2016年07月

【イスラム国 アマーク通信】トルコ政府とクルド人勢力の密約を暴露


シリア北部のマンビジでは、欧米諸国などでつくる有志連合の支援を受けたクルド人勢力とイスラム国の間で激しい戦闘が繰り広げられている。

2016年7月4日、イスラム国系メディアの「アマーク通信」は「クルド人民防衛隊(YPG)」の幹部「ファイサル・アブ・ライラ」の兄弟で、同じく幹部の「ユーセフ・アブド・サアドゥン」というクルド人を捕虜として拘束したとする動画を公開した。

この動画に登場するアブド・サアドゥン氏の発言によると、アブ・ライラ氏は戦闘中に頭部を負傷し、米軍によってスレイマニヤの病院へ搬送されたものの、3日後に死亡したとしている。また、10日もあれば、イスラム国をマンビジから撤退させられると考えていたが、多数の死傷者を出すなど、予想外の苦戦を強いられていると明かしている。


↓アブ・ライラの墓前に座して祈るアブド・サアドゥン氏
20160705_IS_Amaq_Abedo_Sa'aduun_Abu_Laila

さらにアマーク通信は、7月5日付配信記事で、捕虜となったアブド・サアドゥンの自供として、トルコ政府とクルド人勢力の間の密約を暴露した。すなわち、クルド人勢力がトルコ領内のヌサイビン(シリアの都市カーミシュリの北方)などから撤退する見返りとして、イスラム国の支配下にあるシリア北部のマンビジを制圧することを認められたとしている。

最近、シリア北部のクルド人部隊が欧米の支援を受けて、イスラム国の支配地域に対する大規模な攻撃を仕掛け、勢力範囲の拡大を目論んでいるのに対し、クルド人勢力を宿敵と見なすトルコが沈黙しているのは何とも奇妙であった。しかし、このアマーク通信の報道のとおり、トルコ領内からのクルド人部隊の撤退を条件とした取引であったとするならば、まさに合点がいく。外部の者には非常に分かりにくいシリアでの仁義なき合従連衡は、今日も繰り広げられている。

【イスラム国】カリフ国の統治機構を解説

画像をクリックして動画を視聴又はダウンロード
↑画像をクリックして動画を視聴又はダウンロード↑

題名:The Structure of Khilafah
和訳:カリフ国の統治機構
公開:2016年7月6日
組織:イスラム国(IS、旧ISIS又はISIL)
出所:フルカーン・メディア(イスラム国公式広報部門の一つ)
音声:英語版、アラビア語版あり
尺長:14分58秒

【キャプション】
・イスラム国の統治機構に関する解説動画。2016年のイスラム教の断食月=ラマダン月明け祭初日に公開された。研究・分析には非常に役に立つ資料である。
・指導者であるカリフ及びその使命、最高意思決定機関であるシューラー評議会
・イスラム国の統治を担う下部機関に、事務局「マクタブ」、委員会「ハイア」、省庁「ディワーン(※ダワーウィンはアラビア語の複数形)」があり、それぞれが特定の事項を所轄。
・地方行政単位(旧イラク・シリア領内には19の「県(ウィラーヤ)」、領外には16の「州(ウィラーヤ)」がある。)
・リンク先動画の終わりには処刑シーンがあるので、視聴の際には注意願いたい。


↓画像をクリックして動画のアラビア語版を視聴又はダウンロード↓
20160706_IS_Furqan_banner_structure of the khilafah_AR

↓画像をクリックして動画の英語版を視聴又はダウンロード↓
20160706_IS_Fruqan_banner_structure of the khilafah_EN

【キャプチャ画像(クリックして拡大)】
↓イスラム国の統治機構全体のチャート図
Structure of Khilafah

↓全イスラム世界の最高指導者であるカリフの任務
Structure of Khalifah 2

↓イスラム国各県(19)・州(16)の数
Wilayat of Khilafah 19+16=35

↓広報部門及び各メディアの紹介
Diwan of Media @Khilafah
動画や画像の配信を担う支持者(サポーター)も組み込まれている

【バングラデシュ日本人人質殺害】イスラム国ラッカ県のジハード戦士3人が事件を称賛 今後の攻撃を警告


↑画像をクリックして動画を視聴又はダウンロード↑

題名:إلى فرسان الخلافة في البنغال
和訳:ベンガルのカリフ国の騎士たちへ
公開:2016年7月5日
組織:イスラム国(IS、旧ISIS又はISIL)
出所:ラッカ県広報部(旧シリア領)
音声:ベンガル語、英語(アラビア語字幕)
尺長:5分50秒

【キャプション】
イスラム国ラッカ県の戦闘員たちが、バングラデシュでの外国人人質殺害事件を称賛し、敵対する国々に更なる攻撃を警告する宣伝動画。

冒頭、報道から借用した映像(当該事件とは関係のないISによる攻撃のものも含む)をバックに、公式スポークスマンのアブ・ムハンマド・アドナニ師の声明が流れる(5月に配信されたラマダン期間中のジハードを呼びかける内容)。その後、3人のバングラデシュ人ジハード戦士が、各々メッセージを発する。


【サウンドバイト(短く印象的な発言のみを抜粋)】
1人目バングラデシュ人戦闘員「アブ・イーサ・ベンガリ」(一部英語あり)
バングラデシュ人戦闘員その1
『バングラデシュで起きた事件は、今後何度も行われる攻撃の一部に過ぎない』

2人目バングラデシュ戦闘員「アブ・バラ・ベンガリ」
バングラデシュ人戦闘員その2
「ダッカのレストランを襲った理由は、イスラム世界は一体であるという預言者ムハンマドの教えに従ったためだ」

3人目バングラデシュ人戦闘員「アブ・ハーリド・ベンガリ」
バングラデシュ人ジハード戦士その3
「今回の事件の記事について知ったとき、筆舌に尽くしがたい喜びを感じた」

↓画像をクリックして動画を視聴又はダウンロード↓
20160705_IS_Raqqah_Ila_Fursaan_Khilafah_Fi_Bengal

※追記 この動画に関するNHKの7月6日付関連報道引用↓
IS 新たにテロ行う可能性を示唆
シリア北部にあるISの支部は6日、インターネット上に、新たにテロを行う可能性を示唆する映像を公開しました。
映像には、バングラデシュ人とみられる戦闘員の男3人が登場し、今回のテロはISが行ったものだと改めて主張したうえで、「この戦いはわれわれが勝利するまで止めることはできない」と、場所は特定せずに新たなテロの可能性を示唆しています。
この映像についてイスラム過激派組織の動向に詳しい中東調査会の高岡豊上席研究員は「使われているロゴなどから、IS内の組織が出したものであることはほぼ間違いないが、公式なメディア部門ではないことから、ISとしての正式な見解を反映しているとはいえない」と話しています。そのうえで、「バングラデシュ政府が、今回の武装グループとISとのつながりを否定しているため、実際にISに加わっているバングラデシュ人がいることを示すことで、ISが行ったテロだと強調するねらいがあるのではないか」と分析しています。

「タリバン」のジハード戦士がラジオ体操?



2016年7月4日、アフガニスタン・イスラム首長国(通称タリバン)の広報部門「Al Emarah Studio」は、クンドゥズ州の軍事キャンプでのジハード戦士たちの訓練を伝える宣伝動画を配信した。

この動画の中で、ジハード戦士たちが準備運動をするシーンがあるのだが、それが日本のラジオ体操に非常によく似ている。何とも不思議な親近感を覚えるのは当ブログ管理人だけだろうか。1時間を超える長編の中から、当該部分のみを抜粋・編集してみたので、上の動画を是非視聴していただきたい。

↓なお、オリジナルの宣伝動画はこちらをクリック

 『クンドゥズ州のウマル・イブン・ハッターブ・キャンプにて』

【イスラム国】ベンガル語の宗教歌「ナシード」を公開 バングラデシュのジハード戦士の戦意を高揚


↑画像をクリックして新規公開された動画を視聴又はダウンロード↑

題名:立ち上がれ ジハード戦士
和訳:জেগে ওঠো মুজাহিদ قم يا مجاهد
公開:2016年7月4日
組織:イスラム国(IS、旧ISIS又はISIL)
出所:アルハヤト・メディア・センター(イスラム国公式広報部門の一つ)
音声:ベンガル語

↓クリックで音声ファイルをダウンロード
20160704_IS_Alhayat_Nasheed_Bengali_Rise_O_Mujahid

【内容及び解説】
ジハード戦士たちの戦意高揚を目的として作成されたベンガル語のナシード(イスラム教の宗教歌)。バングラデシュの首都ダッカでのレストラン立て籠もり及び人質殺害事件から間を置かないタイミングで配信された。元ラッパーのドイツ人ジハード戦士アブ・タルハ・アルマーニ(デニス・カスパート)のナシード作品『ハイヤ・アラル・ジハード(ジハードへ行こう)』がベースとなっている(下の画像からリンク先へ移動して比較できる)。

↓クリックしてベースとなった宣伝動画を視聴
画像をクリックして動画をダウンロード又は視聴

【イスラム国 サイバー部門】サウジアラビア政府職員の個人情報を殺害リストとして公開 次はアメリカ政府との暗示も

2016年7月4日、イスラム国のサイバー部門を名乗る「サイバー・カリフ連合国」を構成するSNSアカウント「カリフ国サイバー軍(CALIPHATE CYBER ARMY)」は、サウジアラビア政府職員の個人情報(氏名、職種、メールアドレス、勤務先、肩書)リストの一部を、殺害ターゲットとして公開した。今後、更に追加のリストを公開するとしている。

以下の画像は、カリフ国サイバー軍のSNSアカウントが配信したもの

イスラム国サイバー部門 サウジ政府職員の個人情報公開_1
 イスラム国サイバー部門 サウジ政府職員の個人情報公開_2
イスラム国サイバー部門 サウジ政府職員の個人情報公開_3
イスラム国サイバー部門 サウジ政府職員の個人情報公開_4
イスラム国サイバー部門 サウジ政府職員の個人情報公開_5

内容の性質上、当ブログでの名簿リンクの掲載は控えることにする。
イスラム国サイバー部門 サウジ政府職員の個人情報公開_6

 ↓なお、今後はアメリカ政府の職員リストの公開を暗示している。

イスラム国サイバー部門 次のターゲットはホワイトハウス
イスラム国サイバー部門 次のターゲットはホワイトハウス_2

【アクセス激増】7月3日のページビューが3万4千を超える

先ほどブログの管理ページを開いたら、昨日(2016年7月3日)のPVが、とんでもないことになっていた。
アクセス数
アクセス・カウンターの異常かと思ったが、アクセス解析をしてみると、どうやらそういう訳ではないらしい。

(海外・翻訳ニュース)部門ランキングでは、何と堂々の3位にランクイン
海外・翻訳ニュース ランキング

全体のブロガーランキング(※まとめブログ除く)では、第70位であった。
ブロガーランキング

バングラデシュでの日本人人質7人殺害事件の影響であることは間違いなく、多くの方々に「アマーク通信」の検索結果を経て、当ブログにお越しいただいたようだ。2年前から「アマーク通信」について熱く語るという、常人にはあり得ない記事を延々と書いてきたせいで、グーグル先生から高評価だったのだ。

通常のアクセス激増ブレイクは、地上波テレビで取り上げられたり、ヤフー・トピックスなど著名サイトからのリンクが切っ掛けとなるのがパターンだが、この素性の知れない匿名ブログを推奨してくださる勇気ある御方など、めったにいるものではない(※そういえばおひとり、貴重な例外を思い出した)。今回の展開は、「アマーク通信」という用語がメディアに浸透し、やっと時代が当ブログ管理人に追いついてきた結果に過ぎない。

このペースなら、月間100万ページビューであり、晴れてアルファブロガーの仲間入りも夢ではない。ブログ名を「まだ領域国民国家で消耗してるの?」に変更しようかとも考えたが、どうせ数日後には ほとぼりが冷め、元の過疎ブログに戻ると思うので、それは止めておくことにした。

このブログは奇妙なものとして始まった。そして奇妙なものへと帰るだろう。奇妙なものたちに幸あれ。 

【イスラム国】バングラデシュ日本人7人殺害事件 実行者5人の画像を公開

日本時間7月3日午前0時40分ごろ、イスラム国はSNS「テレグラム」のアカウントを通じて、バングラデシュでの日本人7人殺害事件の実行者とする5人の画像を配信した。

↓アブ・アミール・ベンガリ
01アブ・アミール・ベンガリ

↓アブ・サルマ・ベンガリ
02アブ・サルマ・ベンガリ

↓アブ・ラヒーク・ベンガリ
03アブ・ラヒーク・ベンガリ

↓アブ・ムスリム・ベンガリ
04アブ・ムスリム・ベンガリ

↓アブ・ムハーリブ・ベンガリ
05アブ・ムハーリブ・ベンガリ

【イスラム国】バングラデシュでの日本人7人殺害事件に関する公式声明 ※追記あり

20160702_IS_Statement_Bangladesh

日本時間2016年7月3日午前0時過ぎ、バングラデシュでの日本人7人殺害事件について、イスラム国から上の公式声明が発出された。和訳は次のとおりである。
     *     *     *
イスラム国 バングラデシュ
速報「バングラデシュのダッカでの攻撃により、
十字軍 22人と警察将校 2人を殺害」
ヒジュラ暦 1437年 ラマダン月 27日
アラーの恩寵と祝福のお陰で、綿密な観察と調査により、5人の殉教の騎士たち(アラーよ、彼らを受入れたまえ)が、バングラデシュのダッカで十字軍諸国の市民どもの集いに向かって出撃し、十字軍たち 22人を殺害し、その中には 7人のイタリア人が含まれていた。 また、ベンガル警察の将校2人を殺害し、50人超を負傷させた。 イスラム教徒を空爆で殺害する限り、ジハード戦士たちの攻撃から安全な場所はないということを、十字軍諸国の市民どもに教えた。 この次の攻撃は更に激しく、酷いものになるだろう。 アラーはその命令を必ず施行されるが、ほとんどの人々は そのことを知らない。
     *     *     *

※追記(2016年7月23日) 
この当ブログの和訳記事を利用して、下の画像を引用しながら「テレビ朝日が誤報を流した」などという話が一部で出回っているが、下の画像は、2015年10月にバングラデシュのロングプールで日本人1人が殺害された事件に関する過去の報道であり、今回のダッカでの日本人7人殺害事件とは関係のない声明である。したがって、テレビ朝日の当該報道は誤報などではない。
2015年10月4日の声明
こちらの声明については、当ブログの過去記事も参照してほしい。

【イスラム国 アマーク通信・アルバヤン放送】バングラデシュ首都ダッカのレストランで人質立てこもり事件

関連情報は、随時アップする予定。

【新着】
日本時間7月3日0時40分ごろ配信のアマーク通信記事の内容は以下のとおり。
『イスラム国の戦闘員がバングラデシュのレストランを攻撃し、有志連合諸国の市民22人を殺害』
 アマーク通信 ダッカ発 昨日夕刻、バングラデシュの首都ダッカのジュルシャン地区で、イスラム国の戦士5人が、外国人が よく訪れるレストラン「アルティサン」を攻撃した。
 イスラム国の戦闘員たちは、レストランの客らを拘束して身元を確認し、イスラム教徒については解放し、外国人22人を殺害したほか、バングラデシュ警察の将校2人も、戦闘の際に死亡した。また、この作戦により、およそ50人が負傷した。
アマーク通信の取材源によると、イスラム国の戦闘員たちは、ナイフ、肉切り包丁、自動小銃、手榴弾を使用して攻撃を行った。また、今回の攻撃は、イスラム国と戦う有志連合に対するイスラム国の戦闘員による作戦の一環として行われたとしている。(以上) 


【以下、これまでの情報】
「アルバヤン」トルコ語
・日本時間7月2日22時26分配信のイスラム国公式ラジオ放送「アルバヤン」(トルコ語版)にて、事件は「カリフ国の兵士」によるものと発表。ダウンロード・リンクはこちらから(なぜトルコ語版が先行したのかは不明)。

・共同通信の報道によると、救出された日本人男性は、建設コンサルタント会社社員の渡辺玉興(ワタナベ・タマオキ)氏、Linked Inに渡辺氏の写真付プロフィールがある。また、ロイター通信によると、日本時間7月2日17時現在、日本人7人の安否が不明(※その後、菅官房長官が23時半の記者会見で、7人全員の死亡を確認)。

・イスラム国系メディアの「アマーク通信」は、イスラム国の戦闘員が殺害した外国人の遺体の画像3枚を配信した(当ブログでのリンクの公開は控えることにする)。また、イスラム国のサイバー部門「カリフ国の子孫軍団(Sons of Caliphate Army)」を名乗るSNSアカウントが、この3枚の画像を利用した宣伝バナー画像を配信している(いずれもネット検索で簡単に入手可)。

・イスラム国系メディアの「アマーク通信」は、ダッカのレストラン立てこもり・人質事件について、本記事下部に掲載した速報(日本時間7月2日午前中までに英語、アラビア語で5本ずつ)を配信した。
 
・6月30日から7月1日にかけて、バングラデシュではダッカのレストラン立てこもり以外にも、南東部でイスラム国の戦闘員が、仏教政党の指導者やヒンドゥー教徒を暗殺したとする事件が発生していた(アマーク通信の配信速報による情報。速報画像(英語版)リンクはこちらこちら)。

・6月29日、イスラム国系メディアの「アマーク通信」は、イスラム国の組織がある国々一覧の画像を配信しており、バングラデシュに「秘密組織(Covert Unit)」がすでに存在すると表明していた。


↓英語版アマーク通信の速報バナー(マウスオンで配信時間を表示、クリックで拡大)
0426
0455
日本時間7月2日0505AM配信
0624
1004

 
↓アマーク通信(アラビア語版)速報バナー(マウスオンで配信時間を表示)
0421AR
日本時間7月2日0438AM
日本時間7月2日0455AM配信
0530AR
0913AR

【イスラム国】イスタンブールの空港襲撃に関する声明がでない理由

2016年6月28日夜、イスタンブールの空港で複数回の大きな爆発と銃撃があり、40人超が死亡した事件について、トルコ捜査当局は、イスラム国によるものという見方を示している。しかし、7月1日現在まで、イスラム国からは関連の声明は出されていない。

2015年7月20日の南東部スルチでの爆発事件(30人超が死亡)や、同年10月10日の首都アンカラでの爆発事件(100人超死亡)でも、トルコ捜査当局がイスラム国によるものとの見方を示しながらも、イスラム国からは関連の声明は出ていない。このことから、イスラム国がトルコにおける作戦について声明を出さない理由が、専門家ならずとも気になるところである。

当ブログ管理人としては、イスラム国がトルコでの作戦についてのみ何か特別な理由があって声明を出さないのではなく、一連の作戦によって殺害されたのが一般のスンニ派イスラム教徒ばかりであったため、イスラム国の作戦として最終的に承認されなかったものと考えている。

声明が出されないことを考える上で参考になるのが、2015年4月18日にアフガニスタンのジャララバードの銀行で爆発が起き、多数の死傷者が発生した事件である。この事件では、トルコのケースと同様に、アフガニスタン政府当局はイスラム国によるものとの見方を示したが、イスラム国「ホラサン州」からは、何と事件への関与をわざわざ否定する次の声明が出された。

イスラム国ホラサン州声明


この声明において、イスラム国による作戦の考え方を理解する上で重要な、聖典クルアーンの一節が引用されている。
 
信者を故意に殺した者の応報は、永遠の地獄である。アラーは怒り、呪い、厳罰に処す

すなわち、イスラム国が作戦の標的としているのは、あくまで背教者「ムルタッド」(スンニ派信徒であっても悪の政府の職員や軍の兵士、民兵やスパイといった手先)であり、多神教徒「ムシュリク」(シーア派やアラウィ派など)であり、十字軍「サリービー」(イスラム国に敵対する有志連合諸国の国民)なのであって、一般のスンニ派イスラム教徒ではないのである(故意でなく、巻き添えになってしまうことはあり得る)。

それにしても、決死の作戦を敢行したのに、イスラム国の名の下に殉教者として認められずに終わるとは、実行者としては知る由もないが、さぞや無念であろう。

記事検索
カテゴリー