中で暮らすことを強いると述べるなど、フランス国内でのジハードの実施を示唆している。


※3月19日追記
アルカイダ本部(ジハードのアルカイダ総司令部)からも、「イスラムとムスリムの支援集団」の設立に対する支持と祝意を表明する公式声明が、以下のとおり発せられた(グローバル・イスラミック・メディア・フロント(GIMF)制作の英訳も併せてここに掲載する)。
20170319_AQ_Sahab_Jama'ah_Nusrah_Islam_Muslimin

 グローバル・イスラミック・メディア・フロント制作の声明英訳
Support and Blessing of Nusra al-Islam wal-Muslimeen

 

アフリカ・マリ北部アザワド地方のアルカイダ系ジハード主義組織「アンサール・ディーン」指導者の声明

iyad ghali
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番号:229
題名:
كلمة صوتية المجاهد إيادغالي
和訳:ジハード戦士であるイヤード・ガーリ指導者による音声の声明
公開:2015年10月30日
組織:アンサール・ディーン
出所:アンダルス・メディア
音声:アラビア語(※音声のみで映像なし。上記画像は2014年8月公開の映像から利用)

【動画の内容及び解説】
 アフリカのマリ北部アザワド地方を拠点とするアルカイダ系ジハード主義勢力「アンサール・ディーン」のイヤード・ガーリ指導者による音声の声明。アザワド地方の独立を目指す他のトゥアレグ人武装勢力が今年6月、アルジェリアや国連の仲介により停戦合意に署名したことを非難するとともに、アンサール・ディーンとして、飽くまでイスラム法「シャリーア」の適用を掲げジハードを行うことを宣言する内容。

 アンサール・ディーンの指導者の声明は2014年8月以来であり、非常に重要かつ貴重な声明である・・・などと今日興奮しているのは、日本では当ブログの管理人ただ一人であろう。それほど日本人には馴染のないテーマではあるが、2013年1月にアルジェリアのイナメナスにおけるガス生産施設で日本人の人質事件が発生した際には、俄かにこの地方への関心が高まった。

 当時、日本政府は現地の情報を得る伝手が全くなく、アルジェリア軍による掃討作戦の強行を、他国の大使館から知らされるような状況であった。また、わが国報道機関も事件終了後まで現地に入ることはかなわず、この地域における情報収集態勢の余りの貧弱さが危惧されたが、3年経ったら全てが忘れ去られ、今では元の木阿弥である。

 ところで、今もほとんど知られていないが、アルジェリアで日本人人質事件が発生する数日前、フランス等の合同部隊がマリ北部アザワド地方で「テロリスト掃討作戦」を実施したことに対し、日本国外務省は柄にもないほど勇ましく、
これを全面的に支持する声明を発していた。

・・・我が国は,マリ暫定政府の要請に基づき,仏及び西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)の加盟国の部隊がマリ国軍によるテロとの闘いを支援することを歓迎します・・・


 そしてその数日後、日本人人質事件が発生した。作戦を実行した「血盟団」のモフタール・ベルモフタール指導者からの要求は次のようなものであった。

・・・我々の要求の達成が遅れれば、アルジェリアと人質の国に責任を負わせる。第1の要求はマリの人々への攻撃を止めることだ・・・

 事件当時、現地の日本人駐在員らは、欧米人を標的とした武装勢力による攻撃の巻き添えとなり、運悪く人質として捕らえられ、その結果命を落としたかのような受けとめられ方であった。実際には、日本政府はマリ北部情勢については明確に
「テロとの闘い」への支持を宣言しており、わが国は立派な当事者であった。

 当ブログ管理人は当時、マリ情勢に何ら関心も影響力もない日本国政府が、外交大国を気どって正義漢ぶった声明を出すのはいかがなものかと懸念していたが、嫌な予感は的中した。幸いにも、同様に見識のないわが国野党並びに報道機関からは、この点を追及されることがなかったので、安倍政権にとっては不幸中の幸いだっただろう。

 だが、現地情勢に関してさしたる知見も影響力もないのに、体面を重んじ不用意に欧米諸国と歩調を合わせ、その結果予想外の事件に巻き込まれて右往左往するという構図は、2年後のイスラム国による日本人人質事件によって繰り返されることとなる。

 さて、アンサール・ディーンのイヤード・ガーリ指導者については、当ブログの管理人は本人が登場する
お宝映像(?)を保管しているところ、ここに特別に公開する。当ブログを密かにフォローしておられる、わが国政府の情報・公安当局の方々は、是非とも参考にしてほしい。



 動画の冒頭に登場するのは、ヨルダンのイスラム学者イヤード・クナイビで、マリの歴史紹介、イスラム教との関わり、西欧諸国による支配、ジハード組織の登場、そして、アンサール・ディーンの指導者イヤード・ガーリの経歴(マリ政府の元外交官であり、サウジアラビア領事の職を辞し、同組織を創設したとのこと)等を解説する。クナイビの映像は、本声明のため作成されたのではなく、報道番組等からの借用と見られる。その後、イヤード・ガーリ指導者が登場する。

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