シリア解放機構(旧シリア征服戦線、ヌスラ戦線)

【シリア解放機構】指導者が交代・・・アルカイダ系「ヌスラ戦線」のジュラニ前指導者が事実上のトップに就任

joulani

シリアの反政府勢力「シリア解放機構(Hay'at Tahrir al-Sham)」が発表した2017年10月1日付声明によると、最高意思決定機関である「シューラー評議会」において、アブ・ジャービル・シェイク総司令官の辞任が了承され、アルカイダ系組織の「ヌスラ戦線」をかつて率いていたアブ・ムハンマド・ジュラニ副司令官が当面の組織運営を担うことになった。また、アブ・ジャービル・シェイクは、シューラー評議会の議長に任命されたとしている。

なお、アラビア語紙の報道では、最近シリア解放機構から主要な反政府組織の分離や著名な幹部の離脱が相次ぐ中、組織の引き締めを図るために、すでに事実上の指導者であったジュラニが名実ともにトップに就任したと報じている。

20171002_HTS_Julani_Head

シリア解放機構の系列メディア「イバー通信」による関連報道
20171002_HTS_Iba_Julani_Head

【シリア解放機構】NHKは「シリア征服戦線」の解散と新組織の設立を無視

20170312_Tahrir_al-Sham_Damascus_Attack_Arabic

アルカイダから離脱した「シリア征服戦線」が、アサド政権の打倒を目指す他の多くの反政府勢力と統合して「シリア解放機構」という新組織が設立されたことについては、日本ではほとんど何の関心も向けられていない。無論、一般市民はそれでもかまわないが、わが国の公共放送であるNHKまでもが、事態の推移を一切無視した内容の記事を堂々と配信してよいのだろうか。先日、シリア解放機構がダマスカスで行った攻撃作戦について、NHKは「アルカイダ系の武装組織『シリア征服戦線』」が犯行声明を出したなどと報じた。

以下、NHKの報道より引用
"シリア 40人死亡の爆弾テロ アルカイダ系組織が犯行声明(3月13日 5時02分)
シリアの首都ダマスカスで起きた、少なくとも40人が死亡した爆弾テロ事件について、アルカイダ系の武装組織が犯行を主張する声明を出し、アサド政権が戦闘を優位に進める中、今後、劣勢に立たされた過激派組織が存在感を誇示しようと、都市部でのテロを活発化させるおそれがあります。
シリアの首都ダマスカスの中心部で、11日、路上に仕掛けられた爆弾と何者かが体に巻き付けた爆発物が連続して爆発し、シリア内務省によりますと、巡礼に訪れた外国人など少なくとも40人が死亡し、120人がけがをしました。
これについて、かつて「ヌスラ戦線」と名乗っていたアルカイダ系の武装組織「シリア征服戦線」が12日、インターネット上に声明を出し、アサド政権を支えるイランと、イスラム教シーア派の民兵組織に対する警告のために行ったと主張しています。(以下略)"

NHKは、この「犯行声明」の内容を確認したのだろうか。「シリア解放機構」の設立と、その後の展開について知らなかったとしても、声明の冒頭の組織名とロゴを見たら、情勢に何らかの変化があったことに気づくはずである。おそらくは、所詮「テロ組織」が出した声明なので、ウラ取りや内容の確認などは不要という認識だとしたら残念である。相手が悪者なら偽ニュースを流してもかまわないという態度では、気に入らない指導者を偽ニュースでこき下ろそうとする、某国のメディアと同じレベルである。
以下が、今回のダマスカスでの攻撃作戦に関するシリア解放機構からの公式声明である。
20170312_Tahrir_al-Sham_Damascus_Attack_Arabic

また、「シリア征服戦線」にせよ、「シリア解放機構」にせよ、アルカイダからの分離を主張していることについて、NHKはどう考えているのだろうか。「アルカイダ系の武装組織」と断定的に報じる以上は、何らかの具体的根拠が必要である。「シリア解放機構」が、いまだにアルカイダと結びつきを有していることを示す証拠があるなら、世界中の情報機関が求めている情報である。極めて興味深いので、ぜひとも開示していただきたい。

【シリア解放機構】旧ヌスラ戦線の指導者だったアブムハンマド・ジュラニ師が「軍事総司令官」として登場

アルカイダから分離した「シリア征服戦線」は、他の反政府勢力と合併して「シリア解放機構」という組織になったが、この新たな組織の司令官は、「シリア征服戦線」の指導者であったアブムハンマド・ジュラニ師ではなく、「アハラール・シャーム運動」の元司令官であったハーシム・シェイク師であった(なお、「アハラール・シャーム運動」は「シリア解放機構」に合流しなかった)。

2017年2月27日に公開された上のYoutube動画では、25日にシリア中部のホムスでアサド政権の情報機関に対しておこなわれたシリア解放機構による攻撃作戦について、ジュラニ師が「軍事総司令官」との肩書で声明を発表している。新組織の設立後も、ジュラニ師が健在であり、軍事面で重責を担っていることが明らかになった。

毎日新聞時事通信日本テレビなど、日本の複数のメディアが「シリア解放機構」との訳語を使用している。この訳語を日本で最初に使ったのは当ブログ管理人である(「シリア解放機構」のGoogle検索の結果は、3月1日現在では当ブログの記事がトップである)。

一方、ホムスでのアサド政権の情報機関に対する攻撃作戦について、NHKの報道は次のとおりである。この報道では、「シリア解放機構」といった固有名詞を使わず、「アルカイダ系の武装組織」などとしているが、正しい報道とは言えないだろう。今なおアルカイダとの繋がりが払拭されていないと見なすとしても、「アルカイダから分離したと主張する組織」との表現が適切ではないだろうか)。

 シリアの内戦終結を目指す和平協議が行われるなか、シリア西部で政府の情報機関を狙った爆弾テロが発生して、これまでに少なくとも42人が死亡し、協議を仲介する国連特使は「和平協議の妨害を図ったものだ」と非難しました。
 シリア西部のホムスで25日、政府の情報機関など2か所で爆弾テロが相次ぎ、内戦の情報を集めている「シリア人権監視団」によりますと、これまでに情報機関の幹部を含む少なくとも42人が死亡しました。
 (中略)また、アルカイダ系の武装組織が犯行声明を出しましたが、これについて、和平協議でアサド政権の代表を務めるジャファリ国連大使はスイスで記者団に対し、「ただでは済まさない」と述べ、対抗策をとる考えを表明しました。
 (中略)このアルカイダ系組織は、停戦合意の対象に入っておらず、今回の協議にも参加していませんが、アサド政権が報復として軍事行動を強め、戦闘地域が広がることも予想され、和平協議への影響が懸念されています。


※参考動画:シリア解放機構のハシム・シェイク(アブジャベル・シェイク)指導者によるシリア解放機構の設立に関する声明動画
  

アルカイダから分離した「シリア征服戦線(旧ヌスラ戦線)」、他の反政府勢力と統合し「シリア解放機構」を結成(※追記あり)

223034959_271107_18202176408121353272
アルカイダから分離したシリア征服戦線(※旧ヌスラ戦線、ファトフ・シャーム戦線などの表記もあり)は2017年1月28日付の声明で、他の4つの反政府勢力とともにそれまでの組織を解消し、新たな組織「シリア解放機構(Hay'at Tahrir al-Sham、Organization for the Liberation of the Levant)」を結成したとの声明を発表した。
20170128_Nusrah_JFS_Haia_Tahrir_Al-Sham_Statement

シリア解放機構の声明によると、新たな組織の立上げの理由は、「シリアの革命に吹き荒れる陰謀と、革命を脅かす内部衝突に鑑みて一致団結を追求するため」としており、他の反政府勢力にもシリア解放機構への合流を呼びかけている。なお、今回統合されたシリア征服戦線以外の組織は、ヌールッディン・ザンキ運動、ハック部隊、アンサール・ディーン戦線、そしてスンナ軍である。
そして、新組織の指導者にはシリア征服戦線のアブムハンマド・ジュラニ氏ではなく、アブジャベル・ハーシム・シェイク氏が就任した。アブジャーベル・ハーシム・シェイク氏といえば、有力反体制組織「アハラール・シャーム運動」の元司令官だった人物である。新組織の指導者への起用は、アルカイダ色を薄めることで、広範な支持を得ようとの狙いがあるのかもしれない。

なお、アブ・ジャーベル・ハーシム・シェイク氏は公式ツイッターアカウントにおいて、シリア解放機構の設立に合わせて、アハラール・シャーム運動からの離脱を表明した。

無題

※↓2017年2月1日追記



新組織「シリア解放機構」の指導者に新たに就任したアブジャベル・シェイク氏が1年前にモスクの金曜礼拝の説教を行った際の動画。目下の国際情勢では、トランプ米大統領の動向に関心が集中しており、シリア反政府勢力の合従連衡(アハラール・シャーム運動とシリア解放機構の二大陣営への収斂)には何の関心も向けられていないが、メディア関係者向けの映像資料として、今後の利用の可能性はあるだろう。


※↓2017年2月2日に公表されたシリア解放機構の新たな旗
20170202_Tahrir_Al-Sham_Official_Flag
 

【ファトフ・シャーム戦線】ドイツ人女性ジャーナリストをイスラム法に則り釈放 「ムスリムによる保護は一つ」 ※追記あり

2016年9月28日、シリアの反体制派組織「ファトフ・シャーム戦線」(アルカイダから分離した旧ヌスラ戦線、「シリア征服戦線」などの訳語もあり)はアラビア語による声明で、ドイツ人の女性ジャーナリスト、ヤニナ・フィントアイゼン(Janina Findeisen)を釈放したと発表した。その釈放の理由が非常に興味深く、この種の人質事件を考える上で、大いに示唆に富むケースだと言える。

↓画像をクリックして声明の画像を拡大
20160928_JFS_Janina_Findeisen_German_Prisoner_Release

声明の内容は次のとおりである。今からおよそ1年前の2015年11月、シリア国内においてドイツ人女性ジャーナリストが拉致されたと報じられ、その折にはヌスラ戦線(※ファトフ・シャーム戦線の前身組織)の仕業だとされた。ヌスラ戦線は、2015年12月1日付の声明でこれを否定していた。
そして今から1か月前、ファトフ・シャーム戦線は、この女性ジャーナリストを拉致した小グループに関する情報を掴み、捜索の結果、拘束されていた女性ジャーナリスト本人とその子どもを救出した。
この女性ジャーナリストは救出後にファトフ・シャーム戦線に対し、「シリア在住のドイツ人女性イスラム教徒を通じて、拉致を行ったとされる小グループから身の安全を約束されていた」と主張した。それを受けて、ファトフ・シャーム戦線はシャリーア(イスラム法)の法廷を開き、この女性に与えられていた保護が有効だと判断した。その結果、2016年9月28日に、ファトフ・シャーム戦線はシャリーアに則り、この女性を釈放したとしている。

これだけでは、イスラム教徒やシャリーアの研究者でない方々には、いま一つ腑に落ちないだろう。補足すると、つまり自分たちとは全く無関係のイスラム教徒であっても、そのイスラム教徒がある異教徒に与えたイスラム法上の保護(※ズィンマ)は、すべてのイスラム教徒が尊重せねばならないシャリーア上の義務なのである。このため、ファトフ・シャーム戦線は、自分たちとは無関係の小グループが与えたに過ぎない保護に基づいて、このドイツ人女性ジャーナリストを釈放したというのである。

この声明の後半では、この決定の根拠となるハディース(※預言者言行録)を、ブハーリー及びムスリムの二大「サヒーフ(※真正集)」から引用している。その内容は次のとおりである。

ある時、ウンム・ハーニー(※預言者の叔父のアブ・ターリブの娘)は預言者ムハンマドに対し、「私が保護を与えた何某・イブン・フバイラという者を、アリー(※ウンム・ハーニーの兄弟で後の第4代正統カリフ)が殺そうとしているのですが」と相談したところ、預言者ムハンマドは、「ウンム・ハーニーよ、あなたが保護を与えたということは、我々が保護を与えたということですよ」と語ったという(※このハディースは、女性への敬意と権利の平等といった観点で引用されることが多いが、イスラム教徒が異教徒に与えた保護の普遍性の根拠にもなり得るのである)。

また、別のハディースでは預言者ムハンマドが、「ムスリム(※イスラム教徒)によるズィンマ(※保護)は一つである。最も卑しい身分のムスリムであっても同等である。ムスリムが与えた保護を蔑ろにする者は、アラーや天使たちによって呪われる」と述べていたという。

そして声明の最後では、マーリク学派のウラマーであるイブン・バッタールの次のハディース解説を引用している。
「敵対者に与えられた保護は、すべてのイスラム教徒が守らねばならない。保護を与えたイスラム教徒が、高貴な者だろうと卑しい者だろうと、自由人だろうと奴隷だろうと、男だろうと女だろうと同じである」

※2016年9月30日追記

ターリク・アブドルハク氏

シリアで拘束され行方不明となっている安田純平氏とファトフ・シャーム戦線(シリア征服戦線とも)の仲介役として、安田氏の画像や動画を公開してきたシリア人ジャーナリスト、ターリク・アブドルハク氏がフェイスブックでの投稿で、安田氏の解放をファトフ・シャーム戦線に呼びかけた。ドイツ人女性ジャーナリストのケースと同様に、安田氏はシリアの反体制派武装勢力「アハラール・シャーム運動」のメンバーであるアブ・ゼイド氏から、イスラム教徒による保護を受けていたとしており、ファトフ・シャーム戦線がシャリーア(イスラム法)に従うならば、安田氏も無条件で解放されるべきだと主張している。

【ファトフ・シャーム戦線(旧ヌスラ戦線)】シリア北部アレッポの市民へジュラニ指導者からメッセージ

20160805_Fath_Sham_Front_Joulani_Message_to_People_in_Aleppo
↑画像をクリックして動画を視聴又はダウンロード↑

題名:رسالة صوتية لأهلنا في حلب
和訳:アレッポの我らが民衆へ音声によるメッセージ
公開:2016年8月5日
組織:ファトフ・シャーム戦線(旧ヌスラ戦線、ファタハ・シャーム戦線との表記も有)
出所:ブンヤン・メディア
音声:アラビア語
尺長:2分30秒

【キャプション】
先月、アルカイダからの分離と組織の改称を宣言したアブ・ムハンマド・ジュラニ(ジャウラニ、ゴラニ等の表記もあり)指導者による音声のメッセージ。今般、組織改称後の新たな広報部門として、「ブンヤン・メディア」が立ち上げられた。ジュラニ指導者の声明を発したことから、イスラム国の「フルカン・メディア」のように、組織の重要な決定や方針の発表を担当する部門と考えられる。

現在、ロシア軍の支援を受けるアサド政権の部隊が、シリア北部の主要都市アレッポを包囲しているが、ファトフ・シャーム戦線を始めとする反政府勢力側は、外側からこの包囲網の突破を試みており、殉教作戦を含む激しい攻撃を行っている。

ファトフ・シャーム戦線のジュラニ指導者は今回の声明で、イスラム世界、シリア国民、そしてアレッポ市民に対し、包囲網突破に向けた反政府勢力の最近の勝利を祝っている。また、この一連の勝利は、単にアレッポ包囲網を打破するだけではなく、シリア内戦の勢力バランスを変え得るものとなるだろうと述べている。また、反政府勢力の団結や、砲撃に晒されながらも耐えて尊厳ある生き方を貫くアレッポ市民を称賛している。

【ファトフ・シャーム戦線(旧ヌスラ戦線)】ジュラニ指導者の本名は「アフマド・フセイン・シャラ」 弱冠32歳

joulani_1
「ヌスラ戦線」の指導者であるアブ・ムハンマド・ジュラニ(※ジャウラニ、ゴラニなどの表記もあり)は、アルカイダからの離脱とともに「ファトフ・シャーム戦線」に改める宣言を発した際、素顔を明らかにしたことにより、その人となりが明らかになりつつある。以下の内容は、シリア発の有力ニュースサイト「シャーム・ネットワーク」が報じたものである。

ジュラニ(ジャウラニ、又はゴラニ)指導者の本名は、アフマド・フセイン・シャラ。シリア南部ゴラン地方の町ラフィドの近くの村で生まれた(※上の画像のとおり、他の報道では、1984年生まれとの情報もある)。

ジュラニ氏の父親は、かつてシリア政府の石油省の職員であったが、サウジアラビアに移った後、複数の会社に勤務していた。父親は、経済の専門家で複数の著書があり、サウジで数年間過ごした後にシリアに戻り、首都ダマスカスでビジネスを始めたとされる。また、母親は地理の教師で修士号を取得している。家族には、4人の兄(弟)と2人の姉(妹)がいる。なお、イスラエルによるゴラン高原の占領の後、両親は出身地の町から避難している。

ジュラニ氏は、小学校、中学校、そして高校と首都ダマスカスで育ち、大学では報道分野について学んでいた。だが、2003年にアメリカの対イラク戦争が起きると、学業を打ち切り、すべてを捨ててイラクへ赴き、アメリカ占領軍との戦闘に何か月か従事したものの、イラク政府軍によって拘束され、数か月間収監された。

その後、ジュラニ氏はシリア政府に引き渡されたが、すぐに釈放された。ところが、アサド政権の情報機関からジュラニ氏の思想面に関する報告書が出されると、再び拘束されてしまう。拘束の時期は、2004年から2005年の間とされる。

ジュラニ指導者は、首都ダマスカスの北にあるサイドナヤの刑務所に収監され、一時は生死不明となる。その後、釈放された元収監者がジュラニ氏の家族を訪れ、刑務所に収監されているが健在であることを伝える。両親は刑務所に面会を求めたが、実現しなかった。

2011年の3月にシリアで反体制運動が起きると、アサド政権当局は、アルカイダとの関係やジハード主義思想が疑われて収監されていた容疑者全員を釈放する。その中に、アブ・ムハンマド・ジュラニ(ジャウラニ)こと、アフマド・シャラ氏もいた。

ジュラニ氏の性格は、おとなしく内気であり、かつては信心深い方ではなく、ジハードにも関心がなかったという。ところが、2003年のイラク戦争をきっかけに、他の多くの若者たちのように、ジハード主義思想や強固な信念からというよりは、アラブ民族主義や一般的な宗教心からイラクに向かったところ、イラクやシリアの刑務所でシャリーア(イスラム法)を学び、ジハード主義思想に傾倒するようになったという。

ジュラニ氏はサイドナヤの刑務所から釈放されると、当時「イラクのイスラム国」と呼ばれていたイスラム国の指導部と直接連絡をとり、「ヌスラ戦線」設立の指令が下されると、武器、資金、人員などの支援を受け取った。その後、イスラム国が前身組織の「イラクとシリアのイスラム国」となったことを宣言するが、ヌスラ戦線はこれに従わず離脱する。ジュラニ氏はアルカイダ本部のアイマン・ザワヒリ師に忠誠を誓うとともに、アルカイダのシリア支部の指導者となった。そして今般、アルカイダからの分離を宣言し、素顔を晒すに至っている。

↓参考:2015年5月にアルジャジーラで放送されたジュラニ氏インタビュー
 

【ファトフ・シャーム戦線】組織としての10か条の綱領を発表

Fatah_Sham_Front_Emblem

 2016年7月29日(日本時間)、ヌスラ戦線によるアルカイダからの分離宣言に合わせて、新たに設立された組織「ファトフ・シャーム戦線」(ファタハ・シャーム戦線との表記もあり)は、さっそく10か条からなる組織の綱領を、インターネットのテレグラム公式アカウントを通じて、下の画像の形式で公表した(クリックすると拡大表示)。
20160729_Fath_Sham_Front_10_Purposes
 基本的に、シャリーア(イスラム法)の適用やジハードの実施といった、ヌスラ戦線時代からの方針を踏襲しているが、特に注目すべき点としては、第5条において、イスラム教徒の民衆だけでなく、「不信心者の民」が虐げられていても、その不正を除くとしており、イスラム教スンニ派以外の宗派にも一定の配慮が見られることである。

 また、第9条において、不和や対立を否定し、主張を揃えて互いに連携し、ジハード戦士たちが、ひいてはウンマ(イスラム共同体)が真理のため同じ旗の下に一致団結せねばならないとするなど、シリアの他の反政府勢力との協調を重視する姿勢を打ち出している。

※2016年7月30日追記
ファトフ・シャーム戦線の設立に関する英語の声明も発せられたので、参考までに掲載(※上記10か条の綱領の英訳ではないので注意)

20160729_Fatah_Al-Sham_Front_Regarding the Formation

【ヌスラ戦線】ジュラニ指導者がアルカイダとの分離を宣言 新組織「ファトフ・シャーム戦線」を設立 ジハードを継続へ


 2016年7月29日(日本時間)、Orient Newsはヌスラ戦線の指導者アブ・ムハンマド・ジュラニ氏(「ジャウラニ」「ゴラニ」などの表記もあり)の動画を配信した。ジュラニ氏は動画に素顔を晒して登場し、アルカイダからの分離と、新組織「ファトフ・シャーム戦線」(ファタハ・シャーム戦線との表記もあり)の設立を宣言した。
 
 ジュラニ氏はこの動画で、アルカイダのザワヒリ師と副官のアフマド・ハサン・アブ・カイル氏が、シリア国民のジハードと革命を優先する姿勢を示したことに謝意を表し、高く評価している。
 そして、アメリカとロシアが率いる国際社会が、アルカイダ系のヌスラ戦線を攻撃するとしながら一般のイスラム教徒を攻撃しており、こうした口実を与えないためにも、ヌスラ戦線としての一切の活動を放棄し、「ファトフ・シャーム戦線」という新たな組織として活動すると宣言した。また、「ファトフ・シャーム戦線」は国外の如何なる方面とも何ら関係を有さないと述べ、アルカイダから分離したことを明言した。
 新たな組織の目的は、(1)シャリーア(イスラム法)による統治、(2)ジハード戦士たちを統合し、シリアを暴君の支配から解放する、(3)イスラム法に則りあらゆる手段でシリアでのジハードを堅持、(4)イスラム教徒の困難の緩和、(5)治安を回復して民衆に尊厳ある生活を保証することだとしている。

※2016年7月29日追記
NHKが本件について報じた。これまでの動きや関連情報にも触れながら、よくまとまっている。しかし、「ジュラニ容疑者」という表現は、いかがなものか。テロ組織として扱われているとはいえ、具体的にどんな容疑があるのか不明である。
また、多くの日本の報道機関は、一定期間が経過すると記事を削除してしまうので、こういう良質な記事をアーカイブとして利用できないのは真に残念である。公共の利益のため、ここに転載しておく。

7月29日 7時53分
 内戦が続くシリアで、アサド政権と激しい戦闘を続ける国際テロ組織、アルカイダ系の武装組織、「ヌスラ戦線」の指導者が、アルカイダとの関係を解消すると発表し、内戦の構図にどのように影響を与えるかが注目されています。
 シリアで活動するアルカイダ系の武装組織、「ヌスラ戦線」の指導者、アブムハンマド・ジュラニ容疑者は28日、シリアの反政府系のテレビ局を通じて声明を発表し、アルカイダとの関係を解消すると宣言したうえで、組織名を「シリアの解放」を意味する「ファトフ・シャーム戦線」に変えることを発表しました。
ヌスラ戦線はアサド政権の打倒を掲げ、ほかの反政府勢力とも連携して政府軍との戦闘を続けてきたほか、ライバル関係にある過激派組織IS=イスラミックステートとも衝突を繰り返してきました。
アメリカからはアルカイダ系であることをなどを理由にテロ組織に指定され、アメリカ主導の有志連合やロシア軍の空爆の対象となってきたため、テロ組織との関わりはないとアピールし、勢力の維持を図るねらいがあるとみられます。
一方、今回の発表に先立って、アルカイダ側も声明を出して関係の解消を容認する姿勢を示しており、ヌスラ戦線とアルカイダの関係解消が、シリア内戦の構図にどのような影響を与えるかが注目されています。
 
ヌスラ戦線とは
「ヌスラ戦線」は、内戦が続くシリアを拠点に活動するイスラム過激派組織で、シリア各地でアサド政権との間で戦闘を続けています。
2011年に結成され、おととし、アルカイダの指導者、ザワヒリ容疑者に忠誠を誓ったあと、過激派組織IS=イスラミックステートと対立を深めました。
シリア国内では北西部のイドリブなどでほかの反政府勢力と協力し、シリアの政府軍との戦闘を続けてきたほか、ライバル関係にあるISとの衝突も繰り返してきました。
アメリカ政府からテロ組織に指定され、ISとともに有志連合による空爆を受けているほか、ロシア軍も空爆の対象としています。こうしたなか、ヌスラ戦線は各地の拠点を失うなどして戦力が弱体化し、追い詰められているとも伝えられていました。
一方、ヌスラ戦線は去年6月に取材のためシリアに入ったあと、行方が分からなくなっている日本人フリージャーナリストの安田純平さんを拘束しているとみられていますが、ヌスラ戦線自身はこれまで、安田さんの拘束について具体的な情報を出していません。

米は軍事作戦を継続
「ヌスラ戦線」をテロ組織として指定しているアメリカ、ホワイトハウスのアーネスト報道官は28日の記者会見で、ヌスラ戦線が国際テロ組織アルカイダとの関係を解消すると発表したことについて、「アメリカはヌスラ戦線が欧米などへの攻撃を行う意図を持ち続けていると分析している」と述べ、ヌスラ戦線はテロ組織だとするこれまでの認識に変わりはなく、引き続き軍事作戦の対象になると強調しました。

【ヌスラ戦線】アルカイダのザワヒリ指導者の副官による声明 「シリアのジハードを守るために必要な措置を採れ」 アルカイダからの分離容認を示唆? ※追記あり

IMG_0925
↑画像をクリックして動画を視聴又はダウンロード↑

和訳:アイマン・ザワヒリ師の副官アフマド・ハサン・アブ・カイル師の音声の声明
公開:2016年7月28日
組織:ヌスラ戦線
出所:マナーラ・バイダ・メディア(ヌスラ戦線公式広報部門)
音声:アラビア語
尺長:6分31秒

【内容及び解説】
 最近、シリアのジハード支持者のSNSアカウントや専門家などの間では、ヌスラ戦線が近くアルカイダから分離するのではないかとの見通しが飛び交っていたが、そうした動きの前ぶれのような声明が、ヌスラ戦線の公式広報部門から出された。
 アルカイダのザワヒリ指導者の副官とされるアフマド・ハサン・アブ・カイルがこの音声による声明で、ヌスラ戦線の指導部に対し、「イスラム教徒の利益と、シリア民衆のジハードを守るために前進せよ、そのために適切な措置を採れ」と呼びかけており、他の組織との連携を促している。

※2016年7月29日追記
その後、ヌスラ戦線の指導者であるアブ・ムハンマド・ジャウラニの声明が間もなく出されるとの予告画像が配信された。ジャウラニ指導者が遂に素顔を明かしている。
↓画像をクリックして拡大表示
20160728_Nusrah_Front_Manarah_Baida_Julani_Soon
 (※ジャウラニ指導者については、ゴラニ、ジュラニなどの表記もあり)

【ヌスラ戦線】アサド政権による電力供給の遮断に太陽光発電で対抗

↑画像をクリックして動画を視聴又はダウンロード↑

題名:الطاقة البديلة في المناطق المحررة
和訳:解放された地区における代替エネルギー
公開:2016年7月21日
組織:ヌスラ戦線
出所:ハマ特派員(ヌスラ戦線公式)
音声:アラビア語(※当ブログ管理人による独自字幕)

【キャプション】
内戦が続く中東のシリアでは、アサド政権が反政府勢力が支配する地区への電力供給を遮断して報復を行っている。これに対し地区の住民は、独自に大型のディーゼル発電機を導入して対処しているが、燃料価格の高騰もあり、各戸で太陽光発電を導入するといった取り組みも行われている。アルカイダ系組織のヌスラ戦線が公開した動画であるが、「イスラム過激派」の「プロパガンダ動画」というよりは、住民生活に密着した良質の報道レポートと呼ぶに相応しい。

【サウンドバイト】
(記事冒頭のYoutube動画の日本語字幕を参照)


【イスラム国】フロリダ州銃乱射事件の実行者が連帯を表明したヌスラ戦線のアメリカ人殉教者の動画

NHKの報道によると、FBIのコミー長官は記者会見で、フロリダ州オーランドのナイトクラブでの銃乱射事件の実行者が、事件の現場から警察などにつながる緊急電話番号にみずから電話をかけて、イスラム国のバグダディ指導者に忠誠を誓う発言をしたほか、シリアで殉教攻撃を敢行して死亡した武装組織「ヌスラ戦線」のアメリカ人ジハード戦士への連帯を示す発言をしたと明らかにした。


↑画像をクリックしてヌスラ戦線のアメリカ人戦闘員の動画を視聴

シリアで殉教攻撃を行った ヌスラ戦線のアメリカ人ジハード戦士とは、「アブ・フライラ・アメリーキ」、本名ムニール・ムハンマド・アブ・サーリハ氏である。アブ・フライラ・アメリーキが登場する殉教作戦のドキュメンタリ動画『イドリブ県・ジャバル・アルバインの戦い』は、2014年7月に、ヌスラ戦線の公式広報部門「マナーラ・バイダ・メディア」から公開されている。以下、動画中の場面のスナップ画像である。報道関係者の方々等に活用していただければ幸いである。

↓アブ・フライラ・アメリーキの画像
アブ・フライラ・アメリーキ
アブ・フライラ・アメリーキ2
アブ・フライラ・アメリーキ3
アブ・フライラ・アメリーキ4

↓殉教作戦に出撃する直前、仲間たちとの別れ
アブ・フライラ・アメリーキ5

↓アブ・フライラ・アメリーキが乗った爆発物を積載した車両
アブ・フライラ・アメリーキ7

↓爆発の瞬間の映像
アブ・フライラ・アメリーキ6

【安田純平氏の拘束】ノルウェー人人質のケースとの類似性が気がかり

アルカイダ系の組織である「ヌスラ戦線」に拘束されていると見られる日本人ジャーナリスト、安田純平氏が、オレンジの囚人服を着せられ助けを求めている画像が、先日公開された。手書きのボードで「これが最後のチャンスです」と訴えるなど、以前公開された動画の様子とは異なり、事態は緊迫化、解放は難航の様相を呈している。

ヌスラ戦線によって過去に拘束された欧米人の人質らは、時間がかかったとしても最終的には解放されてきており、なぜ安田氏の交渉だけが進展しないのだろうか。いくつかの基本事項を整理しつつ、今後の動向について考察してみたい。

問1.ヌスラ戦線は、アサド政権やイスラム国といった敵対者でなくても、人質として拘束するのか?
答 YES


 日経新聞の報道によると、ヌスラ戦線には人質解放交渉を専門に扱うチームがあるといい、この交渉チームと各国政府がそれぞれ仲介者を用意、仲介者同士で協議を始めるのが一般的という。その後、交渉チームが直接、政府側仲介者と接触し具体的な話を進めるとされる。
 これまで欧米人の人質は、こうした交渉の結果、無事に解放されてきたようだ。2016年5月に解放されたスペイン人記者3人のケースは、まだ記憶に新しい。その他の事例については、当ブログの過去記事を参照。

問2.ヌスラ戦線が、そうした人質を拘束する目的は?
答 身代金の確保、または、ヌスラ戦線のメンバーや価値ある人物との「捕虜交換」


 欧米人が人質のケースは、身代金の支払いで決着していると見られる。そうした場合でも、人質の国籍国の政府は、いわゆる「テロ組織」に資金を渡したとは公にできないので、交渉過程について何一つ明かさないまま、単に仲介国(者)に謝意だけ表明するのが通例である(※身代金を「払った」とも「払わない」とも決して言わない)。
 また、「捕虜交換」とは、互いに拘束した戦闘員同士の交換のみを必ずしも意味するものでなく、実態としては「人質交換」とでも呼ぶべきケースも含まれる。ヌスラ戦線側が拘束していたマアルーラのキリスト教修道女と、アサド政権側が拘束していたイスラム国の指導者であるアブ・バクル・バグダディ師の元妻サジャ・ドレイミらの「捕虜交換」が行われたケース(2014年3月)が良く知られている(※その後サジャ・ドレイミはレバノン軍によって拘束されたが、これもまた、レバノン政府による「捕虜交換」用の切り札確保の一環だった)。
 過去の事案を見る限り、人質(捕虜)が解放されるのは、この2つの目的のいずれかが達成された時に限られている。したがって、捕らえられた人質に悪意はないとか、シリア情勢を憂う善人であるとか、何か誤解を解けば許されるなど、誠意をもって話しあえば解決する類の問題ではない。


↓「捕虜交換」によってキリスト教修道女が解放された際の動画


↓イスラム国のバグダディ指導者の元妻サジャ・ドレイミの映像


問3.「1か月間の期間内で解放交渉に進展がない場合、安田氏をイスラム国に引き渡す」との報道があるが、ヌスラ戦線とは敵対関係にあるイスラム国への引き渡しはあり得るのか?
答 「引き渡し」は単なる脅しではなく、イスラム国との「捕虜交換」の結果として、安田氏の「引き渡し」は起こり得る。

問4.安田氏の解放交渉がこのまま何ら進展しなかった場合、ヌスラ戦線が身代金などの見返りを得られなかったことを意味するが、それでもイスラム国にとって、安田氏を引き取るに足る理由があるのか?
答 あり。過去には人質を「見捨てた」政府を相手にせず、人質を広報誌「ダービク」の紙面で「売りに出す」ケースも。


 日本政府は先のG7伊勢志摩サミットで、身代金を一切支払わないと明言し、他国にもそのようにするよう求めており、後藤健二氏の前例にも鑑みれば、身代金要求には絶対に応じない姿勢であろう。また、日本側には、安田氏と交換するための「捕虜」や「受刑者」などもいない。従って、ヌスラ戦線側と何らかの取引が成立する可能性は、現時点でほぼ皆無である。
 ただ、国際社会を公然と敵に回すことでコアな支持層を獲得してきたイスラム国にとっては、人質に対する価値判断は当然異なる。後藤健二氏の一件では、日本政府はヨルダンに外務副大臣を長とする現地対策本部を立上げ、周辺国をも巻き込み大規模な対応に追われた。すなわち、日本人の人質を利用して日本側を翻弄した際の高い宣伝効果は、既に実証済みである。イスラム国が捕虜としているヌスラ戦線の戦闘員を解放する見返りとして、安田氏を引き取る可能性は否定できない。
 また昨年配信されたイスラム国の公式広報誌「ダービク」第11号で、「政府に見捨てられた者」として、中国人とノルウェー人の人質を「売りに出した」前例があることも、忘れてはならない。

問5.安田氏の今後の救出の見込みは如何?
答 欧米人の人質解放の豊富な事例に基づく楽観から一転して、非常に厳しい状況にある。


特に、前述のノルウェー人の人質の状況と、次のような類似点があるのが気がかりである。周知のとおり、ノルウェー人の人質は、公式広報誌「ダービク」の第12号で、「不信心者の国と組織に見捨てられた」として、殺害されたことが明らかになった。

(1)ノルウェー政府も、首相及び外相が「身代金は払わない」と明言していた。
(2)人質はトルコからシリア北西部のイドリブへ入った後、消息を絶っている。
つまり、ノルウェー人の人質は、イスラム国の支配地域へ直接入っていないことから、現地を支配する別の武装勢力にまず拉致され、ノルウェー政府との解放交渉が行き詰まった後、イスラム国に引き渡されたと考えられる。Newsweekの報道によれば、ノルウェーの首相は記者会見で次のとおり発言していた。
"In late January we learned of the possible kidnap of a Norwegian citizen. He has since been held by different kidnappers, but there is reason to believe he is now held by IS."

↓ノルウェー人人質のオレ・ヨハン・グリムスガード・オフスタッド氏
norway-isis-ole-johan-grimsgaard-ofstad

【安田純平氏拘束】シリア人ジャーナリストが新たな画像をツイッターで公開 『助けてください これが最後のチャンスです』

シリアのアルカイダ系組織「ヌスラ戦線」に拘束されていると見られる日本人ジャーナリスト・安田純平氏の新たな写真を、シリア人ジャーナリストのタリク・アブドルハック氏がツイッターで公開した。なお、アブドルハック氏は、2016年3月にも安田純平氏の動画を公開している。
TWITTER
ターリク・アブデルハック氏のツイートの内容は、 次のとおりである。
 「シリアで拉致されたジャーナリストのヤスダ・ジュンペイが、『助けて下さい、これが最後の解放のチャンスです』と嘆願するメッセージを送っている」

また、NHKの報道によると、アブドルハック氏は、「ヌスラ戦線と直接連絡を取り合っている別の男性から依頼を受け、写真を投稿した」としている。

なお、先日終わったばかりのG7伊勢志摩サミットでは、日本政府が議長国としてまとめた首脳宣言で、「テロ集団」には身代金を払わないと明言し、すべての国に対し、そのようにするよう求めていた。


※追記
朝日新聞も、ターレク・アブドルハク氏に取材している。身代金の金額や期限にまで言及するなど、NHKよりも内容が具体的である。イスラム国に引き渡すおそれも指摘している。

以下、朝日新聞記事の該当部分を引用

写真の投稿者は30日、朝日新聞の取材に応じた。3月に安田さんとみられる男性の動画を公開したのと同一のシリア人で、現在トルコにいるという。

 投稿者によると、写真の公表は交渉仲介者から依頼された。その際、仲介者は「6月28日でヌスラ戦線が安田さんの身柄を拘束して半年になる。身代金1千万ドル(約11億円)を要求したが、日本政府や関係者が交渉に動かないので、期限を切ることにした。身代金支払いに1カ月の猶予を与える」と話したという。

 さらに、日本側が応じなければ、過激派組織「イスラム国」(IS)と人質を交換するため安田さんを引き渡すだろう、とも述べたという。実際にヌスラ戦線が安田さんを拘束しているのかどうかは不明で、別の組織が名前を利用している可能性もある。

 ヌスラ戦線は外国人ジャーナリストや人道援助関係者らの誘拐を繰り返しているが、身代金を得られれば解放するケースが多い。5月上旬には、昨年7月にシリア北部で拘束し、人質にしたスペイン人ジャーナリスト3人を解放した。

 トルコ紙イェニ・シャファクなどによると、スペイン政府はトルコ、カタール両政府に協力を要請。ヌスラ側は当初、身代金として計2500万ドルを要求したが、トルコ、カタール両政府が仲介者を通じてヌスラ側と交渉を重ね、人質1人につき370万ドルをスペイン政府が払うことで決着させたという。

 スペインメディアによると3人は一時期、安田さんとともに拘束されていたという。ただ、いつ、どこで一緒だったかなどの詳細は明らかになっていない。
 

【安田純平氏の拘束】G7首脳宣言で「テロ集団への身代金不払い」

G7 身代金不払い
G7伊勢志摩サミットで、首脳宣言が採択された。
宣言の内容で注目されるのは、所謂「テロ集団」への身代金の支払いに関する独立した項目をわざわざ立てて、「我々は身代金を支払わず」「全ての国に対し、そのようにするよう求める」と明記している点である。

現在、日本人フリージャーナリストの安田純平氏がヌスラ戦線によって拘束されていると見られる。そうした中、日本はG7サミットの議長国としてこの声明文をとりまとめたのであり、安田氏の解放のために身代金を払うというオプションを(少なくとも表向きには)完全に放棄した形となった。仮に密かに身代金を払ったことが発覚すれば、G7首脳宣言に対する明白な違反である。しかも、「すべての国に対し、そのようにするよう求め」てしまっては、仲介国が代わって巧妙に支払うことさえ許されない。

中東地域に対して欧米諸国のような人脈や政治力がある訳でもなく、人質交換のための捕虜や受刑者を確保している訳でもない日本が、身代金を払わずに安田氏を解放させるのは、極めて困難なのが現実である。せっかく議長国だったのだから、邦人救出のための手段を自ら制限することもなかったのではないか。遺憾ながら、安田氏の苦難は長引きそうだ。

シリア内戦の行方 国際社会は揃ってアサド独裁政権の存続を容認

アサド独裁政権とロシアの連合軍が、シリア北部アレッポの反体制派支配地区に対して、徹底的な空爆作戦を行っている。ジュネーブでの和平協議と並行して行われていた、アサド独裁政権と反体制派の停戦は事実上崩壊状態にある。

アサド独裁政権と、その同盟国であるロシアが、一般市民の虐殺をものともせずに極めて強気の戦略に出られる理由は、シリアの和平プロセスにおいてアサド独裁政権を存続させることを、国際社会が一致して容認したためだ。このことは、『アルアラビ・アルジャディード』紙 による国連の機密書類のリーク記事で明らかになった。

カタール王室がスポンサーをしている、この国際アラビア語紙によれば、国連でシリア問題を担当するデミストゥラ特使が安全保障理事会に提示していた、シリアの和平プロセスに関する「ジュネーブ宣言の履行枠組み文書」の「第一案」を入手し、その全文を2016年4月25日付記事として報じた。

↓画像をクリックして「ジュネーブ宣言の履行枠組み文書」の「第一案」を閲覧
ジュネーブ宣言の履行枠組み文書・第一案全文を閲覧又はダウンロード


文書本文の第17節及び第18節には、次のとおり記されている。

「17.既存の国家機関は維持されるが、改革が行われる。当該機関には、軍、治安機関及び司法機関も含まれるものとし、専門性の確保と多様性の拡充が行われる。」
「18.バアス党の根絶措置は行われない。移行プロセスにおける信頼醸成に鑑み、暫定合意では、紛争における役割に鑑みて公職に就くことを許されない120名のリストについて、諸派の合意を得るものとする(特定の諜報機関については閉鎖される)。」

既存の統治機構は、「改革」された上で維持することを明言し、バアス党の根絶もなされず、120人の公職追放のみということは、アサド政権は、ほぼ現状のまま存続を許されたも同然である。

さらに「第一案」の付属文書4の第51節では、「シリア大統領」であるバッシャール・アサドの存続を明示している。すなわち、『以上に加えて、(※政権の移行段階における)準備期間の設定は、大統領が当該期間中に一部の任務を遂行する可能性を暗に示すものである。ただし、軍事や治安に関する事項の監督といった主要な任務については、当初から暫定統治機構の責任とする(なお現政府は、暫定統治機構内において代表されることになる)。』と記されている。

この報道によれば、安全保障理事会の常任理事国の中で、唯一フランスが『第一案』に難色を示したため、デミストゥラ特使は、第51節やその他の項目を削除して新たな文書案を作成したという。そこでは、大統領が『儀礼的な権能を維持する』といった表現が盛り込まれ、アサド大統領の処遇は曖昧にされたとしている。

すなわち、米英を始めとする反体制派を支援してきた国々も、デミストゥラ特使が示した和平プロセス案を了承したことを意味している。修正された文書案に対するフランスの態度は明らかでないが、デミストゥラ特使が実際に協議を仲介しているということは、アサド政権の存続を前提とする和平案が、国際社会により一致して容認されたものと解される。

わが国のアサド独裁政権研究の第一人者
は小躍りして喜んでいることだろう。他方、今振り返ってみると、2016年2月26日に配信されたヌスラ戦線のジュラーニ指導者による声明は、まさに事態の核心を突いていたのだ。和平協議という空虚な茶番劇と無惨な停戦の崩壊をもって、ジュラーニ指導者の慧眼が、まさに証明されたと言えるだろう。

【過去資料】ヌスラ戦線のジュラーニ指導者による声明 アサド政権との停戦に応じず断固戦い抜く姿勢

読者の方から、次のようなコメントをいただいた。

1. 記者 2016年03月26日 18:09
更新が再開されたと認識してよいでしょうか?
そうであれば、中断以前の出来事も記事にして欲しいです。

このブログは、アクセス数こそ微々たるものだが、研究者をはじめ報道関係の方々にフォローしていただいている。そして今後とも、一般向けに分かりやすいものというよりは、玄人向けに有益な内容をお届けすることを心がけたい。

更新の「中断以前の出来事」を振り返るに、最も重要だったのは、2016年2月26日に公開された、ヌスラ戦線の指導者であるアブムハンマド・ジュラーニ師の声明だろう。まずは、この音声による声明について取り上げることにする。

↓画像をクリックしてヌスラ戦線指導者の声明を再生又はダウンロード
画像をクリックしてヌスラ戦線指導者の声明を再生

 『これぞアラーと使徒が我らと交わした約束』と題するアラビア語の本声明は、アサド政権の部隊と反体制勢力の間で停戦が発効する2月27日を目前に控えたタイミングで発せられた。ヌスラ戦線として、軍事力によるアサド政権の打倒を飽くまで目指す方針を強調している。また、シリア国民にジハードの貫徹を呼びかけるとともに、周辺国のスンニ派の民衆に対しても、シーア派との戦いとの位置づけの下で、シリアにおけるジハードへの支援を呼びかけている。

以下、ジュラーニ指導者の主な発言を抜粋し、和訳したものを掲載する。


*     *     *
 シリアの民衆に告ぐ。西側諸国とアメリカの悪巧みに警戒せよ。ラーフィダ派(※シーア派))とヌサイリ派(※アラウィ派)の狡猾さに警戒せよ。彼らは諸君をアサド独裁政権の時代に押し戻そうとしている。彼らは、諸君らが独裁者の支配から解放されるのを快く思っていない。東洋も西洋も、諸君らの解放が、他国へと広がっていくことを畏れている。諸君らは独裁者に立ち向かった最初の日、「服従よりも死を」と宣言したではないか。諸君らは有言実行の民であれ。
 
 諸君らの革命とジハードには、イニシアティブだの、猶予だの、和解だのが次々と降りかかってきた。ラクダル・ブラヒミ(※前国連特使)によるホムスでの停戦が終わると、後任のステファン・デミストラ(※国連特使)がアレッポで同じことを繰り返した。国連と国際社会が阻止したいのは、諸君が道を切り開くことで、諸国民に自由と尊厳の道標が示されることだ。
 
 1年半前にブラヒミのイニシアティブが示された時、ヌサイリ派(※アサド)政権側は交渉における立場を強化するために、ヌブル及びアル・ザハラー(※アレッポ県の町)に侵攻した。ところが政権側は、ハルダトナイン(※アレッポ県の町)の拠点で夥しい死者を出し、なおもファタハ軍は追撃の手を緩めなかった。ヌサイリ政権側はイドリブからジスル・シュグル及びアリーハを経て、サハル・アル・ガーブまで追い払われた。イランから全面的な支援を受けながらも、政権側は崩壊寸前だった。
 
 ところが、その後のロシアの介入のお陰で、棚上げされていたデミストラの計画が少し動き出した。ジハード戦士たちを交渉の場に引きずり出し、殉教者の血が湧き出る土地を明け渡させることが狙いだった。リヤドでの会議と3回目のジュネーブでの会議での議題は、アサド政権の退陣ではなく、屈辱的な停戦だった。
 
 停戦とは、シリアのスンニ派住民を何十万人も殺害した上に、何百万人も追い出した後に、新たに境界線を引き直して、スンニ派を少数派に貶めるものである。停戦とは、革命を埋葬し、シリアのジハードを国際会議のロビーや国連の紙の上の空論に置き換え、その本質からかけ離れたものにするものである。
 
 停戦とは、殺人等の犯罪行為の黒幕である政権の軍及び治安機関を温存させる政治的解決を導くものである。仮にバッシャール(※アサド大統領)が退くとしても、18か月の移行期間において、喜々として服従する者たちが国軍という名のバッシャールの民兵に組み込まれ、挙国一致内閣という名のヌサイリ派政権で、愚にもつかぬ閣僚ポストをめぐる争いに明け暮れるのである。

 今なおアメリカの空約束を頼みとする者たちに告ぐ。この5年間の嘘と背信行為にも拘わらず、まだ目が覚めないのか。諸君らがアメリカの善意に賭けた結果はどうだったのか。ジョン・ケリー(※米国務長官)に屈服しろと脅されただけではないか。更にアメリカは、諸君らの家族を犠牲にして、対ロシア及び対イラン関係を有利に進めようとしているのだ。

 真の交渉とは、戦場で行われるものである。戦場でこそ、核心が顕わとなり、偽善は封じられ、安心と安全への道筋が開けるのである。結果を話し合うのではなく、原因を正すべきである。この理屈は当の独裁者もよく理解しているはずだ。

 シリア国民に告ぐ。時代遅れの独裁政権を根絶するには、革命の成就しかない。これを貫徹せねば、払った犠牲や費やした財産が無駄になり、更に酷い独裁政権に逆戻りである。今やシリアは、歴史的な転換点を迎えている。イスラム世界が失われた栄光を取り戻せるか否かは、諸君らの勝利にかかっている。そして西側諸国が恐れているのは、まさにこの点なのだ。
 
 シリアで決着をつけることが出来なかった場合の影響について、周辺地域のスンニ派は十分に理解せねばならない。ラーフィダ派(※シーア派)とヌサイリ派(※アラウィ派)がシリアを制してしまえば、10年も経たぬ内に、戦いの場は預言者ムハンマドの地(※アラビア半島)へと移るだろう。既にイラクではラーフィダ派がのさばり、スンニ派は迫害されている。ラーフィダ派は更に、イエメンやシリアを狙っている。シリアが陥落したら、誰が預言者ムハンマドの地を守るというのか。

 イスラム教徒たちに告ぐ。シリアでのジハードとは、単にバッシャール(※アサド)政権との戦いではなく、この地域一帯をラーフィダ派(※シーア派)の手から守る戦いである。従って、すべてのイスラム教徒はこのジハードを支援する義務がある。シャリーア(※イスラム法)に則り、生命、財産及び一族郎党を賭して各自の役割を果たさねばならない。シリアの民衆は、諸君の支援を必要としており、失望させないでほしい。アフガニスタンのラーフィダ派どもの後塵を拝してはならない。
*     *     *

 ヌスラ戦線のジュラーニ指導者の公式声明は、2015年10月13日に発出された『ロシアの軍事介入…最後の矢』と題する声明以来となる。また、公の場での発言としては、2015年12月12日にオリエント・ニュースの記者たちによる共同インタビューの映像が公開された。

 過去の両声明では、リヤドやジュネーブでの和平会議を断固として拒否する姿勢を示しており、新たな声明でも、そうした姿勢に変化はない。ジュラーニ指導者率いるヌスラ戦線は、シリアでのジハードによるアサド政権の打倒を最優先とする姿勢で一貫している。

 スンニ派のシリア人であれば、誰しもが魂を揺さぶられる内容の声明ではないだろうか。これほどの演説ができる指導者は、今の中東には皆無といっていいだろう。 また、的確な情勢把握と戦略的思考においても群を抜いている。国際社会によって「テロリスト」扱いされるには、あまりに惜しい人物である。

シリア北西部で拘束されたジャーナリスト安田純平氏の動画が公開 ※追記あり

↓画像をクリックして動画を閲覧できるリンク(ロイター)へ移動
画像をクリックして動画を視聴


シリア北西部イドリブ県ジスル・アルシュグルで「独立系」のメディア活動家(事実上は反体制派)をしているターリク・アブドルハックという人物が、安田純平氏の動画をフェイスブックで公開している。動画の内容についてはすでに多くの関連情報が出ており、詳しい説明は要さないだろう。

NHKの電話取材に応えたのは、このアブドルハックという人物と見られ、次のように話しているという。

・・・映像を公開したシリア人の男性はNHKの電話取材に答え「安田さんはアルカイダ系の武装組織ヌスラ戦線に拘束されており、映像は解放に向けた仲介役を務めている人物から16日に入手した」と話したうえで、映像がどこでどのような状況で撮影されたのかについては「分からない」としています・・・


「解放に向けた仲介役を務めている人物」については定かではないが、ヨルダン発のニュースサイトで、ヨルダン人による仲介に関する報道があり、イスラム系団体の弁護士を務めるムーサ・アブドルアティという人物が、日本の平和団体とヌスラ戦線の間で、安田氏の解放のために仲介役を務めていると主張している。

このムーサ・アブドルアティなる人物の話として、ヌスラ戦線のジュラーニ指導者および幹部が、安田氏の生命の保障とイスラム法に則った待遇、解放のための身代金の引き下げについて今後声明を発するだろうと報じている。また、今回の動画は交渉の進展を示すものとしている。

安田純平氏の件や、ヌスラ戦線による過去の外国人拘束事例については、当ブログの過去記事も参考になるだろう。

ところで、当ブログの本格的な更新再開には、今暫く時間がかかる見込みである。

※2016/3/18追記
 NHKの続報によると、トルコでアブドルハック氏と見られる人物に面会し、インタビューも行ったようだ。以下、記事の一部を引用。他の報道なども鑑みるに、シリア現地では、さまざまな「仲介業者」が蠢いているが、日本政府は殆どまともに取り合っていない様である。

・・・この男性(※アブドルハック氏か)は、仲介役の人物から安田さんの解放に向けた交渉は行われていないと聞いているとしたうえで、「仲介役の人物は、ヌスラ戦線の目的は安田さんが無事なことと、彼らが拘束していることを日本政府に伝えることだと話していた」と述べ、ヌスラ戦線が映像を撮影した理由は、日本政府と交渉したいためだと説明しました。

 この男性によりますと仲介役の人物はシリアの武装勢力に拘束された人を解放するための交渉の仲介を請け負っているシリア人のグループのメンバーだということです・・・

安田純平氏を拘束している「ヌスラ戦線」指導者の発言 「捕虜を丁重に扱うのはイスラム法の義務」



フリージャーナリストの安田純平氏が2015年6月にシリアに入国した後、行方不明となっている件で、国際団体「国境なき記者団」から日本政府に対して救出を訴える声明が出された。

NHKの報道によると、安田純平氏は現地でスパイ容疑をかけられ、アルカイダ系のジハード主義組織「ヌスラ戦線」に拘束されたとしている。

安田純平氏が何らかのスパイ活動を行っていたとは常識的に考えられず、容疑が晴れれば「捕虜」として扱われるのではないかと見られる。一方、ヌスラ戦線のジュラーニ指導者は、公式の広報部門が最近公開した記者会見の動画で、捕虜を丁重に扱うことは、聖典クルアーンにも記されたイスラム法上の義務である旨を強調している。

上の動画は、レバノン政府軍兵士の捕虜解放交渉に関する記者からの質問に対し、ヌスラ戦線のジュラーニ指導者からの返答である。当ブログ管理人が字幕を付しておいたが、字幕では字数的な制約があるので、詳細な翻訳は次のとおりである。

・・・捕虜を丁重に扱うことについては、我々ヌスラ戦線として、それはイスラム法上の義務であると捉えている。偉大なアラーはこう言われた。「アラーを敬う者は、貧者と孤児と捕虜に食物を与えるものだ」と。アラーは、貧者、孤児及び捕虜を平等に扱われるのだ。悪の支配者たちのように捕虜を拷問するのではなく、憐憫の情をもって接しなくてはならない。
我々はイスラム法に則り、正しく捕虜を扱っている。そのことについて、誰からも見返りや感謝を求めてさえいない。聖典クルアーンには「アラーが喜べば十分であって、見返りも感謝も不要である」とも記されている。つまり、我々はアラーの教えに従って正しく捕虜を扱っているに過ぎない・・・
 
安田純平氏の拘束に関する国境なき記者団からの声明によれば、身代金の支払い期限が迫っており、支払いがなければ処刑または他の「テロリスト」グループに売り渡されるおそれがあるとしている。

しかし、ジュラーニ指導者の発言や、レバノン政府軍兵士をはじめ、その他の外国人の捕虜解放交渉を見る限り、ヌスラ戦線がイスラム国のように殺害の脅迫を行う可能性は低いのではないだろうか。

なお、ヌスラ戦線に拘束された外国人の「捕虜」については、これまで解放されたケースが多数ある。邦人保護を担当する関係機関の、安田純平氏の無事解放に向けた取り組みに期待したい。

【ヌスラ戦線】ジュラーニ指導者のインタビューを公式広報部門も映像として公開 「自由シリア軍などというものは存在しない」

画像をクリックして動画を視聴またはダウンロード
↑画像をクリックして動画を視聴又はダウンロード↑

番号:268
題名:مؤتمر صحفي للشيخ الفاتح أبي محمد الجولاني
和訳:アブ・ムハンマド・ジュラーニ師の記者会見
公開:2015年12月15日
組織:ヌスラ戦線(シリアのアルカイダ系ジハード主義組織)
出所:マナーラ・バイダ・メディア(ヌスラ戦線の公式広報部門)
音声:アラビア語
重要:★★☆☆☆

【動画の内容及び解説】
2015年12月12日、シリアを活動領域とするアルカイダ系ジハード主義組織「ヌスラ戦線」の指導者アブムハンマド・ジュラーニ師のインタビューを、Orient NewsがYoutube上で配信していた

一方、ヌスラ戦線の公式広報部門「マナーラ・バイダ・メディア」も、全く同じ内容の動画をインターネット上で公開した。これで各報道機関は、当該インタビュー動画を素材として自由に利用できるようになったと言えるだろう。当ブログからは、フルハイビジョン画質のリンクへ移動できる。

(レバノン軍兵士ら)捕虜の扱いに関するやりとりの文脈で、反体制派の「自由シリア軍」の兵士に対する恣意的な拘束が行われているとの記者側からの指摘に対し、ジュラーニ指導者からの「そもそも自由シリア軍などというものは存在しない」という切り返しが、動画の視聴者の間で話題になっているようだ。

ジュラーニ師の当該発言のタイムコードは、0:48:22あたりである。

 أولًا نحن نعرف الواقع كما تعرفون لا يوجد شيء اسمه جيس سوري حر، هي مجموعة فصائل تلتقي في اسم، ولا أحد له ارتباط تنظيمي مع الآخر، ليس هو جيش وليس هو تنظيم، إنما هو شعار واسم صار بين الناس والناس مشت عليه

「あなた方もご存じのとおり、我々も事実は次のとおりであると承知している。そもそも、自由シリア軍などというものは存在しない。それは単に、名前が同じというだけのグループの寄せ集めであって、そこにいる者の間に組織的なつながりはない。それは、軍でもなければ、組織でもない。ただのスローガンに過ぎない名前が、人々の間に広がったのだ」

ジュラーニ師はこう述べたあと、ヌスラ戦線に敵対的な行為を取る者に対しては自衛のため拘束し、イスラム法に則り然るべき裁きにかけていると強調する。他方、自由シリア軍に関する指摘について、記者団側は誰も反論しない。「自由シリア軍」という反体制派組織の本質について、極めて端的且つ適格な証言だったと言えよう。


↓画像をクリックして動画を視聴またはダウンロード
Mo2tamar_FHD

ヌスラ戦線のジュラーニ指導者がロシアの対シリア軍事介入について声明…「アサド大統領を殺害した者には報奨金300万ユーロ」

↓画像をクリックして音声ファイルを再生又はダウンロード↓
画像をクリックして音声ファイルを再生又はダウンロード

番号:225
題名: التدخل الروسي .. السهم الأخير
和訳:ロシアの軍事介入…最後の矢
公開:2015年10月13日
組織:ヌスラ戦線(アルカイダ系のシリア反体制派組織)
出所:マナーラ・バイダー・メディア(ヌスラ戦線公式)
音声:アラビア語(音声のみ)

【動画の内容及び解説】
アルカイダ系のシリア反体制組織「ヌスラ戦線」のアブムハンマド・ジュラーニ指導者による、ロシアの対シリア軍事介入に関する声明。ヌスラ戦線は、シリア反体制派組織の中でも最大の勢力であり、北西部のイドリブや南部のダルアなど広い地域を支配している。イスラム国とは敵対関係にある。

ジュラーニ指導者はこの声明で、アサド政権はイランやヒズボラの支援の下で存続を図ってきたが持ち堪えることができず、最早崩壊目前であるとの認識を示している。アサド政権の牙城であるラタキア陥落の危機が迫る中、ウクライナ問題で国際社会から孤立していたロシアが、シリア問題を利用して欧米との間で取引し、ロシアの復権を狙っているとの見方を披露している。その上で、ロシアのシリアに対する軍事介入を「東からの十字軍」と呼称している。

また、ジュラーニ指導者は、ロシアは旧ソ連時代のアフガニスタンへの軍事介入における敗北を忘れていると指摘し、今般のロシアによるシリアへの新たな侵略は、イスラム教徒の敵の矢筒に残された最後の一本の矢に過ぎないと述べている。ロシア軍機による空爆については、アサド政権の部隊による空爆と同レベルで、まともな標的を定めることができず無秩序に行われているとして、既に作戦の失敗の兆候が現れているとしている。

その他に注目すべき内容としては、ジュラーニ指導者はバッシャール・アサド大統領を殺害した者に対して、300万ユーロの報奨金と身の安全の保証を提示する一方、ヒズボラのハサン・ナスララ(ナスラッラー等の表記もあり)書記長を殺害した者に対しても、200万ユーロの報奨金と身の安全の保証を提示している。さらに、ロシア軍がシリアの一般市民を殺害するならば、カフカース地方のジハード戦士によってロシアの一般市民を殺害することも辞さない構えを示している。

↓画像をクリックして音声ファイルを再生又はダウンロード↓
画像をクリックして音声ファイルを再生又はダウンロード

ジハード戦士による「殉教攻撃」は「自爆攻撃」ではない

フランスのメディアで活躍中のジハード主義組織を専門とする著名なジャーナリストが、ジハード戦士による「殉教攻撃」を「カミカゼ」と表現していた。

ところで、意外に思われるかもしれないが、ジハード戦士による「殉教攻撃」は、必ずしも死ぬことを前提として行われるものではない。そのため、「カミカゼ」はもとより、「自爆攻撃」、「自殺攻撃」などといった訳語は正確ではない。敵の標的を破壊するという目的を達成して、なお生還できるのであれば、当然ながら生還すべきなのである。そもそもイスラム教においては自殺は大罪であり、100%死ぬことを前提とした作戦はありえない。

次の動画は、シリアのアルカイダ系ジハード主義組織「ヌスラ戦線」が最近公開した動画である。


この動画では、2人のジハード戦士が殉教攻撃を行うが、その内一人は生還を果たす。爆発物を満載した車両を敵陣奥深くに進めてから脱出し、遠隔操作で車両を爆破した後、仲間のジハード戦士たちのところへ見事帰還するのである。果たして仲間の反応はどうであろうか
[
動画の最後のシーンを見ていただければ分かるように、仲間たちは歓呼して殉教攻撃からの生還を祝うのである(画像は仲間の一人が飲み水を与えているシーン)

これが「カミカゼ」であったとすれば、「生き恥を晒した」、「先に死んでいった者たちに申し訳が立たぬと思わぬか」などと理不尽に罵倒され、大変な不名誉ということになろう。イスラム教のジハード主義組織は、旧日本軍のように非合理的で野蛮な組織ではない。

シリアでヌスラ戦線に拘束されたと見られる #安田純平 氏の解放の可能性に関する一考察

フリージャーナリストの安田純平氏がシリア北部で消息を絶ってから、およそ2か月が経過した。アラビア語国際紙『アルクドゥス・アルアラビー』の2015年7月15日付の報道によると、アルカイダ系のジハード主義組織「ヌスラ戦線」に拘束された可能性がある。

この報道によると、安田純平氏はシリア北部の反体制派の支配地区から入国後、まもなく拘束されたとしている。また、日本のテレビ局のために働いているエジプト人ジャーナリストの話として、安田氏は密入国手配業者と合意し、トルコ・イドリブ(シリア北部)間を結ぶ道を通って不法入国したとしている。密入国業者の名前は「マアムーン」だったという。

このエジプト人ジャーナリストは、安田氏がアルカイダ系のジハード主義組織「ヌスラ戦線」に拘束された可能性を懸念しているほか、安田氏は別の反体制組織「アハラール・シャーム運動」の所に向かっていて、行先はトルコ国境に近い町ヤアクビエだったとしている(拘束等に関するヌスラ戦線からの声明は確認されていない)。

一方、「アハラール・シャーム運動」の広報事務所は国際アラビア語紙の取材に対し、安田氏を受け入れて安全を保証する予定だったことや、安田氏に同行していた通訳が、安田氏単独での入国を手配していたこと、そして途中の検問所で安田氏が拘束されたことなどを明かした(安田氏が拘束された検問所の場所も把握しているという)。

反体制派の各組織は、欧米の情報機関が外国人のジャーナリストらをスパイとして利用しているのではないかとの疑いを常に持っているという。

安田純平氏の安否については今も明らかでないが、過去のヌスラ戦線による外国人拘束事例を見る限り、余程の下手な対応でもしない限り、無事解放される可能性が高いと見られる。以下、時系列でなく恐縮であるが、具体的事例を列挙する。


・2013年11月にヌスラ戦線によって拘束されたスウェーデン人宣教者2人が、2015年の4月に無事解放されている(関連報道はこちら)。解放にあたっては、スウェーデン政府がパレスチナ自治政府とヨルダンの情報機関の仲介努力に対して謝意を表明している。

・2014年8月にヌスラ戦線によって拘束されたイタリア人援助関係者2人が、2015年1月に無事解放されている(関連報道はこちら)。イタリア政府による交渉が行われていたと見られる。

・2012年10月にヌスラ戦線によって拘束されたアメリカ人ジャーナリストが、2014年8月に無事解放されている(関連情報はこちら)。解放にはカタール政府の仲介があったとされている。

・2015年6月には、ヌスラ戦線によって拘束されたイギリス人の女性が7か月ぶりに解放されている(関連記事はこちら)。女性はメンタル面で問題のある人物だったとしている。

・少し状況は異なるが、2014年の9月には、ヌスラ戦線によってゴラン高原で一時拘束されたフィジー国籍のPKO隊員45人が解放されている(関連報道はこちら)。


いずれの場合も、有力な仲介者を通じた働きかけや、拘束者の出身国政府をはじめとする関係者によって、長期に亘る粘り強い取り組みが功を奏している。安田氏の日本国政府に対する姿勢等はともかく、邦人保護に当たられている方々のご尽力に期待したい。


シリア首都ダマスカス南部のヤルムーク・キャンプの戦況 アルカイダ系「ヌスラ戦線」と、敵対関係にあるイスラム国の「共闘」の背景とは

以下は、NHKの報道の引用である。シリア首都ダマスカス南部のヤルムーク・パレスチナ難民キャンプの情勢に関する日本の報道の中では、比較的よいと言える。この報道をベースに、考察を進める。

*   *   *
シリア 首都近郊攻防激化で市民犠牲増加
2015年4月6日 4時55分

内戦が続くシリアでは首都ダマスカス郊外で過激派組織IS=イスラミックステートが勢力を広げているのに対し、政府軍が空爆で反撃して攻防が激しくなるなか、市民の犠牲が増え続けています。
過激派組織ISは、ダマスカス郊外にあるパレスチナ人の難民キャンプを支配する別の武装勢力に攻撃を仕掛け、これまでにキャンプのおよそ90%を制圧しています。これに対してアサド政権の政府軍は、4日から5日にかけてヘリコプターや戦闘機を投入し、「たる爆弾」と呼ばれる強力な爆弾を投下するなどしてキャンプに激しい空爆を加えています。
キャンプにいるパレスチナ人難民の男性はNHKの電話取材に対し(※中略)、ISがキャンプに対する攻撃を始めてから、外部からの水や食料、それに医薬品の供給が止まり、取り残された人々は空爆や戦闘だけでなく食糧不足にも苦しんでいるということです。
空爆を受けて、IS側は戦闘員の一部を撤退させているということですが、キャンプへの攻撃でISと共闘しているアルカイダ系の「ヌスラ戦線」の戦闘員が残って占拠を続けていて、シリアでは、さまざまな勢力が入り乱れて攻防が続くなか、市民の犠牲が増え続けています。
*   *   *

NHKは、限られた字数で複雑な情勢を一般の視聴者にも理解できるように、苦心惨憺して原稿を書き上げていることが伺われるが、読んでも謎は深まるばかりである。一般の視聴者には、「一般市民が可哀そう」ぐらいの心象しか残らないだろう。

そもそも、 パレスチナ人の難民キャンプを支配する別の武装勢力とは何者か?

更に奇妙なのは、イスラム国(IS)が、鋭く敵対しているアルカイダ系の「ヌスラ戦線」と「共闘」しているのは真実なのか? それが真実なら、なぜヤルムーク難民キャンプの戦闘において共闘が実現したのか?

この2つの疑問点は、今回のイスラム国によるヤルムーク制圧を考える上で最重要ポイントであり、ここに踏み込まなくては状況の正確な把握はあり得ない。

一方、イスラム国支持者たちでつくるSNSコミュニティにおいては、より緻密な議論が展開されており、その真相に迫っている。以下、その内容を紹介する。

次の地図は、シリアの首都ダマスカスの南部に位置するヤルムーク地区及びその周辺における勢力図である。(なお、この地図では、イスラム国を「ダーイシュ」という蔑称で呼んでいることから、イスラム国と敵対するメディアが作成したものであることが分かる)

 ↓画像をクリックすると拡大↓
ヤルムーク・パレスチナ難民キャンプをめぐる戦況

上部の茶色の部分は、アサド政権と、アサド政権を支持するパレスチナ諸派(解放人民戦線総司令部派(PFLP-GC)、ファタハ・インティファーダ)の支配勢力である。

左右の青い部分が反体制派組織の支配地域である。特に右側は、「イスラム軍」「使徒のシャーム部隊」というイスラム主義系の武装組織が支配している。

真ん中の赤い部分が、ヤルムーク地区である。難民キャンプはこの地区の左側部分に当たる。ここでは、イスラム国とヌスラ戦線が「共闘している」とされるが、ヌスラ戦線は元々、この地区の右側部分を支配下においていた。

下の黒い部分はハジャル・アスワドという地区で、イスラム国の支配地域である。すなわち、ヤルムーク難民キャンプに隣接する地区を元より制圧していたという点が重要である。突如首都近郊に現れたかのような報道が多いが、正確とは言えない。

それでは、残った上部の緑の部分は何か? これは「アクナーフ・ベイト・マクディス(エルサレムの翼)」という聞き慣れない部隊の勢力範囲であるが、これはパレスチナのイスラム主義組織「ハマス」の別動隊である。

今回、イスラム国は地図の南の黒い部分(ハジャル・アスワド地区)から北方へ、ヤルムーク難民キャンプに進攻し、ほぼ全域を制圧した。そして当時、ヤルムーク難民キャンプを支配していたのは、ハマスの別動隊「アクナーフ・ベイト・マクディス」を始めとする、表向きは「反体制派」のパレスチナ諸派である。

実はこれらのパレスチナ諸派は、水面下でアサド政権との関係改善を進めており、ヤルムーク難民キャンプを政権側に引き渡す合意が成立寸前であったという。

そこで、ヤルムークがアサド政権の手に落ちるのを阻止するため、イスラム国とは不倶戴天の敵であるはずのアルカイダ系組織「ヌスラ戦線」が一定の歩み寄りを見せ、その結果、イスラム国によるヤルムーク難民キャンプ制圧が成功した。これに驚愕したアサド政権、親アサド派のPFLP-GC、ファタハ・インティファーダ、さらにはアサド政権との和解を進めていた「反体制派」のパレスチナ諸派が、ヤルムーク難民キャンプを奪回しようとイスラム国に猛攻を仕掛けている、というのが現時点での状況である。

こうした情勢分析を裏付けているのは、パレスチナ諸派幹部の発言などのほか、次のヌスラ戦線が発した4月4日付け声明が決定的である。この声明を取り上げているメディアがほぼ皆無なのは、真に残念なことである。
  ↓画像をクリックして拡大↓
ヌスラ戦線の声明
ヌスラ戦線は上記声明で、「イスラム国とアクナーフ・ベイト・マクディス(※ハマス)の戦闘に対しては、あくまで中立の立場である」ことを強調している。アサド政権との対立が原因で拠点をダマスカスからカタールのドーハへと移したはずのハマスであるが、シリアの前線ではアサド政権と共にイスラム国と戦っていることが、「第三者」のヌスラ戦線が出した声明によって確認できるのである。

その一方でヌスラ戦線は、アサド政権との「和解」を進める反体制勢力に対しては、激しい敵愾心を顕わにしている。ヤルムークの東部(地図の右側)を支配するイスラム軍は、ヤルムーク難民キャンプへ進攻したイスラム国を攻撃するために、ヌスラ戦線が支配する地区の通過許可を求めてきたという。これに対し、アサド政権との和解を進める「使徒のシャーム部隊」などと連携しているイスラム軍の姿勢を問題視し、要請を拒絶したところ、これを以て、「ヌスラ戦線がイスラム国との共闘に踏み切った」などと報道されたとしている。

従って、「共闘」というよりは、「消極的協力」というのが、ヌスラ戦線の公式な立場だろう。ヌスラ戦線は声明の最後でアルカイダ系組織であることを改めて強調し、イスラム国とは距離を置いている姿勢を示している。

これまでシリア内戦は「3つどもえ(アサド政権、イスラム国、その他の反体制派)の戦い」との表現がなされてきた。ところが、今回のヤルムークの一件からは、内戦の長期化で疲弊した挙句にアサド政権側との和解の模索に追い込まれている「反体制勢力」と、断固としてシャリーア(イスラム法)による統治を掲げ、飽くまで背教者の殲滅を目指すジハード主義組織という、二大陣営の戦いへの移行の徴候が垣間見えるのである。

※参考 2015年4月7日にイスラム国のダマスカス広報部が公開したヤルムーク・キャンプ内の画像
↓画像をクリックすると拡大
イスラム国が公開したヤルムーク・キャンプの画像1イスラム国が公開したヤルムーク・キャンプの画像2
イスラム国が公開したヤルムーク・キャンプの画像3イスラム国が公開したヤルムーク・キャンプの画像4
イスラム国が公開したヤルムーク・キャンプの画像5イスラム国が公開したヤルムーク・キャンプの画像6




ヌスラ戦線のチュニジア人戦闘員、アサド政権軍に包囲された500人の仲間を救うべく突撃作戦を敢行 幼い娘を残し殉教

B0pEyzrCAAAuvUb
↑画像をクリックして動画を視聴またはダウンロード↑

動画ナンバー:075

動画題名:كسر الحصار
題名の訳:『封鎖を解除せよ』 
組織名:ヌスラ戦線
公開日:2014年10月23日
情報源:マナーラ・バイダ・メディア

【動画の内容】
シリア首都ダマスカス郊外のムレイハは、アサド政権の部隊に包囲され、ヌスラ戦線の戦闘員ら500人が取り残されていた。仲間を救うべく、チュニジア人の戦闘員アブルアラ・トゥニシが突撃し、包囲網の突破作戦を敢行する。アブルアラは爆薬を満載した戦車を敵陣深くで爆破させて、幼い娘を故郷に残したまま殉教する。

B0pNyi_IEAAgMFo
B0pNhLBCcAAWIFC
 
記事検索
amazon.co.jp
カテゴリー