ムラビトゥン

北アフリカのアルカイダ系3組織が統合され新組織「イスラムとムスリムの支援集団」を設立 ※追記あり

SnapShot(31)
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題名:الكلمة التأسيسية لجماعة نصرة الإسلام و المسلمين للشيخ: أبي الفضل إياد
和訳:「イスラムとムスリムの支援集団」の設立に関するイヤード・アブ・ファドル師の声明
公開:2017年3月2日
組織:イスラムとムスリムの支援集団(Jama'at Nusrat al-Islam wal Muslimeen)
出所:ザッラーカ・メディア
音声:アラビア語

【内容及び解説】
北アフリカのアルカイダ系武装勢力である「アンサール・ディーン」、「ムラビトゥン」及び「サハラ首長国」の統合により、「イスラムとムスリムの支援集団(Jama'at Nusrat al-Islam wal Muslimeen)」という新たな組織が設立されたことを宣言する動画。アンサール・ディーンの指導者であったイヤード・ガーリ師(アブ・ファドル)が、新組織の指導者に就任し、今回の声明を読み上げている。新組織の設立とともに、アルカイダ本部のザワヒリ指導者とマグレブ・イスラム諸国のアルカイダ(AQIM)のアブドルワドゥド指導者に対する忠誠を改めて宣誓している。

イヤード・ガーリ師の向かって左に座っているのが「サハラ首長国」のヤヒヤ・アブルハマム指導者であるが、向かって右に座る「ムラビトゥン」の代表者は、モフタール・ベルモフタール(ハーリド・アブルアッバス)指導者ではなく、代理のハサン・アンサーリという人物である。ベルモフタール指導者は、2013年にアルジェリアのガス生産施設で起きた日本人人質殺害事件の首謀者として知られている。

今回統合された3つのグループは、同じアルカイダ系のジハード主義組織であったが、マリ北部のアザワド地方の解放と同地方でのシャリーア適用を主眼とするアンサール・ディーンに対し、他のグループは、国境に囚われない北アフリカ全域でのグローバル・ジハードを志向しており、一定の協力関係にありながらもジハードを展開する上で路線の違いがあった。今回、アンサール・ディーンのガーリ師を中心に新たな組織に統合されたということは、マリのアザワド地方におけるジハードに軸足が移されるのではないだろうか(なお、ガーリ師は、マリ北部のキダル地方出身のトゥアレグ人である)。

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SnapShot(30)


※2017年3月18日追記 イスラム・マグレブ諸国のアルカイダのアブドルワドゥード指導者から、傘下のアルカイダ系諸組織の統合と新組織の設立に祝意と感謝を表明する声明動画が公開された。
SnapShot(34)
声明の最後でアブデルワドゥド指導者は、フランスによる侵略とイスラム法施行の妨害を非難するとともに、戦いの場をお前たちの街へと移し、フランスの占領下にある人々と同様の恐怖の中で暮らすことを強いると述べるなど、フランス国内でのジハードの実施を示唆している。


※3月19日追記
アルカイダ本部(ジハードのアルカイダ総司令部)からも、「イスラムとムスリムの支援集団」の設立に対する支持と祝意を表明する公式声明が、以下のとおり発せられた(グローバル・イスラミック・メディア・フロント(GIMF)制作の英訳も併せてここに掲載する)。
20170319_AQ_Sahab_Jama'ah_Nusrah_Islam_Muslimin

 グローバル・イスラミック・メディア・フロント制作の声明英訳
Support and Blessing of Nusra al-Islam wal-Muslimeen

 

【イスラム・マグレブ諸国のアルカイダ】アルジェリアのガス生産施設での日本人人質10人殺害事件の首謀者がリビア南部で生存か

モフタール・ベルモフタール

 国際アラビア語紙「アッシャルクル・アウサト」の2016年11月23日付配信記事によると、イスラム・マグレブ諸国のアルカイダ(AQIM)の傘下組織である「ムラビトゥン」の指導者、モフタール・ベルモフタール(別名ハーリド・アブルアッバス)が、リビア南部で生存していると報じている。この情報は、リビア治安当局によって拘束されたベルモフタールの妻の供述に基づくものとしている。ベルモフタールの妻は、出産のためリビア中部のジュフラから東部のダルナの病院を訪れていたところ、治安当局に通報され、ジュフラへ戻る途中に拘束されたという。

2013年1月、アルジェリア南東部にあるイナメナスのガス生産施設が、ベルモフタールが当時率いていた組織「血盟団」に襲撃され、日本人を含む多数の外国人労働者が人質となる事件が発生し、プラント建設大手「日揮」の従業員ら日本人10人を含む計17人のスタッフが殺害された。この事件に関し、神奈川県警が人質強要処罰法違反容疑でベルモフタールの逮捕状を取っており、警察庁を通じて国際刑事警察機構
(ICPO)が国際手配を行っている。

【イスラム・マグレブ諸国のアルカイダ】傘下組織「ムラービトゥーン」がマリのPKO基地を襲撃(※追記あり)

NHKの報道によると、マリ北部のガオで2016年5月31日、現地に展開するPKOの基地の近くで、爆発物が仕掛けられた自動車が爆発し、駐留していた中国人の兵士1人が死亡したほか、十数人がけがをした。
また、同じガオにある別のPKO施設は銃撃を受け、地雷除去に当たっていたフランス人の専門家やマリ人の警備員の合わせて3人が死亡した。

この件について、イスラム・マグレブ諸国のアルカイダの傘下組織「ムラービトゥーン」が、当該攻撃を行ったことを表明する声明を発した。攻撃の状況に関する詳しい声明は、追って発出するとしている。


↓AQIMの公式広報部門「アンダルス・メディア」が配信したアラビア語の声明
20160601_AQIM_Murabituun_Mali_Gao_Attack_Arabic

↓「グローバル・イスラミック・メディア・フロント」による声明の英訳
20160601_AQIM_Murabituun_Mali_Gao_Attack_English

●※2016年6月4日追記
AQIMの広報部門であるアンダルス・メディアから、続報となる声明が発出された。
↓画像をクリックして声明のPDFファイルを閲覧又はダウンロード
20160604_AQIM_Andalus_Gao_Attack_120160604_AQIM_Andalus_Gao_Attack_2

※2016年6月9日追記
作戦の実行者2人の画像公開
AQIM_GIMF_Gao_Attack_1
AQIM_GIMF_Gao_Attack_2
 

【イスラム・マグレブ諸国のアルカイダ】アルジェリアでの日本人人質事件から3年、再びガス生産施設を攻撃

2013年1月、アルジェリア南東部・イナメナスのガス生産施設がジハード主義組織「血盟団」に襲撃され、日本人らが人質となる事件が発生した。この事件で、プラント建設大手「日揮」の従業員ら日本人10人を含む計17人のスタッフが殺害された。

事件から3年が経過する中、モフタール・ベルモフタール(ハーリド・アブルアッバス)率いる「血盟団」は、「ムラービトゥーン」という組織に代わり、その後「イスラム・マグレブ諸国のアルカイダ(AQIM)」の傘下組織となった。

そして、2016年3月18日、AQIMはアルジェリア南部インサラーのガス生産施設に対するロケット砲撃を行った。以下は、「イギリスのBP(ブリティッシュ・ペトロリアム)社及びノルウェーのスタットオイル社の基地を標的」と題するAQIMが発した攻撃に関する声明文である。声明で、AQIMは日本人が人質となった3年前の事件(ティガントリン事件)に言及しつつ、アルジェリア当局が今なお、収奪的な多国籍企業と利益を共にするフランスや西側諸国の圧力に従属していることは明らかだとしている。

AQIM_Arabic1
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声明では、シェールガス開発による環境破壊を懸念するインサラーの住民の権利が無視され、アルジェリア当局は西側諸国企業の顔色を窺って抗議デモを弾圧したとして、AQIMは3年前にも標的としたBP社及びスタットオイル社が運営している石油施設を標的に選んだとしている。また、今後もシェールガス開発に関わる全ての西側諸国企業を直接の標的とすると宣言している。

「日揮」は、BP社のサブコントラクターとして、アルジェリアの資源開発に関わってきており、その結果3年前の事件に巻き込まれた経緯がある。今もこうした脅威は続いていることを示す重要な声明であるが、日本国内では全く報道されず、完全に無視されているのが現状である。

声明がアラビア語のため、注目されなかったのかもしれないが、アルカイダ系組織の声明を英語で配信している「グローバル・イスラミック・メディア・フロント」から英訳版も公表された。だが、それでも何らメディアで取り上げられる兆候がない。未だブログ更新を本格的に再開できる状況にないのだが、せめてここに記しておかねば、完全に風化してしまうだろう。

事件を起こした当の組織が3年前の事件に言及しながら、再び石油施設攻撃を行ったというのに、日本国内の誰一人として知らないようでは、亡くなった日揮の従業員の方々が浮かばれまい。日本人の安全保障に対する意識はこの程度なのか。痛ましい事件を教訓とすることもできず、遠い世界の出来事として忘却するだけとは、真に残念である。

AQIM
AQIM2
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【ブルキナファソのホテル攻撃】イスラム・マグレブ諸国のアルカイダが声明 殉教者3人の画像も公開

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2016年1月16日に西アフリカのブルキナファソの首都ワガドゥグにおいて、「スプレンディッド・ホテル」に対する攻撃が行われた件について、イスラム・マグレブ諸国のアルカイダの公式広報部門「アンダルス・メディア」が17日付で声明を発表し、作戦を行った3人の殉教者の画像を公開した。

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↑「ブルキナファソ攻撃の英雄 殉教者アルバッタール・アンサーリ」

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↑「ブルキナファソ攻撃の英雄 殉教者アフマド・ブーカリ・アンサーリ」

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↑「ブルキナファソ攻撃の英雄 アフマド・フィラーリ・アンサーリ」

↓AQIMの公式広報部門アンダルス・メディア発の声明文↓
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なかなかに示唆に富む内容である。国際テロ情報収集ユニットの方々は、しっかり分析して、がんばって上司に報告してほしい。きっと良い勉強になるだろう。

【ブルキナファソの高級ホテル襲撃】アルカイダ系「ムラービトゥーン」が攻撃したとの声明 ホテルに立て籠もるジハード戦士との通話音声も公開

画像をクリックしてホテルに立てこもるジハード戦士との通話を再生
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番号:297
公開:2016年1月16日
組織:ムラービトゥーン(※ムラビトゥン等の表記あり)
出所:アンダルス・メディア(イスラム・マグリブ諸国のアルカイダ(AQIM)の広報部門)
音声:アラビア語
重要:★★☆☆☆


【動画の内容及び解説】
西アフリカのブルキナファソの首都ワガドゥグで、アルカイダ系ジハード主義組織「ムラービトゥーン」のジハード戦士たちが、スプレンディッド・ホテルを襲撃した。数十人を殺害した後、ホテルに立て籠もっていると報じられている

ムラービトゥーンとは、2013年1月にアルジェリアのガス生産基地を襲撃し、日本人10人を殺害したジハード主義組織「血盟団」の指導者であったモフタール・ベルモフタール(※別名ハーリド・アブルアッバス)が率いる後継組織である。現在はイスラム・マグリブ諸国のアルカイダ(AQIM)の傘下に入っている。なお、ムラービトゥーンは2015年11月、西アフリカのマリの首都バマコでも、外国人向けのホテルに対する攻撃作戦を行っている。関連記事参照。

AQIMの公式広報部門である「アンダルス・メディア」が、今回の作戦について画像による声明を公開したほか、ホテルに立て籠もるジハード戦士の一人と電話で話をし、その音声記録も公開した。この通話によると、作戦はイスラム教の預言者ムハンマドを守るための報復であり、弱い立場にある人々を支援するために行ったとしており、およそ30人を殺害したとしている。またフランスに対して、「いつかお前たちの国の中で攻撃を行う」と警告している。

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画像をクリックしてホテルに立てこもるジハード戦士との通話再生




【アラビア半島のアルカイダ】アルジェリアのガス生産施設を攻撃したベルモフタール師について「ムラービトゥーン」の指導者として健在だと明言

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番号:266
題名:مباركة البنيان المرصوص
和訳:「堅牢な建物」への祝意
公開:2015年12月12日
組織:アラビア半島のアルカイダ(AQAP)
出所:マラーヒム・メディア(AQAP傘下)
音声:アラビア語
重要:★★★☆☆

【動画の内容及び解説】
アラビア半島のアルカイダ(AQAP)の幹部であるイブラヒム・クーシ師による静止画と音声のみによる声明。

イブラヒム・クーシ師は、アルカイダ本部の前指導者である故オサマ・ビンラディン師の側近で、スーダン出身のジハード戦士である。9・11事件後、トラボラの戦いを生き延びたものの、アメリカ当局によって拘束された。そして、キューバのグアンタナモ収容所に10年以上もの間収監され、2012年の7月に釈放された。クーシ師が晴れてスーダンに帰国した際の映像がYoutube上に今も残されている。


その後、イブラヒム・クーシ師は、先日公開されたAQAPのドキュメンタリ宣伝動画に堂々と登場し、AQAPの幹部として迎えられたことが判明した。そして今回、公式スポークスマンとして音声による声明の発出を担当した。グアンタナモ収容所で10年もの間拘束した末、扱いかねて釈放してみたら、アルカイダの幹部に復帰してしまったという屈辱的な顛末を、アメリカ当局はどう考えているのだろうか。

去る12月4日、「イスラム・マグリブ諸国のアルカイダ」(AQIM)からアブドルワドゥード指導者の音声で、西アフリカ・マリの首都バマコでのラディソンブル・ホテル襲撃作戦に関して、「堅牢な建物」と題する声明が出されていた。そして今回のイブラヒム・クーシ師からの声明は、AQAPとしてAQIMによる作戦の成功に祝意を表明している。

クーシ師の発言の中で注目すべき点は、正式にAQIMの傘下に入ったジハード主義組織「ムラービトゥーン(※「ムラビトゥン」等の表記もあり)」について、モフタール・ベルモフタール(ハーリド・アブルアッバス)師が指導者として健在であると明言していることである。アルカイダの系列組織であるAQAPからの公式声明としてこの点が確認されたことは重要である。ベルモフタール師は一旦AQIMから離脱し、独自のジハード主義組織「覆面旅団」や「血盟団」を指揮していたが、アルジェリアのイナメナスでガス生産施設に対する攻撃作戦(※10人の日本人を人質として拘束した上に殺害)を行った後、「ムラービトゥーン」の指導者としてAQIMに復帰した形となる。

クーシ師は、「ムラービトゥーン」のAQIMへの合流を称賛するとともに、アルカイダ本部の指導者アイマン・ザワヒリ師の下での結束を強調し、タリバンの指導者アクタル・マンスール師に対して改めて忠誠を誓っている。また、世の東西を問わず不信心者が結託してイスラム世界との戦争に乗り出しているとの認識の下で、各地のジハード戦士たちにも小異を超えた大同団結を呼びかけている。

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【ムラービトゥーン】フランスを始め西側諸国の国内での反撃を警告

ムラービトゥーン

北アフリカを活動領域としているアルカイダ系ジハード主義組織「ムラービトゥーン」(※「ムラビトゥン」などの表記もあり)が、2015年11月に西アフリカ・マリの首都バマコにおけるホテル襲撃作戦を実施して以降、公式広報部門「リバート・メディア」を通じた広報活動を活発化させている。上の画像は2015年12月8日に新たに公開されたもので、フランスや欧米諸国に対する警告文を掲載している。和訳は次のとおりである(※は訳者による註)。

※     ※     ※
イスラム・マグリブ諸国のアルカイダ傘下の部隊「ムラービトゥーン」の一団

『フランス及び西側諸国に告ぐ。
屈服したり取引に応じたりするのは我らのやり方ではない。お前たちが我らに挑んでいる戦いは、イスラムに対する十字軍の戦争に他ならない。お前たちが我らの国を侵略しても何の意味もなく、我らの賢明な主が定めたシャリーアが、ムスリムとその大地で適用されることこそが我らの望みだ。お前たちの国の奥深くで行われる我らの反撃を待つがいい。我らがお前たちと出会う場所は、ホテル(※ファナーディク)ではなく塹壕(※ハナーディク)だ。
アラーは偉大なり』
※     ※     ※ 

 「ムラービトゥーン」の最近の動向について、日本では何の関心も起きてないが、この組織は2013年の1月にアルジェリアのイナメナス付近の天然ガス生産施設を襲撃し、日揮の日本人従業員10人を殺害したジハード主義組織「血盟団」の後継組織である。組織の幹部がイスラム国への忠誠を誓うなど、内部対立の兆候があったが、最近はアルカイダ組織であることを改めて明確にしている。「血盟団」の指導者であったモフタール・ベルモフタール(ハーリド・アブルアッバス)については、何度も死亡説が報じられたりしたものの、ムラービトゥーン結成後も不気味な沈黙を保っている。

【ムラービトゥーン】西アフリカ・マリの首都バマコでラディソン・ブル・ホテルを攻撃した殉教者2人の写真を公開

ラディソンホテルを攻撃したじ「ムラービトゥーン」の殉教者たち2人

2015年11月20日、西アフリカ・マリの首都バマコにあるラディソン・ブル・ホテルに対する攻撃作戦について、これを行った2人の殉教者の写真が公開された。

イスラム・マグリブ諸国のアルカイダの傘下組織である「ムラービトゥーン」の公式広報部門「リバート・メディア」が発表した。関連参考記事はこちら

【イスラム・マグリブ諸国のアルカイダ】アブムスアブ・アブドルワドゥード指導者の声明、傘下組織「ムラービトゥーン」によるマリでのホテル襲撃作戦を称賛 ※追記あり

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番号:258
題名:البنيان المرصوص
和訳:堅牢な建物
公開:2015年12月4日
組織:イスラム・マグリブ諸国のアルカイダ(AQIM)
出所:アンダルス・メディア
音声:アラビア語
重要:★★★☆☆

【動画の内容及び解説】
北アフリカを拠点とするアルカイダ系ジハード主義組織「イスラム・マグレブ諸国のアルカイダ」の指導者であるアブムスアブ・アブドルワドゥード師による音声のみの声明。

この声明では、フランスへの敵視を繰り返し強調しているほか、西アフリカ・マリの首都バマコにあるラディソン・ブル・ホテルに対する襲撃作戦(※2015年11月20日発生)を行った2人を殉教者として称賛している。

また、この作戦を実施したジハード主義組織「ムラービトゥーン」について、イスラム・マグレブ諸国のアルカイダの傘下組織であることを明言している。以前、ムラービトゥーンの指導者と思しき人物から、イスラム国のバグダディ指導者に忠誠を誓う声明が出されていたが、AQIMの指導者であるアブドルワドゥード師本人の発言として、ムラービトゥーンがアルカイダ系組織であることを確認できたという点で、本声明の重要性は高い。

また、各地のジハード戦士たちに向けて、欧米の十字軍との戦いのため、仲違いをやめて一致団結するよう呼びかけている。この呼びかけのため、アブドルワドゥード師は聖典クルアーンからジハード戦士なら誰しもが暗唱できる一節を引用するが、その中に本声明のタイトル「堅牢な建物」という言葉が出てくる。

إِنَّ اللَّهَ يُحِبُّ الَّذِينَ يُقَاتِلُونَ فِي سَبِيلِهِ صَفّاً كَأَنَّهُم بُنيَانٌ مَّرْصُوصٌ
真にアラーが好むのは、堅牢な建物の如く隊列を組み、アラーのために戦う者たちである

「堅牢な建物」に当たるアラビア語の「بُنيَانٌ مَّرْصُوصٌ(ブンヤーン・マルスース)」は、直訳すれば、建材がびっしりと隙間なく密に組み込まれた構造物のイメージである(「マルスース」は「鉛(ラサース)」という単語と同じ語根に属し、密度の高さを意味する単語)。ジハード戦士たちは、個々の利害や立場の相違を超え、斯くの如き構造を持つ建造物のように強固に団結せねばならないのである。

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※2015年12月5日追記
追って「ムラービトゥーン」側からも、イスラム・マグリブ諸国のアルカイダ(AQIM)の傘下組織であることを確認する声明が発出された。
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【マリのホテル襲撃】実行組織『ムラービトゥーン』はイスラム国派とアルカイダ派が主導権争い?

2015年11月20日に発生したマリのホテル襲撃の実行組織について、NHKは次のとおり報じている

 
(前半略)・・・襲撃のあと、国際テロ組織「アルカイダ」とつながりのある武装組織「ムラビトゥン」がツイッターで犯行を認め、中東の衛星テレビ局アルジャジーラは日本時間の21日朝早く、この組織のメンバーとされる男の声で「欧米諸国が預言者ムハンマドを侮辱したことなどへの報復だ」と犯行を認める声明を放送しました。
 この組織は、おととし隣国アルジェリアの天然ガス施設を襲撃して日本人10人を含む40人を殺害する事件を引き起こしたグループの指導者、ベルモフタール容疑者が立ち上げた組織ですが、詳しい実態は明らかになっていません。

※アルジャジーラが報じたムラービトゥーンの声明はこちら

当ブログ管理人は、2015年5月に公表された「ムラービトゥーン」の指導者であるアドナン・アブルワリド・サハラーウィの声明から、北アフリカを活動領域とするジハード主義組織「ムラービトゥーン」は、アブバクル・バグダディに忠誠を誓い、イスラム国の傘下に入ったと考えていた。

↑サハラーウィ指導者による忠誠の声明(※ルーマニア人の人質に関する警告も含まれている)

ところが、マリのホテル襲撃に関し、アルジャジーラが報じた音声のみの声明によると、ムラービトゥーンはイスラム・マグリブ諸国のアルカイダ(AQIM)と共同で今回の作戦を行ったとしている。周知のとおり、イスラム国はアルカイダと敵対関係にあり、ムラービトゥーンがイスラム国傘下の組織だとするなら、共同での作戦実施は考えられない。

他方、2015年の7月にムラービトゥーンから次のような声明も出ていた。ムラービトゥーンはアルカイダ系組織であり、イスラム国とは関係がなく、モフタール・ベルモフタール(ハーリド・アブルアッバス)が指導者であるとしている。
ムラービトゥーンの声明

これらの情報に鑑みるに、ムラービトゥーンの組織内において路線対立があり、イスラム国派のアドナン・アブルワリド・サハラーウィ(旧「西アフリカ統一ジハード運動(MUJAO)」指導者)と、アルカイダ派のモフタール・ベルモフタール(旧「覆面旅団」の指導者)が主導権争いをしているのではないか、と推測される。

その上で、今回のマリのホテル襲撃は、ベルモフタール率いる「アルカイダ派」のムラービトゥーンが行ったものと考えられるのではないか。

【マリのホテル立てこもり】イスラム国に忠誠を誓ったジハード主義組織「ムラービトゥーン」が実行か? ※追記あり



2015年11月20日、アフリカ西部マリの首都バマコで武装したグループがホテルを襲撃して宿泊客など170人を人質に立てこもった事件について、アルジャジーラは、北アフリカのジハード主義組織『ムラービトゥーン』によって行われたものと報じている。

「ムラービトゥーン」とは、アルジェリアのガス生産施設襲撃事件を起こした「覆面旅団」と、西アフリカ統一ジハード運動(MUJAO)という2つのジハード主義組織が統合して2013年8月に設立された、北アフリカを活動領域とするジハード主義組織である。

しかし結成後、覆面旅団を率いていたモフタール・ベルモフタール(ハーリド・アブルアッバス)と、MUJAO系の指導者である「アドナン・アブルワリド・サハラーウィ」の間で内部対立が激化し、サハラーウィが2015年5月にイスラム国のバグダディ指導者に忠誠を誓った(※Youtube動画参照)ことで、両者は決裂した。以降、サハラーウィがムラービトゥーンの主導権を握っていると見られる。

アルジャジーラの報道が正しければ、パリでの同時多発攻撃事件に続いてイスラム国系組織により新たな作戦が行われたと見ることも可能である。

※追記:ベルモフタールの動向に詳しい「ヌアクショット通信」の報道によると、ベルモフタールが率いる「ムラービトゥーン」と、イスラム・マグレブ諸国のアルカイダ(AQIM)が共同で作戦を実行したと報じている。したがって、イスラム国に忠誠を誓ったサハラーウィ配下のジハード戦士によるものではない可能性が高い(イスラム国本部から特段の声明が出ていないことも、こうした見方を強めている)。

WSJ紙『ISはなぜトヨタ車を愛用するのか-米が説明要求』 そして、その真の理由とは

画像をクリックしてウォール・ストリート・ジャーナルの記事へ移動

ウォール・ストリート・ジャーナルの電子版に、「ISはなぜトヨタ車を愛用するのか-米が説明要求」という興味深い記事が掲載されていた。以下、その一部引用。

*     *     *
…中東の過激派組織「イスラム国(IS)」が数百台ものトヨタ製四輪駆動車を使用していることについて、米政府がトヨタに対し、ISがどういう経路で車を入手しているのか説明するよう求めている。

 ISが公開している宣伝ビデオに決まって登場するのはトヨタのピックアップトラック「ハイラックス」と多目的スポーツ車(SUV)「ランドクルーザー」であると、複数のメディアが6日夜から7日朝にかけて報じた。

 米ABCテレビによると、元米国連大使のマーク・ウォレス氏は「残念なことに、トヨタのランドクルーザーとハイラックスは事実上、ISブランドのひとつになっている」と話した。ウォレス氏は現在、テロリスト集団の金融ネットワークを暴くことを狙った「過激派対策プロジェクト」の責任者を務めている。 
*     *     *

 イラクとシリアの広大な領土を支配するイスラム国が、トヨタ車をはじめとする日本車ばかりを利用しているのは、イスラム国に特有の理由がある訳ではない。短期間でも現地に滞在した経験があれば、イラク人の日本車好きが異常なレベルだというのは、すぐに気がつくことである。ジャーナリストの池上彰氏がイラク北部のアルビルを取材した際の記事から引用しよう。

*     *     *
…エルビルで人気のある車種は、トヨタのクラウンだそうです。確かに街中でクラウンを見ました。しかも、もはや日本ではお目にかかれない20年以上前の型のクラウンが普通に走っているのです。中古車も日本車が大人気でした。これは、砂漠地帯で最も信頼のおける車としてトヨタのランドクルーザーが中東でダントツの知名度を誇っていることと無縁ではないでしょう。…
*     *     *

 当ブログの管理人の個人的な印象で言えば、隣国のシリアやヨルダンでは、ドイツ車のベンツの方が人気が高いように思える。派手で豪華なブランドが好きで、見栄っ張りなのが中東の人々に共通の気質であるが、広大な砂漠地帯の過酷な環境に生きるイラク人には、どこか質実剛健の気風があるようもに感じる。

 それにしても、世界的大企業とはいえ一民間企業に過ぎないトヨタに対して、イスラム国による車の入手経路を説明しろなどと要求しているようでは、アメリカ当局の諜報能力も地に落ちたと言わざるを得ない。アメリカにとって、人工衛星や無人機などのハイテク機器による情報収集は十八番なのかもしれないが、現地にろくな協力者や内通者を確保できていない証拠である。

なお、トルコ紙の報道によれば、イスラム国が利用している車両の多くは、トルコをはじめとする周辺国の盗難車両であるとしており、ギャングや密売ブローカーの存在を指摘している。「アルカイダからの分離組織(イスラム国)が、希望の車種を伝えている」と報じており、イラク人のジハード戦士たちがトヨタ車をリクエストしていることは容易に想像がつく。

 トヨタ車はイラクのイスラム国だけでなく、北アフリカのジハード主義組織にも愛用されている。サハラ砂漠の過酷な環境もまた、ジハード戦士をトヨタ車に向かわせるのであろうか。2013年1月にアルジェリアのイナメナスがガス生産施設で起きた日本人人質事件においても、モフタール・ベルモフタール指揮下のジハード主義組織「血盟団」は、やはりトヨタ車を利用していた(ザ・ガーディアン紙電子版の記事参照。なお、この記事には事件現場の貴重な映像も多い)。

 リビアのアルカイダ系ジハード主義組織「アンサール・シャリーア」が公開した、次の動画に出てくる見渡す限りのトヨタ車だけの車列は壮観である。
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その他、トヨタ車が印象的なイスラム国の動画をピックアップしてみた。
↓画像をクリックすると、動画を視聴又はダウンロード可能。
トヨタとイスラム国1
イスラム国とトヨタ2
イスラム国とトヨタ3
トヨタとイスラム国4

アルジェリアのイナメナスで日揮の天然ガス生産施設を襲撃したベルモフタール パリの新聞社襲撃事件を称賛

およそ2年前の2013年1月16日、アルジェリア東部イナメナスで天然ガス生産施設がジハード主義組織によって襲撃され、日揮の日本人社員ら多数が殺害された事件が起きた。

事件を起こした「覆面部隊」の指導者モフタール・ベルモフタール(別名ハーリド・アブルアッバース)は、現在は「ムラービトゥーン」という組織の指導者となっている。

ベルモフタールについては、これまで何度も死亡説が報じられてきたが、先日のパリでの新聞社襲撃・銃乱射事件について、1月9日付で声明を発していた。

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この声明のビラは、アフリカのジハード主義組織の広報サイト「イフリキヤ・イアラーム」のツイッターアカウントなどで公開されている。

フランスによる対外政策を非難しつつ、一連のパリ襲撃事件の実行者を称賛した後、フランスに対し次のように警告している。

『犯罪者のフランス大統領らに告ぐ。お前たちが殺害を行っても、イスラム世界には勝てぬ。アラーの御力添えを得た今回の如き作戦(※パリ銃乱射事件)はこれからも続く。我らの土地と棲家から去らぬ限り、死をも恐れぬ戦士たちによって、お前たちの如何なる権益及び集団も攻撃に晒されるだろう』

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