事件後、イスラム国(IS)の現地支部「シナイ州」から、攻撃の一部始終を記録した画像が公開された。
イスラム国 シナイ州(旧アンサール・エルサレム)
事件後、イスラム国(IS)の現地支部「シナイ州」から、攻撃の一部始終を記録した画像が公開された。
(以下、NHK関連報道の引用)
エジプト軍 IS関連組織の指導者を殺害と発表
(以上、NHKの記事引用終わり)
この報道が「声明」とする情報源は、何とフェイスブックの投稿である。
上の画像は、エジプト軍報道官のフェイスブック公式ページにおける関連の投稿である。
エジプト軍が殺害したと主張しているのは、「アンサール・ベイト・マクディス(アンサール・エルサレム)」という組織の指導者「アブ・ドア・アンサリ」なる人物だという。
「アンサール・ベイト・マクディス」とは、「イスラム国シナイ州」の前身組織である。すなわち、イスラム国シナイ州の指導者アブ・ウサマ・ミスリが、イスラム国のバグダディ指導者に忠誠を誓う以前に使用していた組織名である。従って、既に「アンサール・ベイト・マクディス」という名の組織は存在しない。また、アブ・ウサマ・ミスリと、アブドア・アンサリは同一人物なのかどうかも不明である。
ちなみに、「アンサール・ベイト・マクディス」が活動していたころは、エジプト当局はこうした組織の存在を認めず、「テロ組織」のムスリム同胞団の仕業だと強弁していたが、今回の報道官の声明で、シナイ半島にイスラム国がいることを認めたと解してもよいのだろうか。
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番号:299
題名:رسائل من أرض سيناء 2
和訳:シナイの大地からメッセージ 2
公開:2016年1月23日
組織:イスラム国(IS、旧ISIS又はISIL)シナイ州
出所:シナイ州広報部(イスラム国傘下、旧エジプト領)
音声:アラビア語
重要:★★★☆☆
【動画の内容及び解説】
エジプトのムバラク政権崩壊を引き起こした「1月25日革命」から5週年を間近に控え、イスラム国シナイ州の指導者であるアブウサーマ・ミスリ師が動画による声明を発出した。
ミスリ師はエジプト国民に向けた声明で、(デモや選挙といった)平和的活動は、結局政権による弾圧と市民の殺戮を招いただけだったと総括する。そして、生きるために戦うか、平和的活動を行って殺されるしか、選択肢はないことが明らかになったとしている。また、ムバラクという悪魔が去った後、シーシという別の悪魔が後を継いだに過ぎないという現実を理解せよとエジプト国民に迫る一方、こうした苦い経験から学び、アッラーの教えに従って悪魔の支配者と戦うよう呼びかけている。
「エジプト革命5周年の現状」といった特集を予定している報道関係者の方々にとっては、必見の宣伝動画である。民主主義に基づく選挙を通じて理想のイスラム的統治を目指したムスリム同胞団の試みが、軍事クーデターによってあっさりと葬り去られた今、武器をとって断固としてジハードを戦うしかないというイスラム国の主張は、大いに説得力を強めている。
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番号:262
題名:رسالة الموحدين بعد نسف المرتدين
和訳:背教者の始末を終えた唯一神の信仰者たちからのメッセージ
公開:2015年12月8日
組織:イスラム国(IS、旧ISIS又はISIL)
出所:バラカ県広報部(イスラム国傘下、旧シリア領)
音声:フランス語、アラビア語
重要:★★★☆☆
【動画の内容及び解説】
チュニジア出身のイスラム国のジハード戦士たちが、フランスやチュニジアでの一連の作戦成功に祝意を表するとともに、更なる攻撃を警告する宣伝動画。2015年11月25日に発出されたチュニジアでの大統領警護隊のバスに対する殉教攻撃についての声明を聞いて、ジハード戦士たちが歓喜するシーンが動画の冒頭に挿入されており、当該事件に関連する初の動画である。動画の最後では、アサド政権の兵士が逆さ吊りにされ銃殺される。
重要な点は、チュニジア治安当局によって拘束され、刑務所に収監されている同志たちを、いつか解放すると強調していることである。チュニジアでは一時、イスラム国の支部が設立されたという声明が、アフリカのジハード主義組織の宣伝用SNSアカウント「イフリキヤ報道」を通じて発出されたが、以降(先日の大統領警護隊バスへの殉教攻撃まで)目立った動きが見られなかった。「イフリキヤ報道」も活動を停止している。これは、チュニジア治安当局による取締りが、一定の成果を上げていることを示唆しており、相当数のイスラム国メンバー及び支持者が拘束されているものと推測される。
チュニジアは、「アラブの春」と呼ばれる民主化運動が、曲がりなりにも前進している唯一の国であるが、イスラム国の封じ込めにおいても成果を出している唯一の国と言ってよい。
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番号:239
題名:شفاء النفوس بقتل الروس
和訳:ロシア人を殺し、魂を癒す
公開:2015年11月6日
組織:イスラム国(IS、旧ISIS又はISIL)
出所:アレッポ県広報部(イスラム国公式)
音声:アラビア語
【動画の内容及び解説】
エジプトのシナイ半島におけるロシア旅客機の撃墜に関する宣伝動画。ロシアによるシリア内戦介入の経緯と、ロシアによる空爆の被害を受けているシリア北部アレッポの市民の声、そしてイスラム国のジハード戦士の声明等によって構成。なお、ロシア旅客機の撃墜について、新たな事実関係の開示はない。
冒頭は、ロシア軍による空爆を受けた地区で救助活動が行われていた最中に、再び空爆があり、爆発とともに映像が途切れる動画で始まる。イスラム国公式の「アウマーク通信」によって配信されたこの悲惨な動画は、イスラム国の支持者の間では広く知られている。
ロシアのシリア内戦介入の経緯などを紹介後、イスラム教徒に対する攻撃の復讐として、イスラム国の傘下組織「シナイ州」がロシアの旅客機を落としたと改めて表明する(旅客機が煙を出しながら落ちて行くイメージ映像あり)。そしてアレッポ市民たちのインタビューとなり、自分たちに代わり復讐してくれたシナイ州への感謝の声を口々に伝える。
更に、イスラム国のジハード戦士が登場し、ロシア軍機の空爆によって破壊された建物の前に立ち、「お前たち(ロシア人)が(我々を)殺すなら、お前たちも殺される・・・我々イスラム教徒が安全に暮らせないなら、お前たちもまた、安全に暮らすことなどできぬ・・・我々を空爆するなら、いつの日かお前たちを空爆してみせる」と述べ、イスラム教に基づく同害報復を警告する。
そして最後に、「シナイ州」指導者であるアブウサーマ・ミスリ知事の肉声による声明(11月4日に公表されたもの)が、ジハードの黒旗をバックに流されて、この宣伝動画は終わる。
※複数の動画のリンク先を以下に記すが、内容は同一。
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イスラム国シナイ州によるロシア旅客機の撃墜については日本でも関心が高く、当ブログへのアクセスも通常の2倍程度に達している。
そこで、シナイ州が11月4日に発表した、アブウサーマ・ミスリ知事による音声の声明について、旅客機撃墜に関する部分の詳しい和訳を作成した。
ジャーナリストの川上泰徳氏が指摘しているように、アラビア語で「撃墜」を意味する単語「イスカート」は、一義的には「~を落とす」という意味であり、日本語の「撃墜」よりも意味が広い。対空ミサイルによる攻撃でなくとも、機内に仕掛けられた爆発物による墜落も「イスカート」である。本件についてシナイ州は、一貫して旅客機を「イスカートした」と発表している。
なお、もう一点付け加えると、「然るべき時に明らかにする」という部分には「ビシャクリ・ラズィ・ナラ」(我々の目に見える形で)という表現があり、撃墜の真相についての動画を用意している可能性が高い。
(以下、ロシア旅客機の撃墜部分のみ)
ロシアの飛行機が落ちた。そして、イスラム国シナイ州のカリフの兵士たちが、飛行機を落としたとの声明を発した。この知らせを祝い歓喜した者たちもいれば、嘘だと非難した者たちもいる。
これぞ弱い者をお救いくださるアラーの御意志なのだと喜んだ者たちがいた。
(中略)
この知らせを嘘だと疑い非難する者たちに告ぐ。
お前たちは怒り狂って死ぬがいい。我らこそが(飛行機を)落としたのだ。
どうやって落としたかを明かす義務はない。飛行機の残骸を調べるがいい、
ブラックボックス(※ボイスレコーダー等)を解析するがいい。調査の結果を出してみせよ
我々が落としたのではないと証明してみせよ。怒り狂って死ぬがいい。
我らこそが(飛行機を)落としたのだ。どうやって落としたかは、然るべき時に、我々の目に見える形で明らかにするつもりだ。
一つ教えよう。飛行機を落としたのはヒジュラ暦1437年ムハッラム月17日だ。
この日は我らがカリフ(※イスラム国のバグダディ指導者)に忠誠を誓った記念すべき日である。
お前たちは怒り狂って死ぬがいい。我らこそが(飛行機を)落としたのだ
せいぜい調べよ、せいぜい疑え。我らの正しさを思い知るだろう。
(以下略)
※2015/11/8 追記
イスラム国の英語広報部門ハヤートメディアから、声明の英訳テキストが公開された。
イスラム国シナイ州は2015年7月、コンクルス対戦車ミサイルでエジプト軍のフリゲート艦の破壊に成功しており、その様子を撮影した宣伝動画を公開している。ところで、エジプト軍大本営発表によると、当該フリゲート艦で「火災」が起きたとされており、これが今も公式見解となっている。
先日のロシア旅客機撃墜事件に関しても、エジプト大統領閣下による以下の御託宣があり、わが国の主要メディアもこれを報じ奉っている。されど真実はアラーのみ知る、といったところか。
【カイロ時事】3日の英BBC放送(電子版)によると、エジプトのシシ大統領は、同国東部シナイ半島で起きたロシア機墜落事故で過激派組織「イスラム国」が撃墜したと主張していることについて、「プロパガンダ(宣伝工作)だ」と述べ、不快感を示した。
【NHK11月4日 5時45分】
エジプト東部で起きたロシアの旅客機の墜落について、エジプトのシシ大統領はイギリスのテレビ局とのインタビューで、「過激派組織IS=イスラミックステートが墜落させたというのはプロパガンダだ」と述べ、ISの関与を否定しました。
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番号:236
題名:إسقاط الطائرة الروسية ثأرا لأهلنا في بلاد الشام
和訳:ロシア旅客機撃墜 シリアの民衆のために復讐
公開:2015年11月3日
組織:イスラム国(IS、旧ISIS又はISIL)
出所:ニナワ県広報部(イスラム国傘下)
音声:アラビア語、ロシア語(アラビア語字幕あり)
【動画の内容及び解説】
エジプト東部のシナイ半島上空で、イスラム国シナイ州がロシアの旅客機を撃墜したことを受け、イスラム国のジハード戦士たちが菓子やビラを配って祝う様子や、喜ぶ市民の声を伝える動画。
動画の後半部分には、ロシア語を話すイスラム国のジハード戦士が登場し、シナイ州によるロシア旅客機撃墜に祝意を表明する。また、「豚のプーチンに告ぐ」として、飛行機や部隊を派遣すれば、イスラム国によって破壊されて後悔することになるだろうと警告し、今回の旅客機撃墜がその証左だとしている。
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番号:235
題名:نحن من أسقطها فموتوا بغيظكم
和訳:撃墜したのは我らである。お前たちは怒り狂って死ぬがいい
公開:2015年11月4日
組織:イスラム国(IS、旧ISIS又はISIL)シナイ州
出所:イスラム国シナイ州広報部
音声:アラビア語(音声のみ)
【動画の内容及び解説】
エジプト東部のシナイ半島におけるロシア旅客機撃墜事件について、イスラム国シナイ州が、直々に撃墜を宣言する声明。音声のみで注釈等はなくとも、イスラム国シナイ州の知事(指導者)であるアブウサーマ・ミスリの肉声に間違いない。この声を聞いて「音声を読み上げたのは誰かは不明」などと言っているようでは、「過激派」のモニターなどやめた方がよい。
声明では、イスラム国シナイ州による撃墜を疑う者たちに対し、「どのように撃墜したか、我々に明かす義務はない。せいぜい調べてみよ、原因を明かして見せよ。我らは然るべき時に撃墜方法を公表する」と挑発している。
また、ロシア旅客機を撃墜した日は、1年前にイスラム国シナイ州がバグダディ指導者に忠誠を誓い、正式に傘下組織になった日だとしている。
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番号:231
題名:من سيناء إلى بيت المقدس
和訳:シナイ半島からエルサレムへ
公開:2015年11月1日
組織:イスラム国(IS、旧ISIS又はISIL)シナイ州
出所:シナイ州広報部(イスラム国傘下)
音声:アラビア語・ヘブライ語(アラビア語字幕あり)
【動画の内容及び解説】
シナイ半島を勢力範囲とするイスラム国傘下組織「シナイ州」による広報動画。シナイ半島上空でのロシア旅客機の撃墜を宣言したことで、シナイ州への関心が高まっているが、この動画には旅客機に関する内容はない。パレスチナ人による一連のユダヤ人襲撃事件を称賛するとともに、シナイ州としても今後の対ユダヤ人攻撃を予告するのが主な内容。
この動画では、イスラム国・シナイ州の指導者(州知事)であるアブウサーマ・ミスリが登場する。破壊されたエジプト軍の戦車の前に立つ、顔にボカシがかけられた白服の男がアブウサーマ・ミスリで、エジプト当局がこれまで幾度となく「殺害」を発表した人物である。ロシア旅客機の撃墜の可能性が濃厚となった場合には、シナイ州への関心が更に高まると見込まれるので、指導者の資料映像として貴重であろう。
本動画の最期に登場するジハード戦士は、ヘブライ語でユダヤ人に向けて宣戦布告する。
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イスラム国の公式ラジオ放送局「アルバヤン」デイリーニュースにおいても、イスラム国によるロシア旅客機撃墜が報じられた。なお、上の画像のリンク先は、間違いなくロシア語による「アルバヤン」デイリーニュースの音声ファイルである。
↓こちらはアラビア語の「アルバヤン」デイリーニュースのリンク↓
あるイスラム国の支持者がSNSを通じて拡散していた内容を、十分に確認せず引用してしまいました。ここにおわびして訂正いたします。
イスラム法学者の中田考氏のツイッターにてご指摘があったとのことです。誤りをご指摘いただいた中田考氏に御礼申し上げます(中田考氏に当ブログの存在を知っていただけただけでも、光栄であります。愚かな間違いにも、意味はあったのかもしれません)。
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イスラム国の公式ラジオ放送「アルバヤン」でも、「イスラム国シナイ州」の戦闘員によってロシア旅客機が撃墜されたと宣言している。内容は昨日の声明と同内容で、新しい情報はない。
些細なこともすべて「テロリスト」の仕業にして、己の無能さは棚に上げて被害者面してきた嘘つきエジプト政府が、今回はムキになって墜落の原因は「技術的問題」であると強弁しているので、撃墜の疑いはむしろ高まっている。
現時点では関連の動画がないので、テレビ局関係者の方は、声明文の画像よりもこちらの音声による声明を素材として使われるとよいと思われる。
ロシア旅客機の撃墜に関する英語版の声明も公表されている。
イスラム国の公認通信社「アウマーク通信」は2015年10月31日付配信記事において、エジプトのシャルム・エル・シェイクを離陸したロシアの旅客機がシナイ半島上空で、イスラム国の戦闘員たちによって撃墜されたと報じている。アウマーク通信によれば、ロシアがシリアで行っている空爆作戦によって多数のイスラム教徒が死亡していることに対する報復だとしている。
また、SNSでもイスラム国による同内容の声明(イスラム国シナイ州発)が拡散している。
『ロシアの飛行機を撃墜し、十字軍のロシア人乗客220人超を抹殺』
※下記はトルコ語の声明でした。よく確認もせず、大変申し訳ありません。
他方、NHKはエジプト当局の話として、墜落の原因は技術的問題だと伝えている。
今後の事態の展開が注目される。
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番号:217
題名:من سيناء إلى الصومال
和訳:シナイからソマリアへ
公開:2015年10月1日
組織:イスラム国(IS、旧ISIS又はISIL)シナイ州
出所:イスラム国シナイ州広報部(旧アンサール・エルサレム)
音声:アラビア語
【動画の内容及び解説】
イスラム国のエジプト・シナイ半島の支部「シナイ州」の戦闘員3人が、ソマリアのジハード戦士たちに向けてメッセージを発する。
イスラム国シナイ州の戦闘員たちは、聖典クルアーンや預言者言行録「ハディース」を引用しながら、イスラム教徒としてカリフの下で団結することが重要と力説し、イスラム国のバグダディ指導者に忠誠を誓い、他のイスラム国領内へと移住するか、イスラム国の戦士として現地で戦うことを呼びかける。
ソマリアのジハード戦士たちとは、ジハード主義組織「アッシャバーブ」(アルシャバブ等の表記もあり)を意図していると考えられるが、「アッシャバーブ」はアルカイダ系組織であり、対立関係にあるイスラム国として、アルカイダからの(末端の戦闘員レベルでの)切り崩しを狙っているものと見られる。
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番号:208
題名:حصاد_الأجناد
和訳:戦士たちの収穫
公開:2015年9月1日
組織:イスラム国シナイ州(旧アンサール・エルサレム)
出所:シナイ州広報部(イスラム国傘下)
音声:アラビア語
【動画の内容及び解説】
イスラム国シナイ州がこれまでに行ってきたエジプト政府軍に対する攻撃作戦等をまとめた宣伝動画。
冒頭、「タウヒードとジハード集団」や、「アンサール・エルサレム」など、これまでシナイ半島を拠点としてきたジハード主義組織の歩みを紹介しながら、「アンサール・エルサレム」がイスラム国のバグダディ指導者に忠誠を誓い、「イスラム国シナイ州」となったことや、ムバラク政権崩壊後のエジプト情勢の顛末に触れた後、「シナイ州」による数々の対エジプト軍攻撃作戦の映像が公開される。
重要な内容としては、イスラム国シナイ州がコンクルス型対戦車ミサイルを使用してエジプト軍のフリゲート艦を破壊する映像だろう。イスラム国シナイ県は、過去に爆発し炎上するフリゲート艦の写真を公開していたが、エジプト当局は単に「火災である」として、シナイ州側の主張を否定していた。今回映像が公開され、エジプト軍の発表が虚偽に過ぎないことが明らかになった。
動画タイムコードの32分22秒から、フリゲート艦の破壊映像
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画像の下端のテキストには、「背教者のエジプト政府と、イスラム国との戦争に参加する母国クロアチアに見捨てられ、猶予期限が過ぎたため、クロアチア人の人質は殺害された」と記されている。
画像の左側は、過去のエジプト現地報道を引用する画像で、クロアチア政府が「テロとの戦いを支援する」、「(イスラム国と敵対する)クルド人自治政府への支援を継続する」といった見出しとなっている。
人質となっていたクロアチア人は先月、首都カイロで拘束されており、イスラム国シナイ州の活動範囲はシナイ半島にとどまらないことが明らかになっている。対イスラム国連合に協力する国々の外国人は、たとえ首都カイロに居住していたとしても、最早イスラム国の脅威と無縁ではない。
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番号:204
題名:A MESSAGE TO THE EGYPTIAN GOVERNMENT
亜訳:رسالة إلى الحكومة المصرية
和訳:エジプト政府へのメッセージ
公開:2015年8月5日
組織:イスラム国シナイ県(旧アンサール・エルサレム)
出所:シナイ県広報部(イスラム国傘下)
音声:英語(アラビア語字幕付)
【動画の内容及び解説】
フランス系のCGGという企業のカイロ支社に勤務していたTomislav Salopekという名のクロアチア人が、去る7月22日にイスラム国のエジプト支部「シナイ県」によって人質として拘束されたことを宣言する動画。ナイフを持った戦闘員の脇で人質がメッセージを読み上げる。エジプトの刑務所に収監されている全てのイスラム教徒の女性を釈放しなければ、48時間に人質を殺害するとしている。
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動画ナンバー:098
動画ナンバー:084
題名和訳:アンサール・エルサレム(ベイト・マクディス)がカリフのアブバクル・バグダディに忠誠を誓う
公開日:2014年11月10日
【動画の内容】
音声のみ。エジプトのシナイ半島を拠点とするジハード主義組織「アンサール・エルサレム(アンサール・ベイト・マクディス)」が、イスラム国のカリフであるアブバクル・バグダディに忠誠を誓い、正式に傘下組織となる。
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音声ファイルのアラビア語起こしPDFファイルはこちら
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動画ナンバー:050
アラビア語題名:هم العدو فاحذرهم 2
題名の和訳:『警戒せよ、彼らこそ敵である 2』
公開日:2014年10月5日
組織名:アンサール・ベイト・マクディス(※アンサール・エルサレムとも)
情報源:アンサール・ベイト・マクディスの公式ツイッターアカウント
【動画の内容】
エジプトのシナイ半島を拠点とするイスラム武装勢力「アンサール・ベイト・マクディス」が、エジプト政府軍の複数のスパイを拘束し、自供させ、処刑したことを伝える広報動画。途中、「イスラム国」の公式スポークスマンであるアブムハンマド・アドナーニの声明を引用し、ジハードの呼びかけに応じたことを暗示する構成になっている。
アラビア語題名:||وقاتلوهم حتى لا تكون فتنة (5) || استهداف إحدى آليات كشف الألغام
公開日:2014年9月17日
組織名:アンサール・エルサレム(※アンサール・ベイト・マクディスとも。エジプト・シナイ半島を拠点とする)
情報源:ツイッター公式アカウント
※上記動画は第三者によりアップロードされたものです。